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2008.10.27

映画『しあわせのかおり』

長髪の床屋の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m これまで寝癖とは無縁だったのに、髪の毛が長くなり、タオル地のターバンを使うようになってからは、寝癖と格闘しています。早く乾かそうと思っているのに、思わぬ副作用があるのは困りものです。(苦笑)

 この映画は確か、二週間ほど前の定時退社日に、ホットヨガ神戸店のすぐ隣にある映画館で鑑賞した作品である。その映画館では、毎週水曜日に映画を千円で鑑賞できる水割(すいわ)りデーが開催されているからだ。

 ずいぶん足繁くこの映画館に通ったからだろうか。入場するためにスクリーンまで歩いて行くと、映画館のスタッフが私を見るなり、ひざ掛けを用意して私に差し出してくださった。対応してくださったのは、これまで何度か顔を合わせているスタッフだったが、私がいつもひざ掛けをお借りしているのを覚えてくださっていたのだろう。ひざ掛けは、こちらから申し出ない限りお借りできないので、映画館のスタッフの歩み寄りがとてもうれしかった。こんなアットホームな映画館が十二月で閉館されてしまうのはとても寂しいものである。

 さて、この映画に関してだが、私は予備知識もなく鑑賞に臨んでしまった。この日は邦画を鑑賞したい気分ではなかったのだが、定時退社日に仕事を定時で終えて、大急ぎで神戸まで移動して鑑賞できるというだけで、この作品を選んだのである。予備知識のない邦画でも、千円で鑑賞できるならまあいいか、ぐらいの軽い気持ちだった。しかし、そんな軽い気持ちで鑑賞し始めた映画が、やがては大きな満足感をもたらしてくれた。

 舞台となっているのは、私たち夫婦も何度か足を運んだことのある金沢である。そして、私たち夫婦も乗車し、既に全線を乗り潰した北陸鉄道も登場する。そんな金沢の港町で中華料理店を営んでいる中国人の王さんがいる。王さんの料理は絶品で、店には常連客があとを絶たない。とりわけ、蟹シュウマイが人気メニューである。

 そんな王さんのもとへ、私と同じ苗字のデパート営業担当、山下貴子がやって来る。地元、金沢のデパートで働く貴子は、王さんの蟹シュウマイをデパートに出品して欲しいと要請にやって来たのである。しかし王さんは、そんな貴子を門前払いしてしまう。どうやら王さんは、料理に対して、絶対的なこだわりを持っているらしい。

 王さんに何度断られても、貴子は諦めずに王さんの店にやって来る。そして、王さんのお店で王さんの料理を食べ、王さんの料理のファンになった。そんな貴子の情熱が王さんに通じたのか、ようやく王さんと貴子の間に絆が生まれて行く。

 私には、王さんが何故、最初のうちは門前払いしていた貴子を、やがて受け入れるようになったのかわかるような気がする。立場は異なるのだが、ホームページやブログを開設していると、様々な人たちからのアプローチがある。中には、門前払いしたくなるようなアプローチも、実際にはあるのだ。例えば、ソウルメイトやツインソウルについて卒論で取り扱いたいので、自分の質問に答えてくれないかといったようなメールを、ある研究生から受け取ったことがある。しかし、自宅サーバのアクセスログを参照してみると、その研究生は、私のホームページにほとんど目を通してはいなかった。食らいつくような姿勢がないのに、自分の用意した質問に答えてくれと言う。公開している情報に目を通して答えを求めようとせず、自分の知りたいことだけを教えてくれという身勝手な姿勢に腹を立て、私はメールの返事を書かなかった。

 またあるときは、テレビ番組の制作会社から、前世の記憶がある人にお話を伺いたいというアプローチがあった。とてもせっかちな方で、メールでやりとりをするよりも、直接電話で話をしたいとおっしゃるので、ある程度信頼できそうな方だと判断し、電話番号をお教えした。そして、私の前世体験をヒアリングされたのだが、どうも淡々としていて熱意が感じられなかった。しかも、どのような番組なのか尋ねてみると、霊能者の方の前で前世体験をお話して、その内容をゲストの方たちに討論してもらう番組だという。人の前世を判断しようとしているのかと思い、とてつもなく嫌な気持ちになったことを覚えている。結局、私の前世体験が採用されることはなかったのだが、採用されなくて良かったと思っている。

 王さんが貴子を門前払いしたのは、王さんの料理を味わうことなく、噂だけで王さんの料理を判断し、デパートに出品しないかと言って王さんを利用しようとしたからだろう。そのようなアプローチで、いきなり信頼関係を築けるはずがない。だから貴子が、客として王さんの店に通い詰めたことは、王さんの警戒心を解き、のちに信頼感を得ることに繋がっていたのである。

 やがて物語は、王さんが病に倒れ、店に立てなくなってしまったことから一変して行く。何としてでも王さんの味を守り続けたい貴子は、デパートを辞めて王さんの元で料理の修業を始める。何とも驚きの展開なのだが、実際に鑑賞していると、その流れをすんなり受け入れることができる。それだけ、王さんの料理を守りたいという貴子の情熱が、観客にも伝わって来るのだろう。また、貴子はそれだけでなく、王さんと同じように料理人だった亡き父の面影と王さんを重ねていたと思われる。

 普段、忙しく動き回っている私にとって、料理にじっくりと時間を掛けるということは、一種の憧れでもある。おそらく私は、料理に時間を掛けることは嫌いではない。しばしば利用している駅前の惣菜屋さんに足を踏み入れると、今の仕事を辞めたらここで働いてもいいとさえ思うことがある。これまでの人生で、料理に時間を掛けて来なかった分、どこかで調整したいとも思っているのだ。

 そんな気持ちでこの映画を鑑賞していると、王さんの教えに従って、貴子が次々に王さんの料理を習得して行く姿を好意的に見守ることができる。そして、料理に時間を掛けるということが、とても贅沢な時間であるようにも思えて来る。次々に食卓に並べられる火が通ったばかりの温かい料理の数々。そして、それらの料理を待ち構え、じっくりと味わう人たち。料理を味わう人たちとともに、私もそのテーブルを囲んでいるような気持ちになり、思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。

 今は邦画を鑑賞したくないなんて嘘だった。顧客をもてなし、達成感を味わっている王さんと貴子のように、私もこの心暖まる邦画で達成感を味わうことができた。たくさんの料理を目で味わって、映画を鑑賞し終わったあとは、料理を口にできなくても、お腹がいっぱいになったような満足感があった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 金沢と言えば思い出すのは、忍者寺(妙立寺)です。(笑)東京に住んでいた頃、社員旅行で金沢に行ったときに初めて足を運んだのですが、面白くてとても印象に残っていました。そして、ガンモと結婚して金沢に出掛けたとき、ガンモを忍者寺に案内したのです。ガンモも忍者寺の数々のからくりに驚き、そしてとても気に入ったようでありました。昔の人はとても小柄だったのですね。そんな金沢が舞台のこの映画。今度、金沢に出掛けたときに、映画の撮影で使われた王さんのお店を探してみようかと思っています。(笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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» 「しあわせのかおり」確かに幸せ [soramove]
「しあわせのかおり」★★★★オススメしみじみ良い 中谷美紀 、藤竜也 主演 三原光尋 監督、2008年、124分 海辺の町の小さな「小上海飯店」という中華の店。 実直な王さんがひとり、 彼の味を求めてたくさんの客がやって来る。 デパートへの出店を依頼する...... [続きを読む]

受信: 2008.10.30 07:38

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