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2008.08.05

ソンム湾鉄道

石畳の記憶の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m いつもとは違う雰囲気でお送りしている旅行記を読んでくださってありがとうございます。旅行記は、旅行が好きな人でないと、なかなか楽しめないかもしれませんが、できる限り旅のエピソードを盛り込んで行く予定ですので、しばらくお付き合いくだされば幸いです。それから、後追いになってしまいましたが、石畳の記憶の記事でご紹介した内容を収めた写真を元の記事に貼り付けておきました。よろしければご覧ください。また、たくさんの方たちからメールをいただいておりますが、なかなか返信できず、申し訳ありません。m(__)m

 前日の夜、二十二時過ぎまでベッドの上でパソコンをいじっていたのだが、気が付けばこっくりこっくりと大きな船を漕ぎ、これ以上起きていられない状況に陥ってしまったので、私はとうとうベッドに横になった。その後、熟睡できたからなのか、それともまだこちらのリズムに身体が馴染んでいないからなのか、朝二時半過ぎに目が覚めた。私はちょっぴり得したような気分に浸りながら、「ガンまる日記」に掲載する写真を整理して旅行アルバムにアップしたあと、次の記事の下書きをして、ブログに公開予約を設定しておいた。

 朝からゴソゴソといろいろな作業をして落ち着くと、朝食にちょうどいい時間になっていた。ガンモも目を覚ましたので、支度を整えてグランドフロアのレストランに足を運び、二人で朝食を取った。

 朝食のあと、私たちは八時半頃にはホテルを出て、ひとまず北駅からAMIENS行きの列車に乗り込んだ。いよいよフランス国鉄の乗り放題切符の活躍である。ありがたいことに、この乗り放題切符はファーストクラスに乗車することができる。私たちは、ふかふかしたファーストクラスのシートに腰を埋めながら、ちょっぴり贅沢な旅を楽しんだ。AMIENSからは更に列車を乗り継いで、今度はNOYELLES SUR MERという静かな駅に降り立った。そこからソンム湾鉄道という蒸気機関車の保存鉄道に乗車するのである。

 NOYELLES SUR MERを降りて、売店のようなところでソンム湾鉄道の往復乗車券を購入した。今回、私たちが乗車するのは、列車の発着時間の関係で、ソンム湾鉄道の特定の区間だけである。やはりフランスも夏休みなのか、平日だというのにたくさんの家族連れで賑わっていたが、東洋人は私たちだけだった。

 私たちが乗車したのはソンム湾鉄道の中間の駅で、別の区間を走る蒸気機関車と隣同士のホームで待ち合わせて発車する。そのとき、それぞれの蒸気機関車に乗っている人たちが、もう一つの蒸気機関車に乗っている人たちに向かって手を振っていた。蒸気機関車に乗るという非日常が、見知らぬ人に手を振るという無邪気さを思い出させてくれるのだろう。

 保存鉄道というと、去年、イギリスでブルーベル鉄道に乗車したことが記憶に新しい。やはりブルーベル鉄道も蒸気機関車で、車窓からは、羊などが放牧されているのどかな草原が広がっていた。今回も同様に、車窓から広がる草原がとても素晴らしかった。馬や牛、羊などが放牧されている緑いっぱいの草原は、せかせかした日常を忘れさせてくれた。私たちがホテルを出た頃は、小雨も降りそうな空模様だったのだが、いつの間にかすっかり回復して、むしろ暑さを感じるくらいに晴れ渡っていた。

 窓から広がるのどかな草原に癒されながら、私はスーパーで買って来たサンドイッチをほおばった。野菜不足にならないように、サンドイッチには、同じくスーパーで買って来たカット野菜をふんだんに挟み込んだ。喉が渇くと、フルーツジュースで喉の渇きを潤った。至福の時間というのは、こういう時間のことを言うのではないだろうか。日本で直前まで体験していたせかせかした時間がまるで別世界のようだ。仕事のことも、筋腫のことも、すっかり忘れてしまっていた。

 およそ三十分ほどで、私たちは終点のLe Crotoyに着いた。ここから再び折り返すのだが、列車の発車まであと二時間もある。私たちと同じ列車に乗っていた人たちは、列車を降りたあと、線路沿いの道を歩いてどこかに消えて行った。どうやらこの近くに、待ち時間を快適に過ごせる施設があるらしい。私たちは、蒸気機関車を念入りに撮影していたため、同じ列車に乗っていた人たちが一体どこへ行ったのか、確認することができなかった。そして、他の方たちよりもかなり出遅れて歩き始めた私たちは、どうやらこの辺り一体が避暑地らしいことに気付く。

 というのも、一般の家と違い、あまり生活感の溢れていない番号付きの家が、フランスの人たちがひと夏を過ごすための貸し別荘であろうことに気が付いたからだ。こうした場所があることは、確か映画でも観たことがある。夏になると、フランスの人たちは荷物をまとめて家族で出掛けて行く。フランスには、夏をのんびり過ごすための長い夏休みが用意されているらしい。なるほど、それでパリには今の時期、フランス人が少ないのかもしれない。

 ガンモと二人でずんずん歩いて行くと、やがて海が見えて来た。港には何艘ものヨットが停まり、空にはカモメが飛んでいる。ウミネコの鳴き声も聞こえて来る。その景色を見た途端、私は、
「ガンモ、ここ、すごくいいよ」
と言った。ガンモも、
「ああ、これでやっとフランスに来たって実感が沸いて来たよ」
と言った。私たちが宿泊している北駅周辺は、フランス人よりも移民の方たちが多い場所である。しかし、今、私たちが立っている場所には、フランス人しかいない。更に、別荘のようではあるが、視界に入るところにフランスの住宅がある。北駅周辺は商業地区なので、一般の住宅は見当たらない。ここに来て、いかにもフランスらしい雰囲気をたっぷりと味わっているうちに、北駅周辺には移民の方たちが多いなどと言う前に、今の私たちのほうがむしろフランス人の方たちがのんびりと過ごしている空間に乱入してしまっているのではないかと思えて来た。

 私たちは海の風に吹かれながら、海辺を散歩し、再びLe Crotoyまで歩いて戻った。列車が発車する時間まであと二十分ほどあったが、どこからともなく列車に乗車する人たちが集まって来て、駅周辺はたくさんの人たちで賑わっていた。結局、彼らが二時間ほどの待ち時間をどこで過ごしていたのかはわからないままだった。

 帰りは行きとは反対側の景色を眺められるように座った。しかしどういうわけか、帰りはあっという間にNOYELLES SUR MERに着いてしまった。行きと違って下り坂だったのか、それとも、運手士さんが何らかの事情により、急いで運転したのか、それはわからない。私たちは、蒸気機関車の余韻に浸りながら、NOYELLES SUR MERからフランス国鉄に乗り換え、ホテルのある北駅まで戻った。帰りは乗り換えの必要のない直通特急だったので、乗り換え時間が少しだけ浮いた。時刻はまだ十七時半くらいだったので、ガンモと相談して、そのあと映画『アメリ』の舞台となったモンマルトル周辺を散策することにしたのだった。モンマルトル散策の様子については、記事が長くなってしまうので、帰国してからゆっくりと書かせていただくことにしよう。

※撮影した写真のスライドショーを貼り付けておきます。なお、スライドショーが表示されない場合や、写真へのコメントをご覧になる場合は、ソンム湾鉄道をご覧ください。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 手を振ってくれるのは、蒸気機関車に乗っている人たちだけではありませんでした。道路を走っている車に乗っている人たちも、歩いている人たちも、蒸気機関車を見付けると手を振ってくれました。おそらく避暑地であろうことからすれば、手を振ってくれたのは地元の人たちかどうかはわかりませんが、とにかくみんなに愛されている鉄道だということが良くわかります。子供たちと楽しい思い出を作ろうと、家族連れでやって来て、ちょっぴり非日常を味わえる鉄道に楽しみながら乗車するのは、日本もイギリスもフランスも変わらないのですね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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