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2007.12.08

水漏れ事件(4)

 翌日、私がピックアップした市内の業者にガンモが電話を掛けてくれた。その業者は、主にリフォームを請け負っている業者で、インターネットで調べた通り、水漏れの修理も引き受けてくださるそうだ。まずは現場を見て見積もりから始めることになると思われるので、下の階の奥様からは、その業者に奥様のご家庭の電話番号を教えても良いという了解を得ていた。ガンモがその業者に連絡を入れたあと、その業者と奥様が電話で直接話しをされ、月曜日の夕方に訪問が決まったと、ガンモにその業者から連絡が入ったそうだ。

 前日までは、勤務時間中にいろいろなことが頭を駆け巡り、心が揺れて仕事に集中できなかった。しかし不思議なことに、見積もりの日程が決まったことがわかった途端、急に意識がはっきりとして来て、地に足がついたようになり、そのあとの仕事がひどく捗ったのである。自分の揺れを何かのせいにしてしまうことは、自分自身の完全なる弱さだと思った。

 私は、毎晩二十三時頃にお宅を訪問するのも気が引けるので、仕事を終えたあと、職場の最寄駅近くの公衆電話から下の階の奥様に電話を掛けた。すると、奥様からも、月曜日の夕方に業者に来ていただくことに決まったとご報告を受けた。私は奥様に、
「何とか前進しましたね」
などと言った。自分が招いたことなのに、こんな言葉が出て来るのはとても不思議である。もっと不思議なのは、深夜に奥様のお宅を訪問しているときに、
「こんなときに申し上げるのも何ですが、○さんとは、以前住んでいたアパートの頃からのご縁なので、こうしてお話ができてとても良かったと思っています」
などという言葉が自然に出て来たことだ。それは、こんな機会でもなければ、お互いを知るチャンスがなかったという意味だった。普通に考えてみると、加害者である私が口に出して言えるような言葉ではない。しかし、何となくそれを口にできるようなコミュニケーションが形成されつつあった。加害者と被害者でありながらも、お互いを尊重し合えるような関係が既に構築されつつあると感じられたからかもしれない。

 奥様は私に、月曜日の見積もりに私も一緒に立ち合いできるかどうか、尋ねてくださった。奥様としては、私が立ち合わなくても問題はないそうなのだが、私が立ち合わないことで、私たちにとって不利な方向に話が勝手に進んでしまうのではないかと懸念してくださったのだ。私はそのご厚意をありがたく思い、
「ありがとうございます。でも、○さんの納得の行くように進めてくださったかまいませんので」
と答えた。実際のところ、私にはどうしても仕事を外せない事情があった。納期が控えている上に、仕事に遅れが出ていたのだ。そのため、どうしても仕事を外せないという理由を述べて、月曜日の立ち合いを丁重にお断りさせていただいた。

 実は、私には、立ち合いよりももっと気掛かりなことが一つだけあった。それは、今回の水漏れが発生してから一度も、下の階のご主人様にお詫びを申し上げていないことだった。奥様のお話によれば、ご主人様は現在出張中で、週末にならないと帰宅されないと言う。そこで私は、電話で奥様に、
「週末にご主人様が帰宅されたら、ご主人様にもお詫びにうかがいたいのですが」
と申し出た。すると、奥様は最初のうち恐縮されたが、やがて週末のご主人様の在宅時間を教えてくださった。ただ、この週末は、ガンモが鳥取まで会社の人たちと旅行に出掛けることになっているため、私だけの訪問になりますと伝えておいた。そう、ガンモが会社の人たちとカニを食べに行くツアーの日程と重なってしまったのである。

 奥様との電話を切ったあとは、何故かとてもすがすがしい気持ちだった。業者の見積もり予約まで何とか進み、これまで空に掛かっていた雲が少しずつ晴れて来たかのような、そんな前向きな気持ちになることができたのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 本日、二回目の更新となりました。相変わらず一日遅れの更新ではありますが、少しは遅れを取り戻せたでしょうか。次回は別の記事を書かせていただきますので、この続きはしばらくお待ちください。一歩一歩、着実に歩んでいます。今回のことを通して、何故、このようなことが起こるのか、少し見えて来た気がします。それについては、この続きを書くときに書かせていただきますね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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