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2008.11.24

映画『わが教え子、ヒトラー』

地球に優しい髪型の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 髪の毛を短くしてからというもの、シャンプーが素早く終わるようになりました。シャンプーの量やドライヤーを使う時間だけでなく、シャンプーを洗い流すお湯の量もぐっと減っていることに気が付きました。髪の毛を短くしただけで、髪の毛の長さがこれほどいろいろなことにも影響を与えていたことがわかりました。私の場合は、長くなってしまった髪の毛が邪魔で邪魔で仕方がなかったので、髪の毛を短くしたことは一石二鳥に繋がったのですが、中には長い髪の毛が大好き! という方もいらっしゃるかと思います。そういう方は、どうか、私の記事だけで、ご自分が髪の毛を長く伸ばしていることに対し、気後れなさらないでくださいね。私にも、まだまだエコロジーに参加できていない部分がたくさんありますので。

 大きな映画館で上映されている作品のほとんどは、アメリカ映画である。世界中でいろいろな映画が製作されているというのに、何故、アメリカ映画ばかりが日本で広く受け入れられているのか、私にはわからない。しかし、ちょっと小さな映画館に足を運べば、ヨーロッパをはじめ、アメリカ以外の諸国で製作された静かな作品を鑑賞することができる。ドイツで製作されたこの映画も、そんな作品の一つだ。

 この映画の内容を簡単に説明しておくと、プレッシャーなどですっかり自信を失ってしまったヒトラーに対し、かつての自信を取り戻して、群集の前で力強い新年のスピーチをしてもらうために、演劇を教えていたユダヤ人教授の力を借りて特訓を重ねるというものだ。数多くのユダヤ人を死に追いやったヒトラーが、ユダヤ人教授の力を借りるというところからして、いかにもドイツらしいユーモアだと思う。そう、この映画は、ドイツ風のコメディ映画と言ってもいいのかもしれない。と言っても、お腹を抱えて大きな声で「わははは」と笑うような明るい笑いではなく、思わず「ニヤリ」と笑ってしまうようなシニカルな笑いだろうか。

 まず、私が最初に笑ったのが、
「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)」
のこだまである。誰かが片手を挙げて、
「ハイル・ヒトラー」
と言うと、あたかもすぐ側にいる人たちに感染するかのように、他の人たちが次々に片手を挙げて、
「ハイル・ヒトラー」
と口にする。その固さと言ったらない。顔には表情がなく、ヒトラーに対して絶対的な忠誠心を誓っているかのように見える。同じ部屋にいる人たちが一通り、
「ハイル・ヒトラー」
の儀式を終えた直後に別の人が部屋に入って来て、同じように片手を挙げて、
「ハイル・ヒトラー」
と言うと、さきほど、
「ハイル・ヒトラー」
と宣言した人たちも再び一人ずつ片手を挙げて、
「ハイル・ヒトラー」
と繰り返す。こんなことを書くと誰かに怒られるかもしれないが、その様子がまるで機械仕掛けの人形みたいでおかしいのだ。一見、とても真面目であるかのように見えていて、実におかしなことを実践している。それがこの映画を通して見たドイツ人の印象である。

 すっかり自信を失って、まるで子供のようになってしまったヒトラーの描写が実にいい。こともあろうに、力を失ってしまったヒトラーが、自分自身が残虐な方法で殺し続けて来たユダヤ人のお世話になっているのだ。しかも、スピーチを成功させるためには、もはやユダヤ人教授の存在は必要不可欠である。このようなことを思いつき、映画にした人のアイディアは素晴らしい。

 印象に残っているのは、スピーチの前日に眠れなくなってしまったヒトラーが、教授一家が寝泊りしている粗末な部屋を訪ねて来るシーンだ。当然のことながら、ヒトラー自身は自分の部屋で何不自由なく、ぬくぬくと生活しているのだが、教授一家のいる部屋は寒いとこぼしたりする。それだけでなく、教授と教授の妻が寝ている間に割り込んで来て、三人で川の字になって寝たりする。つまり、自分が迫害し続けたユダヤ人を両脇に挟んで、無防備な状態で眠り始めるのだ。ああ、これもドイツ人のユーモアかと思う。そのシーンの直後に、ある出来事が起こるのだが、そこは大きな山場には至らずに終わる。

 また、あのヒトラーがジャージを着ていたり、スピーチの当日に自慢のヒゲをそぎ落とされて、付け髭で群集の前に登場したりと、とにかく、そこかしこに、ドイツ人のユーモアがちりばめられた作品だと言える。

 とは言うものの、この作品はドイツ映画という位置づけではあるが、監督自身は、ヒトラーによって迫害され続けて来たユダヤ人なのだそうだ。だから、これほどまでに弱り切ったヒトラーを描きたかったのだろうか。映画の冒頭では、「この物語は真実である。しかし、あまりにも真実であるために、歴史には登場しない」などといった紹介がなされている。この物語が真実かどうかは別にして、ある筋の解説によれば、ヒトラーのスピーチ指導を担当した人物は実在するそうだ。

 何はともあれ、この映画を観ると、あれほど猛威を奮っていたはずのヒトラーが一人では何もできない哀れな存在にも思えて来る。ヒトラーを描いた作品は他にもあるはずだが、ドイツ人的なユーモアを保ちながらも、これほどまで力を失い、まるで子供のように変化してしまったヒトラーを描いた作品が、他にあるとは思えない。コメディ映画として観るには少々暗過ぎるが、シリアスドラマとして観るにはニヤリと笑いが止まらない作品である。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 教授役の俳優ウルリッヒ・ミューエは、二〇〇七年に亡くなられているのだそうです。どうやら、この作品が彼の遺作となってしまったようですね。彼の出演作で、この映画の一つ前の作品である映画『善き人のためのソナタ』でも多くの人たちに支持され、高く評価されています。映画『善き人のためのソナタ』はまだ鑑賞していないので、DVDで鑑賞したいリストの中にしっかり入っています。めでたく鑑賞が実現したら、またこちらでご紹介させていただきますね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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