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2008.08.09

ミイラとご対面

ガンまる、ユーロスターに乗るの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 食事が終わっても、ワインがまだ少し残っていたので、ワイングラスとワインだけをテーブルに残して、食事のトレーをいったん下げていただいたのです。その後、ワインを飲み終えたので、下げていただくつもりでワイングラスとワインの空びんを差し出すと、"Another one?"と聞かれました。(苦笑)"No, thank you."と言ってお断りしましたが、積極的なサービスに感動しました。

 午前三時半に目が覚めた。と言っても、パリとロンドンでは一時間の時差があるので、パリの時間で言えば午前四時半である。いつものように、私は、朝食の時間までに写真を整理し、旅行アルバムに写真をアップした。そうこうしているうちに、朝食にちょうどいい時間になったので、ガンモと一緒にホテルのレストランで朝食を取り、出掛ける準備を整えた。

 去年、ロンドンを訪問したときに達成できなかったことがある。それは、大英博物館に足を運ぶということだ。ロンドンに行って大英博物館に足を運ばないのは、パリに行ってルーブル美術館に足を運ばないのと同じくらい失礼なことなのかもしれない。しかし、今回の旅において、私たちはパリのルーブル美術館にも足を運ばなかった。私に限って言えば、独身の頃、ツアーでヨーロッパに出掛けたときに、大英博物館には足を運んでいないが、ルーブル美術館には足を運んでいる。ルーブル美術館の館内で模写をしている人が多かったのがとても印象的だった。それはさておき、私たちは去年、足を運ぶことができなかった大英博物館を訪問することにしたのである。

 大英博物館の広い館内は、たくさんの利用客で溢れ返っていた。大英博物館の入場料は無料だが、館内のあちらこちらで自主的な寄付を募っている。利用客が多いのは、入場料が無料であることも大きいのかもしれない。

 私たちは、エジプトの展示物を中心に見て回った。最初のうち、私はイギリスという国が、これだけ多くの他国の貴重な財産を次々に収集して、元の国になかなか返却しないことに腹を立てていた。何故なら私は、例えばエジプトで見付かったものは、エジプトの貴重な財産だと思うからだ。しかしイギリスは、それらを自分の国のものとして大英博物館に展示している。簡単に言えば、正々堂々と他国の略奪品を展示しているように思えてしまったのだ。

 展示されている美術品の中には、完全な形の彫刻ではなく、あちらこちらが大胆にも欠けてしまっている彫刻も多かった。私は決して、彫刻に対する完全性を求めたいわけではない。例えあちらこちらが欠けてしまっているとしても、こうして館内に展示されていることで、かえってイギリスの美術品への強い執着心を感じてしまったのである。

 更にもう一つ、私は別の観点からも嫌悪感を抱いていた。その観点とは、美術品と美術品でないものの切り分けについてである。大英博物館には、エジプトのお墓を掘り起こして得たミイラや骸骨、遺体などが展示されている。例え展示されているものがどれほど豪華なものであったとしても、それはもともと誰かのお墓であり、永眠している人を元の場所に留まらせずに、わざわざ大英博物館まで運んで展示しているのである。例えば、日本にとても豪華なお墓があったとしよう。墓石に見事な彫刻が施され、棺にも目を見張るほどの豪華さが現れているとしたら、そのお墓を掘り起こして博物館に展示することに対し、人々は同意するのだろうか。それが日本国内の博物館に展示されるのならば、まだ人々の理解を得られるかもしれない。しかし、他国の博物館に展示されているとしたらどうだろう。それに、お金持ちの人のお墓と、一般の人のお墓と一体何が違うのだろう。私には、お金持ちの人のお墓も一般の人のお墓も、お墓という意味では区別がないように思える。古いお墓も新しいお墓も同じだ。しかし、お金持ちの人の豪華なお墓で、時代が古ければ掘り起こして他国に持って行って博物館に展示しても許されているように思える。

 そんな様々な嫌悪感が渦巻いて、私はガンモに、
「大英博物館、嫌だ。もう出よう」
と提案したのだった。ところが、館内をじっくりと見て回っているうちに、そのような嫌悪感も次第に和らいで来た。というのも、これだけの数の美術品を常に良い状態で保管し続けるには、莫大な費用が掛かるであろうことを想像したからである。それらの莫大な費用を利用客からの入場料でまかなっていないところに、イギリスの真剣さを感じ取ったのだ。

 そうして私がイギリスを受け入れると、展示されているエジプトのミイラがすっと心に入って来た。お墓を掘り起こされてここに展示されているミイラたちは、本当はエジプトで静かに眠っていたかったかもしれないが、こうして大英博物館に展示され、多くの人たちの目に触れることで、多くの人たちが彼ら(ミイラ)の生きた時代に触れることができる。そのことは、彼ら(ミイラ)にとっても、大きな喜びであり、誇りでもあるかもしれないと思ったのだ。

 また、こうした形で様々な展示物が大英博物館に集まっていることで、私たちがわざわざエジプトやその他の国に足を運ぶことなく、個々の国々が持つ独自の文化に効率的に触れることができる。大英博物館は、立派にその役割を果たしていると感じた。

 実際、ミイラや骸骨や遺体を目にするのは痛々しいものがあったが、逆に、ここで既に多くの人たちの目に触れて来たという事実が、そうした痛々しさを和らげてくれた。そこに大英博物館の偉大さを感じたのである。視点を切り替えてみると、最初は美術品や出土品に対する執着のように感じていたイギリスの姿勢も、美術品や出土品に対する愛情を持っているからこそ、無料での公開が実現できているのではないかと思えて来たのだった。

 私は、エジプトという国が独自の文化を持っていることに強く魅せられた。お土産売り場で、エジプトグッズを購入したのは言うまでもない。とりわけ、ミイラの入っている棺の形をした金属性のペンケースに著しく魅せられ、自分用のお土産としても購入した。大英博物館を出たあとも、そのペンケースを手に入れることができたことがうれしくて、しばらくの間、興奮していた。

 大英博物館には、すべて見て回るのに一体どれくらいの時間が必要なのかわからないほど多くのものが展示されていた。イギリスは確かに、これらの展示物に対して真剣に取り組んでいる。今回、すべての展示物を見て回ることはできなかったが、これらの展示物に対するイギリスの真剣な姿勢を確認できただけでも得たものは大きかったと思う。

※撮影した写真のスライドショーを貼り付けておきます。なお、スライドショーが表示されない場合や、写真へのコメントをご覧になる場合は、ミイラとご対面をご覧ください。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ロンドンの物価の高さは、日本の旅行者を悩ませていると思います。例えば、今回、旅行アルバムの中に収めたサラダが、大英博物館のフードコーナーでは日本円で千円以上します。確かに物価は高いけれど、一方では病院代が無料など、いざというときのために蓄えられているのですね。それはさておき、最初は嫌悪感さえ感じてしまったイギリスの姿勢でしたが、真剣さを確認することができて良かったと思います。美術館や博物館の存在意義についても考え直すきっかけになりました。作品が一箇所に収集されていることで、私たちの時間短縮にも繋がっているのですね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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