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2008.03.15

十時間の大移動と映画『UDON』

城崎温泉カニ尽くしの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 暖かくなり、カニのシーズンもそろそろ終わりです。すべり込みセーフでしょうか。ちなみに、撮影に使用したカメラは、先日購入した携帯電話(SO905iCS)に付属のカメラであります。

 城崎温泉の旅館をチェックアウトした私たちは、再び青春18きっぷの旅に出た。ご存知のように、青春18きっぷとは、一日二千三百円で全国のJRの普通列車に何度でも乗り降り可能な切符である。私たちが次に目指したのは、ガンモの実家のある香川県坂出市である。週末をガンモの実家で過ごすため、私たちは城崎温泉からおよそ十時間掛けてようやく坂出に辿り着いた。

 乗車したルートは、城崎温泉→浜坂→鳥取→智頭(ちず)→津山→岡山→坂出である。坂出以外の→が指す駅で乗り換えを行った。乗り換え駅に着いて、次の列車までの乗り換え時間は、四十分前後のところもあれば、一時間半のところもあった。大きな荷物を抱え、乗り換えの度に駅の階段を降りたり昇ったりするのはなかなかやっかいな仕事だったが、それでも、青春18きっぷで大移動しているという充実感が私たちを突き動かしていた。列車を一つ乗り過ごしたとしても、わずか数分のうちに次の列車がやって来るような便利な環境で生活している私たちにとって、一つの列車を逃せば一時間以上は待たなければならないローカル線に乗り、長い長い道のりを普通列車でのんびりトロトロ走る時間を過ごすことは、とても大切なことなのだ。

 普通列車を乗り継いで、ガンモの実家に着いたのは、二十時半過ぎだった。私たちはやがて、お茶の間で流れていたテレビで、映画『UDON』を鑑賞することになる。この映画が映画館で上映されていた頃、この映画に対する酷評が多かった。私自身もそれらの酷評を気にして、他に観たい映画を優先させてしまった記憶がある。どれほど酷評に値する映画なのだろうと思いながら、ガンモと二人でその映画に見入った。

 鑑賞しているうちに、この映画を製作したのは、香川県にかなり詳しい人なのではないかという気がして来た。というのも、数々のシーンに香川県の丸亀・坂出周辺を象徴する「さぬき富士」と呼ばれる形の良い山が映し出されているほか、香川県出身の役者さんたちがさりげなく登場しているからである。さぬき富士は、ガンモの故郷である坂出からも良く見えるので、帰省する度に目にしている。香川の人たちは、さぬき富士が近くにあることで安心しながら生活していると言っても過言ではないだろう。だから私には、この映画は、香川県に詳しい人たちに向けたメッセージが含まれていると感じたのである。

 この映画の製作に関わった監督は、この映画を通して、全国的なレベルでの讃岐うどんブームと、実際の香川県におけるうどんと関わり方のギャップを表現したかったのではないだろうか。私が東京に住んでいた頃に何度も食べた宇高(うこう)連絡線のうどんが、この映画の中では、「あいさつ代わりに食べるうどん」として紹介されている。そうなのだ。香川の人たちにとってのうどんは、決して全国的なブームになるようなものではなく、生活の中に当たり前のように染み付いているものなのだ。だから、製麺所でうどんの麺だけを買った人が、あたかもパンをかじるかのごとく、買ったばかりのうどんにつゆも付けずにつまみ食いしながら歩いている。香川の人たちにとってのうどんとは、そういうものなのだ。

 だからこそ、この映画の中では小さな製麺所にスポットを当てている。自分のどんぶりを持参すれば食べられるといううどん屋さん。村上春樹さんのエッセーでも紹介されていた「なかむらうどん」のような、「ネギが入っていなければ、外の畑でネギを取って来い」と店主に言われてしまうほどディープなうどん屋さん。こういうところに、讃岐うどんブームに乗って全国からやって来る讃岐うどんファンの想いと、実際の香川県におけるうどんとの関わりのギャップがある。そうしたギャップを描きたかったからこそ、学校帰りに食べるような生活の中に当たり前のように染み付いたうどんが大事に扱われているのだ。

 また、うどんファンの高校生たちが作る冊子が『うどんをめぐる冒険』というタイトルであることも、村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』に馴染みの深い人なら、思わずニヤリとしてしまうことだろう。すなわちこの映画は、鑑賞する人の中にある過去の記憶を心地良く刺激してくれるような仕上がりになっているのだ。

 この映画を製作した監督は、『踊る大捜査線』などの人気作品の演出を手がけた監督さんなのだそうだ。どうやらそのシリーズの作品を観て楽しんでいた人たちが、それらと同じ乗りで楽しませてもらおうとして鑑賞し、がっかりしてしまったようである。私はそのシリーズの作品を観ていないので、純粋に香川県の素朴さを感じ取ることができた。香川県に詳しい人が製作に関わっているのではないかと睨んでいたが、やはりこの監督は、香川県の丸亀のご出身だった。丸亀ならば、さぬき富士を眺めながら育ったわけである。だから、何度も何度もさぬき富士が登場するのだ。さぬき富士を映画の中に登場させるのは、「香川県が好き!」という監督からのメッセージだったに違いない。おそらく監督はこの作品を、香川の人たちに贈りたかったのではないだろうか。

 この映画は、さぬき富士を身近に感じ、香川の人たちにとって、うどんがいかに生活の中に深く染み付いたものであるかということを知っている私たちにとっては、とても面白く、楽しめる映画だった。だから、断じて酷評されるような映画ではない。この映画に対する酷評は、監督の発信したメッセージを的確に受け取ることができなかったぼやきに過ぎないと私は思う。ガンモの故郷である香川県に帰省し、香川県でこの映画を鑑賞することができたことを私はうれしく思う。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 実は、ガンモはこの映画にも登場しているナンチャンと、学生時代、落語研究会を通じて少しだけ交流があったそうです。ナンチャンの自宅に電話を掛けて、連絡を取ったこともあったとか。ガンモの話では、ナンチャンは、学生の頃からずば抜けて落語が上手かったそうです。それはガンモの記憶ですが、ガンモと一緒に映画を観ていると、ガンモの記憶が私の中にも染みて来ます。そして、いつの間にか、心の中でナンチャンの活躍を応援しているのですね。ただ、ナンチャンの記憶の中にガンモが残っているかどうかは不明です。(笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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