ほとんど開店から閉店飲み会
※映画『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。こうして毎日書き続けることができるのも、皆さんの励ましのおかげであります。さて、手塚作品もそうですが、『ゲゲゲの鬼太郎』のような歴史の古い作品になると、親子で揃って楽しめる作品なのでしょうね。「お父さんが小さい頃から観ていた作品なんだよ」などとお子さんに話すだけでも、お互いにとって、特別な作品になるような気がします。
二ヶ月ほど前に、出稼ぎお姉さんという記事を書いた。土曜日に、そのときの友人と久しぶりに飲みに行った。彼女とは家が近所なので、我が家から自転車でおよそ十分程度のところにある阪急駅前の居酒屋さんに集合した。
何を隠そう、彼女と私は数年前まで「開店から閉店まで飲み会」というのを開催していた。飲みに行くお店はいつも決まっていて、そのお店が開店する十七時から、閉店する〇時までのおよそ七時間、ずっと二人でお酒を飲みながらしゃべっていた。いや、「しゃべっていた」と書いたが、話をするのはほとんど彼女のほうで、私はいつも聞き役に徹していた。とりわけ、兵庫や大阪出身の関西人は、私が口を挟む間もないほどに良くしゃべる。私がこちらに移り住むようになってからというもの、飲み会がお開きになると、彼女も含めて一体どれだけ多くの人たちが、
「私ばっかりしゃべっちゃってごめんねえ。まるみちゃんの話も聞きたかったのに」
などと心にもないことを言って来たことだろう。その度に私は、「そんなふうに思っているのなら、ちょっとは私にも口を挟ませてよ」と、内心思うのだった。
そんな彼女とも、しばらくの間、密な交流からは遠ざかっていたのだが、出稼ぎお姉さんの舞台をきっかけにして、交流が復活したのである。
お店に入って席を並べてカウンターに座り、まず驚いたのは、彼女がおもむろに、品のいい折りたたみ式の「My箸」を取り出したことである。私は、
「ああ、やられたあ!」
と思った。フランスにエコバッグを持ち込んだくらいで満足していてはいけなかった。私の場合、日本では積極的に実践できていないのだから。彼女は、環境のために自分にできることを見付けて少しずつ地道に実践していたのである。私も、オフィスには「My箸」を持ち込んではいるが、普段から「My箸」を持ち歩いているわけではないので、外食するときにはお店の割り箸を使うことになる。しかし、「My箸」に切り替えれば、少なくと自分の分の割り箸の消費が抑えられるわけである。それに、お気に入りの箸を持ち歩くのはきっと楽しいことだろう。私は彼女から、とても心地良い刺激を受けた。
ところで、彼女と私は同じアーチストの同じメンバーのファンである。コンサートに出掛ける回数は彼女のほうがだんぜん多く、彼女は既に五百本以上も彼らのコンサートに足を運んでいる。一方、私はと言うと、二十数年のうちでせいぜい三百本程度だと思う。いや、せいぜい三百本と言っても、そんな対象を持たない人からすれば、多いのかもしれない。既に五百本以上もコンサートに参加したという彼女は、コンサートツアーが始まると、週末を中心にして日本中のあちらこちらに遠征している。
そんな彼女が、旅に出て行くときに必ず持参するものがあるという。それは、お気に入りのメーカから発売されているコンタクトレンズの装着液である。そもそもこんな話が持ち上がったのも、長時間、コンタクトレンズを使用しているために、私が何度も目薬を挿したことがきっかけだった。私は初めて知ったのだが、コンタクトレンズを装着するときに、彼女の言う装着液なるものを使用すると、コンタクトレンズ特有のゴロゴロ感やドライアイなどの症状が著しく緩和されるそうだ。彼女は、そのメーカの装着液に出会ってからというもの、その装着液が手放せなくなってしまったらしい。彼女はこう言った。
「変な話、(コンサート)ツアーに行くのに、下着のパンツを忘れても大丈夫やねん。コンビニとかでも売ってるから。でも、そのメーカの装着液を忘れたらあかん。旅先では絶対に手に入れへんから」
彼女はその装着液を、インターネットの通販を利用して購入しているらしい。だから、旅先にいる彼女にとっては下着のパンツよりも手に入らない大切なものだという。私はこの話を聞いたとき、頬の筋肉が痛くなるほど笑った。そして、下着のパンツよりも大切な装着液とやらに、私も是非とも出会いたいものだと思った。
また、最近の彼女は、もともと好きなアーチストの他に、ある野球選手に心を奪われてしまっているそうだ。彼女の周りにいる同じアーチストファンの中にも、もともと好きなアーチスト以外に心を奪われるという現象が多発しているそうだ。
「やっぱりほら、みんなもうファン暦が長いから、浮気心が生まれてくんねん」
と彼女は言った。そして、浮気を始めると、あたかも気持ちを引き戻そうとするかのように、もともと好きなアーチストのコンサートで最前列のチケットが届いたりするらしい。そういうことが彼女の周りで多発しているらしく、
「こういうのを浮気伝説と言うねん。私も今度の(コンサート)ツアーで最前列のチケットが届いたらどうしよう」
と彼女は言った。
彼女は、職場の人たちとどのような人間関係を結んでいるかについても語ってくれた。私も似たような状況にあるのだが、彼女は職場の人たちとは同じような情熱で繋がることはできないという。言うまでもなく、好きなアーチストのコンサートツアーが始まると、週末を中心に日本のあちらこちらに遠征している彼女にはとびきり熱い情熱がある。しかし、彼女の職場には、対象が何であれ、そうした情熱を持たない人たちが多いらしい。そのため、同じ職場の人たちと、自分の持っている熱いところで触れ合うことができないのだと言う。確かに、心をオープンにすることができない職場では、同じように熱いものを持っている人たちと触れ合えることのほうが珍しい。むしろ、熱い部分を押し殺して仕事をしているようなものだからだ。これについては、私も社会人になってからずっと感じていることだった。だから、コンサートに出掛けて、同じように熱い情熱を持った者同士が結び付き易くなるのだと思う。
ほとんど聞き役に徹していた私も、何とか隙間を見付けて、ところどころ突っ込みを入れた。その突っ込みがツボを得ていたようで、彼女の目が輝いているのがわかった。その後、彼女の身近な人の死の話になってしんみりしたとき、私がぽつりと言った。
「でも、私たちだって、これまでに何度も死んで来たんだよね」
すると彼女は、
「そう、そうやねん」
と言った。ああ、彼女には、この感覚が通じるのかと思うとうれしくなった。
話し込んでいるうちにあっという間に六時間が過ぎ、そろそろ閉店の時間となった。お店の中では『蛍の光』が流れている。『蛍の光』という曲は、間接的な表現を好む日本人にとっては、とても便利な曲である。私は始終、彼女の話には笑わされっぱなしで、頬の筋肉が痛かった。帰り際に彼女が、
「私、死後の話も好きやねん」
と言った。以前にも、彼女とは少しだけそういう話をしたことがあったのだが、スピリチュアルな部分までには及ばずに話が終わってしまった。次回の約束はまだしていないが、そのときは死後の話で盛り上がるかもしれない。筋腫のために禁酒していた私だったが、今回ばかりは彼女の話の面白さにつられてたくさんお酒を飲んでしまった。しかも、飲み方が良かったのか、私よりも酒豪であるはずの彼女よりもたくさん飲んだというのに、酔うこともなく、無事に家にたどり着くことができた。おいしいお酒を飲んだというのは、こういうことを言うのだろう。逆に、お酒を飲んで酔ってしまうというのは、お酒の席で話したことを忘れてしまいたいときなのかもしれない。
※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ところで、「My箸」、「Myカー」、「Myバッグ」、「Myボール」といった言い方は、英語的にはおかしな表現のようです。何故なら、"My"を使うのは自分自身のはずなのに、他の人が「私の」ものに対して"My"を使っているからです。正しくは、「Her(His)箸」、「Her(His)カー」、「Her(His)バッグ」、「Her(His)ボール」なんでしょうね。それにしても、六時間の語り合いのうち、九十九パーセントは彼女が語っていました。(笑)次回、開催するとすれば、十パーセントくらいは突っ込みを入れたいものです。おしゃべり好きな彼女と会うときの目標ができました。(笑)
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