« ヴェリブ・デビュー | トップページ | リトル・ベニス »

2008.08.16

パリのコインランドリー初体験

ヴェリブ・デビューの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m ヴェリブの楽しさとスリルが、皆さんにも伝わったでしょうか。三十分以内にヴェリブ・ステーションにヴェリブをいったん返却するというウルトラマンのカラータイマー的な制限が、何とも言えない緊張感を与えてくれました。利用者が多いのも、そんな緊張感を味わう楽しさに出会えたからかもしれません。さて今日は、ヴェリブに乗ってコインランドリーに出掛けたときのことを書いてみたいと思います。

 パリに滞在して五日目のことである。洗濯物がひどく溜まってしまっていたので、クロード・モネの邸宅と庭園に足を運んだあと、私たちはヴェリブに乗って、ホテルから比較的近いところにあるコインランドリーに出掛けた。パリの北駅からサン・ラザール駅に向かう途中で見付けたコインランドリーである。 

 ヴェリブを停めて中に入ってみると、フランス人のおじさんが一人、コインランドリーを利用していた。私たちは、ひとまず壁に掲げられている注意書きに目を通そうとしたが、フランス語で書かれているため、何が何だかさっぱりわからなかった。とりあえず、経験としてわかったことは、去年、利用したロンドンのコインランドリーと同じように、コインランドリー内の洗濯機や乾燥機がすべて集中管理されているということだった。集中管理とはすなわち、一台一台の洗濯機や乾燥機にコインを入れて使用するのではなく、コインランドリー内のすべての洗濯機や乾燥機を操作することのできるコントローラにお金を入れて、自分の指定する洗濯機や乾燥機の使用を開始するということだ。

 何となく雰囲気はつかめたものの、そのコインランドリーを利用するのが初めてだったため、私たちがしばらくもたもたしていると、フランス人のおじさんが私たちに話し掛けてくださった。しかし、おじさんが話す言葉もまた、壁に掲げられている注意書きと同じフランス語だった。私たちはおじさんの言っていることをほとんど理解することができずに首をかしげてしまったが、おじさんはそれでも気にせずフランス語でしゃべり続けてくださった。おそらく、初めてパリのコインランドリーを利用するであろう私たちに対し、自分の知っていることを何としてでも伝えようとしてくださったのだろう。そうした状況がしばらく続いたのちに、おじさんの身振り手振りも加わり、私たちには何となくおじさんの言っていることがわかるようになった。やはり、私たちの予想した通り、まず洗濯機を選び、洗濯物を洗濯機の中に入れて、洗濯機の上から洗剤を注ぐということだった。それからコントローラにお金を入れて、自分の使用する洗濯機の番号を指定しなさいということだったのだろう。

 私たちの洗濯物はかなり多かったので、六キログラムの洗濯物を洗濯できる小さいほうの洗濯機ではなく、八キログラムの洗濯物を洗濯できる大きいほうの洗濯機を選んだ。ガンモがコントローラにお金を入れると、すぐに私たちの選んだ洗濯機が反応して動き始めた。ところが、洗濯機の蓋を閉めていなかったのことがわかり、一瞬、青ざめてしまった。私たちは去年、ロンドンのコインランドリーで同じような過ちを犯してしまい、高い高い洗濯代金を支払った。しかし今回は、フランス人のおじさんが、私たちの選んだ洗濯機の蓋が閉まっていないことに気付き、洗濯機の蓋を素早く閉めてくださった。そのときのおじさんのリアクションを日本語で想像すると、
「おっと危ない。蓋が閉まっていなかったね。まだ間に合うかな、よっこらしょと。はい、これでOK」

 ありがたいことに、ロンドンのコインランドリーのような事態には至らず、洗濯機はすぐにリカバリできた。無事に洗濯機に水が送り込まれ、洗濯機の注ぎ込んだ洗剤も吸い込んで、順調に動き始めたのである。洗濯機が二度洗いする機能を持っていることも、ロンドンのコインランドリーとまったく同じだったので、私は日本から持ち込んだ洗剤を指定された二箇所に分けて注ぎ込んでおいたのだ。

 ところが、フランス人のおじさんは、私が入れた洗剤の量が少ないという身振りを示した。当然のごとく、そのコインランドリーでは洗剤も販売されていたのだが、洗剤の自動販売機を見てみると、五百ミリリットル入りのペットボトルを三分の一程度の大きさにカットしたカップが設置されていた。洗剤の自動販売機にお金を入れると、そのカップの中に洗剤が出て来るのだろう。

 一方、私が入れたのは、日本で売られている袋入りの一回分の洗剤を二つである。その二つを足したとしても、洗剤の自動販売機の下に設置されているカップの半分にも満たない量だろう。しかし私としては、例え洗濯物を二度洗いするとは言え、既に洗剤を二袋も注ぎ込んだので、これで十分だろうと思っていた。私がそれ以上、洗剤を注ぎ込むのを渋っていると、おじさんは「まあいいか」というような素振りを示していた。

 こうして何とか無事に洗濯機が回り始めたので、私たちは、ヴェリブをヴェリブ・ステーションに返却するために、いったんコインランドリーを出た。もちろん、いろいろ教えてくださったフランス人のおじさんに、
「メルシー・ボークー」
とお礼を言うのを忘れなかった。

 運良く、ヴェリブ・ステーションはコインランドリーのすぐ近くにあったので、私たちは三十分を超過することなく、ヴェリブ・ステーションにヴェリブを返却することができたので、ひとまずホッとした。そして、外の空気を吸ったあと、ほどなくしてコインランドリーに戻った。すると、さきほどのおじさんが洗濯を終えて、乾燥機から取り出した洗濯物を一枚一枚丁寧に畳みながらバッグに詰めていた。普段、私でもしないようなことを、そのおじさんは丁寧に時間を掛けて実践されていた。このおじさんは、パリで一人暮らしをされているのだろうか。コインランドリーで洗濯をされているということは、ご自宅に洗濯機がないのだろうか。もしも私たちがフランス語を話すことができたならば、こうした待ち時間におじさんといろいろなことを話せたのにと残念に思った。

 やがておじさんはすべての洗濯物を畳み終わった。そして、コインランドリーを出て行くときに、私たちに乾燥機の使い方を説明しようとしてくださった。おそらく、さきほど洗濯機を使い始めたときと同じように、乾燥機に洗濯物を入れてから、コントローラにお金を入れれば良いというようなことをおっしゃったのだと思う。私たちは、再びおじさんに、
「メルシー・ボークー」
とお礼を言って、コインランドリーを去って行くおじさんを見送った。

 私たちの選んだ洗濯機は、およそ三十分ほどで洗濯を終えた。私たちに根気強く使い方を教えてくださったおじさんがいなくなってしまってちょっぴり心細かったが、私たちは洗い終わった洗濯物を洗濯機から取り出して、今度は乾燥機に入れた。乾燥機の使用料金は驚くほど安く、一回わずか〇.五〇ユーロだった。ただし、日本のように一回三十分も回り続けるのではなく、動いていたのはせいぜい十分程度だったと思う。乾燥機が思っていたよりも早く止まってしまったので、私たちはコントローラにもう一度、お金を入れて、同じ乾燥機を回した。しかし、二回目の乾燥が終わっても、私たちの洗濯物はほとんど乾いてはいなかった。きっと、洗濯物の量が多いのに、乾燥時間が足りていないのだろう。しかし、あまり時間もなかったので、私たちはこれ以上、乾燥機を回し続けるのは諦め、洗濯物を生乾きのまま袋に詰めて、ホテルに持ち帰った。水をたっぷりと含んだ五日分の洗濯物は、ずっしりと重かった。そして、ホテルの部屋の至るところに洗濯物を干したのである。こんなときのために、私は洗濯物を吊るすロープまで持参していたので、とても役に立った。

 おじさんのおかげで、かつてのハワイロンドンのような失敗に至ることはなかった。過去の失敗が、間違いなく教訓に繋がっているからこそ、フランス語しか話さないおじさんの言っていることを、想像することができたのだと思う。また、おじさんが、フランス語を理解できない私たちに伝えようとする姿勢を崩さなかったことも、今回の成功に繋がっていると思う。そんな親切なおじさんが、同じコインランドリーに居合わせてくださったということは、私たちにとって、とても運が良かったのだ。あのおじさんに出会えたことで、私たちは滞在五日目にして、ようやく生のパリを感じることができたように思う。

※撮影した写真のスライドショーを貼り付けておきます。なお、スライドショーが表示されない場合や、写真へのコメントをご覧になる場合は、パリのコインランドリー初体験をご覧ください。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m フランス人のおじさんが、私たちに伝えたいという姿勢をずっと崩さないでいてくださったことは、今回の私たちの成功に大きく繋がっていると感じます。私は頭でいろいろ考えてしまうタイプなので、もしもおじさんと同じような状況にぶち当たってしまったとしたら、途中で相手に説明するのを止めてしまうかもしれません。でも、止めてしまったら、壁にぶち当たったままで終わってしまうんですよね。時には頭でいろいろ考えるのを止めて、一つの姿勢を崩さずに続けてみるということもアリなのかもしれないと、今回の経験を通して思いました。思考を巡らせて先回りするのではなく、自分のペースで地道に進んで行くことの大切さを実感させてくれる出来事でありました。今回の成功は、おじさんのまっすぐな姿勢と、過去における私たちの苦い経験が組み合わさって生まれたコラボレーションと言っていいでしょう。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« ヴェリブ・デビュー | トップページ | リトル・ベニス »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/42188867

この記事へのトラックバック一覧です: パリのコインランドリー初体験:

» 洗濯物に付着したティッシュを簡単に取る裏業 [洗濯のブログ 洗濯ナレッジ]
ポケットの中に入っていたティッシュを出し忘れ、うっかり洗濯すると、事態は最悪です。他の洗濯物にもティッシュの残骸が付着してパニック状態になります。この場合、洗濯物を持って、コインランドリーへ行きましょう。乾燥機で約20分乾かすことで、ティッシュは跡形もありません。多少、付着していたとしても、パンパンと払えば、落ちます。 家庭用の乾燥機でも落ちますがパワーのあるコインランドリーの乾燥機のほうがベターです。どっさり重曹20kgまとめ買い(5kg×4袋)掃除の通販専門店... [続きを読む]

受信: 2008.08.20 18:03

« ヴェリブ・デビュー | トップページ | リトル・ベニス »