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2008.07.20

迷える子羊

乳房腫瘤-疑い(後編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 何はともあれ、乳がんの疑いが晴れてほっとしています。健康診断を受けると、乳がんのセルフチェック方法を書いた用紙を配ってくださいますが、自分でチェックしようにも、それが乳がんのしこりなのか、良性のしこりなのか、良くわからないと思います。でも、不安に思って、自分でマンモグラフィーの検査を受けると、ひどく高価なんですよね。私がお世話になっている病院でも、患者という形ではなく、検査という目的で訪れた人に対しては一万円くらいの金額が請求されるようでした。しかし、私のように健康診断で引っかかった人は、検査に保険が適用されるようです。マンモグラフィーと胸部エコー、それから婦人科の診察も合わせて三千六百円程度で受診できました。騒動の中にあっても、ちょっぴり得した気分でありました。(苦笑)

 一度は手術を受けようと心に決めたものの、時間が経つにつれて、私の中には手術に対する大きな迷いが生じ始めていた。そうした状態のときに出会ったのが、ホットヨガのインストラクターが口にした「自然治癒」という言葉だった。その言葉を念頭に置きながらインターネットを検索していると、情報を買うの記事に書いたように、ある有料の情報に辿り着いたのだ。その情報を発信しているサイトは、真剣に作成されたとても丁寧なサイトだったので、私は思い切ってその情報を購入することにした。ありがたいことに、購入した情報は詳細かつとても素晴らしい内容だった。私は、そこに書かれている内容を少しずつ実践し始めた。簡単に言えば、エストロゲンを多く含む牛乳の摂取をやめて野菜を多く摂り、糖分も控え、肉食も控える生活を送るということだ。コーヒーや紅茶も飲まないほうがいいとのことだったので、大好きだったミルクティーも絶っている。

 そうすると、それらを実践し始めてわずか数日で筋腫が柔らかくなった。しかし、生理が近づいて来ると、私の筋腫は再び固くなり始めた。これから先、どうなるかわからない。まだ生理が来ていないので、何とも言えないが、私と同じようにこの情報を購入した人たちの中には、生理も軽くなり、筋腫も小さくなった人がいるらしい。

 私は、これらのことを実践し、検証するための期間が欲しかった。そのため、I医師には、
「もしも手術を受けるなら、年末にお願いしたいと思っています。でも、まだ手術を受ける決心がつきません」
と正直に言った。更に、
「手術の方法としては、腹腔鏡による手術を希望していますが、私の場合、お腹に脂肪があるのと、筋腫がおへそよりもかなり上の方まで来ているので、腹腔鏡による手術に適しているかどうかわかりません」
と言うと、I医師は、まるで他人事のように、
「頑張って痩せてください」
と言ったあと、
「今、おへその上に筋腫があったとしても、(女性ホルモンを抑制する)注射により、筋腫は小さくなりますので、おそらく、心配ないでしょう」
と答えてくださった。私は、注射により、筋腫が小さくならなかった例も知っているので、
「注射をしても筋腫が小さくならないこともあるようですが、それは、筋腫の場所が関係しているのでしょうか?」
と尋ねた。すると、I医師は、
「筋腫の種類によりますね」
と答えてくださった。筋腫にも、女性ホルモンの分泌を抑制する注射が効きやすい筋腫とそうでない筋腫があるらしい。具体的に、どのような筋腫が注射で小さくなり易く、どのような筋腫が注射で小さくなりにくいのかは、I医師の口からは語られなかった。

 私は、女性ホルモンの分泌を抑制する注射を打つことについても迷いがあった。実際、私の周りに半年間、この注射をして生理を止めた人がいるのだが、彼女はホットフラッシュの現象に悩まされていた。彼女曰く、三十分ごとに暑い感覚と寒い感覚が入れ替わり押し寄せて来たそうだ。また、変な汗をかいて困るとも言っていた。現在、私はホットヨガのレッスンのあと、顔がひどくほてり、しばらくの間は顔から汗がダラダラと出て来て仕方がないが、それよりも厳しい状態が注射を打っている数ヶ月の間、ずっと続くのである。私はその状況に耐えられるかどうか、あまり自信がなかった。そこまでして筋腫を小さくしてから手術に臨むくらいなら、最初から開腹手術を覚悟しておいたほうがいいのではないかとも思えて来たのだ。

 私は、
「注射を打つと、ホットフラッシュの現象に悩まされるんですよね」
とI医師に言った。するとI医師は、またしても他人事のように、
「それは仕方がないね」
とおっしゃった。女性の身体は、エストロゲンが多くなれば筋腫などを始めとするエストロゲン過多の症状に悩まされ、エストロゲンが少なくなれば、ホットフラッシュや骨粗鬆などのエストロゲン不足の現象に悩まされる。しかも、プロゲステロンを補充し過ぎると、眠気がひどくなる程度だが、足りなくなったエストロゲンを人口ホルモンに頼って補充すると、ガンの危険性も出て来る。女性ホルモンのバランスを保つのは実に難しいものである。

 もう一つ、私の中に芽生えていた感情があった。それは、自分の筋腫の大きさを原型のまま確認しておきたいという願望である。腹腔鏡の手術を受ければ、摘出物は膣から取り出すことになるため、専用の器具により、膣からの摘出が可能な大きさに切り刻まれながら手術が行われる。そうなると、実際に私の子宮の中にどのくらいの大きさの筋腫が生息していたのかを把握することができなくなってしまう。手術後に、
「はい、これがあなたのお腹の中から出て来たものです」
と見せられたとしても、もはやそれは原型を留めてはいないのである。筋腫の重さを知ることはできるが、正確な大きさを知ることは難しいかもしれない。

 私は、以前、開腹による筋腫核手術を受けた直径十二センチの彼女に、彼女の子宮から摘出された筋腫の写真を見せてもらったことがある。その中には、病院側に撮影してもらった思われる写真も含まれており、ものさしと一緒に彼女の子宮から摘出された筋腫が写っていた。彼女は、今後は絶対にこうはならないと、自分の肝に命じるために、ときどきこの写真を眺めるのだと言っていた。

 手術に対する決心がなかなかつかない私は、I医師に、
「自力で筋腫を小さくしようと思いまして」
と言った。すると、今まで黙って話を聞いていた看護婦さんが笑った。私の言葉に対し、I医師は、
「十年早い」
と言った。そして、
「あなたが五十二歳なら自力で小さくできるでしょうけど」
と続けた。I医師曰く、
「自力で何とかしようと思ったら、一ヶ月ほど断食をすれば生理が止まりますので、筋腫は小さくなりますが、お勧めはできません」
と面白いことをおっしゃった。
「ああ、なるほど。生理が止まってエストロゲンも分泌されなくなるので、擬似閉経の状態になるんですね」
と私が言うと、I医師は、
「そうです」
とうなずいていた。私は一ヶ月の断食を想像し、手術への恐怖と天秤に掛けてみたが、どちらを積極的に選びたいか良くわからなかった。おそらく、一ヶ月の断食というのは、食いしん坊の私には無理な話だ。

 手術を決断するにあたり、I医師にいろいろと質問しておこうと思い、自己血輸血についても確認してみたところ、やはり一回につき、四〇〇ccも採取するのだそうだ。しかも、通常は合計三回分採取するらしいが、私の場合は二回で大丈夫だろうということだった。注射の針が身体の中に入っていることをイメージすると気が遠くなってしまう私は、健康診断の採血も歯をくいしばって受けているくらいだ。それなのに、一回に四〇〇ccも採取できるのだろうか。そんな私だから、当然、献血の経験もないのだ。しかし、手術を受けると決めたら、通らなければならない難関のようである。

 私はI医師に、
「もし手術をお願いするとしたら、年末に開腹手術でお願いします。先生に開腹手術をお願いするのは大変申し訳ないのですが・・・・・・」
と言った。何故ならI医師は、開腹しなくても筋腫を取ることのできる高い技術をお持ちであり、開腹以外の手術を率先して行っていらっしゃるからだ。I医師は、
「手術の痕がわかりにくくなるような対処はさせていただきますけど」
と言ってくださった。

 その後、再び血栓の話になった。以前、I医師から、私のように筋腫が大きいと、血栓ができる可能性があり、血栓ができるとかなりやっかいなことになるという話をうかがった。今回も、血栓の話が出たのだが、前回よりももう少し具体的なところまで話が及んだ。I医師曰く、私のように大きな筋腫がある場合、骨盤から下に血栓ができている場合があるそうだ。しかし、例え血栓ができていたとしても、自覚症状はないそうだ。ただ、手術を受けると、はがれた血栓が流れて行き、肺に達してしまうと命取りになるのだそうだ。そのため、手術の前には血栓ができているかどうかの検査も必ず行うことになっているそうだ。もしも血栓ができていた場合、静脈に詰め物をする必要が出て来るそうだ。そうなると、I医師の病院では手術が行えなくなってしまうので、別の病院で手術をしてもらうことになると言われた。これまで手術から逃げ回っていた私だったが、こうして放置しておくと、他にもいろいろな弊害が起こってしまう可能性もあるということを改めて認識した。

 ただ、私の決心がまだつかないということで、次回の診察までに手術をするかしないかの結論を出しておくことになった。I医師は、
「十月頃には、年末の手術の予定が埋まってしまうと思いますので、次回までに決めておいてください」
と言ってくださり、いつものように二ヶ月分の桂枝茯苓丸と一ヶ月の鉄剤を処方してくださった。

 次回の診察は九月である。二ヶ月もあれば、現在取り組んでいる改善策に対する結果も出るだろう。そのときに、それらを実践し続けることで、この先、手術が必要になるかどうかは自分で判断できるはずだ。私はI医師にお礼を言って、診察室を出た。

 ガンモからは、乳がんの精密検査の結果をすぐに知らせて欲しいと言われていた。しかし、ガンモは二日連続で夜勤の仕事をこなしたあとで、私が病院を出た頃は自宅で睡眠をとっているはずだった。私はガンモの睡眠の邪魔をしたくなかったので、ガンモの携帯電話に、乳がんではなかったことを知らせるメールを送信した。すると、ガンモは起きていたのか、
「ガンじゃなくて良かった(*^^*)」
と、すぐに返事が返って来た。

 何はともあれ、乳がんの疑いも晴れ、手術の決断についてもあと二ヶ月の猶予をもらい、診察を受ける前とはうって変わって、軽い足取りで神戸駅へと向かったのだった。そして、せっかくの火曜日のレディースデイの休みを活かすべく、また、ガンモの睡眠を邪魔しないようにするために、映画を鑑賞してから元気良く帰宅したのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m またしても、更新が遅れがちになってしまい、申し訳ありません。今回はなかなか更新できないので、皆さんにお詫びしようかと思っていましたが、何とか更新することができました。ふう、毎日、本当に忙しいです。でも、忙しくなれば忙しくなるほど、頭が良く回るのか、頭の中でいろいろと文章を組み立てていることが多いのです。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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