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2008.07.11

映画『告発のとき』

情報を買うの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 私が情報を買うときは、情報を販売するために用意されている紹介ページがどれだけ丁寧で詳細かということに注目しています。単に情報を売りたいというだけならば、紹介ページは結果を急ぐ余り、手を抜いたものになるように思います。これまでの私の経験から言えば、紹介ページと実際に購入した情報の質は比例しているようであります。さて、今回の記事は、またしても二週間ほど前に鑑賞した映画のレビューを書かせていただこうと思います。

 この映画の前売券は、派遣会社の福利厚生サービスを利用して購入していたため、何ヶ月も前から私の手元にあった。公開されるまでに、映画館で何度かこの映画の予告編を目にしたが、通常は明るみにされることのない闇の部分にスポットを当てた作品であろうことが見て取れた。

 この映画は、二〇〇三年に実際に起こった事件を基に製作されているそうだ。元軍人であるハンクの元に、イラクから帰還したはずの息子のマイクが軍の基地に戻って来ないという知らせが届く。どうしたことか、やがてマイクは、基地の近くで焼死体となって発見される。もうそれだけで、マイクの死に、軍が何らかの形で関与しているのではないかと想像できる。

 ずばり、この映画では、イラク戦争で戦っているアメリカ軍兵士たちのPTSD(心的外傷後ストレス障害)の問題を扱っている。PTSDというと、あまり知識のない私は、どちらかと言うと引きこもりのほうを想像してしまうのだが、この映画に映し出されているのは、平常心を失い、これまでよりもむしろ残酷になってしまった兵士たちの姿である。

 イラク戦争で戦っているアメリカ軍兵士たちは、それぞれの魂が望んでいるかどうかに拘わらず、任務として人殺しをする。考えてみれば、世の中に、これほど残酷な任務があるだろうか。あるとしたら、死刑執行人と呼ばれている人たちも、イラクで戦っているアメリカ軍兵士たちと同じようなストレスを抱えているのかもしれない。ハンクの息子であるマイクもまた、そうしたストレスを抱え込んでいたようだ。ハンクは、マイクの携帯電話に残された動画を追いながら、これまで知らなかった息子の残酷な一面を知ることになる。

 こうなると、戦争がいけないとか、人殺しはいけないとか、そういった次元の話ではないことに気づかされる。殺された人が無念だからとか、遺族が悲しむから人を殺めてはいけないとか、そういう「いい子ちゃん」的な考えだけでは物足りない何かを感じてしまう。魂が本当は望んでもいないことを実践してしまっていることが問題なのだ。魂が望んでいない行動を取ると、何からの歪が生じるということである。もともと私たちは、そのようにできているのだと思う。しかし、悲しいかな、PTSDのような経験なくしては、こうした仕組みに気づかないようになっている。イラクに出兵しているアメリカ軍兵士たちにPTSDの症状が出ているのも、魂が本当は望んでいないことに気づかずに彼らと同じ道を辿ろうとしている人たちへの警告とも言えるだろう。

 私はこの映画を観たとき、つい先日、私の派遣先の会社で退職したばかりの男性社員のことを思い出した。彼は、六年前に現在の職場で、私を面接して採用してくれた人だった。人の気持ちのわかる、とても繊細な人だったのだが、仕事の忙しさのせいか、どうやら心と身体が悲鳴を挙げてしまったらしい。そこで、しばらく休職されていたのだが、少し前に職場に復帰された。ところが、何年か振りに再会したその方は、以前のような覇気は感じられなくなってしまっている上に、休職中の仕事のギャップを取り戻すのに四苦八苦されている様子だった。そしてとうとう、先日、退職されたのである。

 退職される前に、私は、
「お元気だった頃のことが懐かしく思い出されます。そう言えば、○○さんには特に厳しく接してらっしゃいましたよね。また、以前のようにお元気になってください」
と言った。私がそんなことを言ったのは、その人が、特定の部下に厳しく接している姿が印象に残っていたからだ。すると、その人は、
「人に厳しくすると、やがては自分に返って来るということにようやく気がつきましたよ」
とおっしゃった。私はその言葉に立ち止まり、
「なかなか深い話ですね」
と言った。すると、その人は、
「いや、深くもなんでもないですよ。みんな、そういうことにもっと早い時期から気づいているのに、私は気づくのが遅過ぎたたんです」
とおっしゃったのだ。

 今になって思えば、仕事のために自分や部下を追い立てていたその人も、PTSDに近い症状だったのかもしれない。だから、人に厳しくすると、それが別の形で自分に返って来るということを、やがて知ることになったのだろう。何故なら、それはその人の魂が本当に望んでいることではなかったから。それを知るために、その人の身の上には、自分自身への警告という形で心と身体に変化が訪れたのではないかと思う。そして、この映画に登場したイラク戦争で戦ったアメリカ人兵士たちもまた、PTSDという形で、もともと魂が望んでもいない自分の行為が自分に返って来たと言えるのではないだろうか。

 ところで、この映画の監督をつとめたのは、かつて映画『ミリオンダラー・ベイビー』や映画『父親たちの星条旗』、映画『硫黄島からの手紙』などの脚本を手掛けて来た脚本家ポール・ハギス氏だそうだ。そして、今回の作品でも彼が脚本を手掛けている。

 ハンク役の俳優トミー・リー・ジョーンズは、最近何かの作品でお目にかかったはずだと思っていたら、映画『ノーカントリー』で保安官の役を演じていた俳優さんだった。保安官の役も良かったが、今回の、息子を亡くした父親の役もいい。それほど口数の多くない役をこなすには、自分の中に重心を持っている役者さんでないとなかなかしっくり来ない。彼は、自分の中にしっかりとした重心をもった役者さんである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 映画を鑑賞している最中よりも、あとになってからいろいろ考えさせられる映画でありました。PTSDという病気は、過去の自分の行いを振り返らせるために現れる症状なのでしょうか。少なくとも、私はこの映画を観てそのように感じました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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