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2007.12.11

水漏れ事件(6)

水漏れ事件(5)の記事にたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 愛を感じさせてくれる生き方というのは、困惑している人に向かって、大きく回り込むことなのかもしれません。今回の出来事を通してそう思います。加害者である私たちに対しても決して壁を作らず、回り込んでくださった下の階の奥様とご主人様の存在は、私たちにとって、今後も大きくなりそうです。

 日曜日の夕方、ガンモは鳥取から無事に帰宅した。下の階の奥様から、一度預けたはずの商品券が返却されたことや、思いのほか和気藹々とした雰囲気で洗面所や浴室を見せていただいたこことなどを報告すると、ガンモは、
「多分、奥さんにとっては、ご主人の存在が大きいんだよ」
と言った。

 確かに、お家の中を拝見しているときも、奥様の様子がいつもと違っていることに気が付いていた。これまで、夜中に訪問していたせいだろうか。奥様はお風呂に入られたあとで、お化粧はほとんどされていなかったのだが、土曜日に訪問したときは、ばっちりお化粧をされていた。もともと、とてもきれいな奥様なのだが(格付けしてはいけないと思うのだが、マンション一の美人だと私は思う)、土曜日はエプロン姿というラフなスタイルであるにもかかわらず、とても美しかった。私には、久しぶりにご主人様が出張から帰って来られるので、おめかしをしているように思えたものだ。実際、ご主人様が出張から帰宅されたことで、精神的にも安定されたのかもしれない。それに加え、ご主人様が今回の水漏れに対して寛大な態度を示してくださったので、奥様もご主人様の意見に沿ってくださったのだ。だから、ガンモの言うように、奥様にとって、ご主人様の存在が大きいことは間違いないだろう。

 そうこうしているうちに、とうとう月曜日がやって来た。私たちは、すべてを天に任せて通常通り仕事に出掛けて行った。その日の状況については、私が奥様に電話を掛けてうかがうことになっていた。いつも仕事帰りの深夜の訪問だったので、
「外でお話しするのは寒いですし、電話でいいですよ」
と奥様が気遣ってくださったのだ。

 仕事をこなしているうちに、いよいよ業者の方との約束の時間がやって来た。不思議なことに、私の気持ちはとても穏やかだった。これ以上、悪い状況にはならないという予感がしていたからかもしれない。業者の方が訪問される時間が過ぎると、私は何時頃、奥様に電話を掛けるべきか見計らっていたのだが、とうとう意を決して、十九時半頃、オフィス内の公衆電話から奥様に電話を掛けた。電話が繫がった直後、私は何を思ったか、
「今、よろしいですか? 晩御飯のお時間ではなかったでしょうか?」
などと言ってしまった。奥様は、
「晩御飯ですか? もうとっくに食べましたよ」
と答えてくださった。気のせいだろうか、奥様の声のトーンがいつもと違って、ひどく高いように思えた。

 晩御飯の時間というのは、家庭によって実に様々である。子供の頃、午後五時にスーパーで夕食の買い物をしているよその家のお母さんのことを、友人が驚きの表情で、
「○○ちゃんのお母さん、午後五時頃に夕食の買い物に行ってるんだって」
と報告してくれたことがある。きっと彼女の家では、午後五時頃には既に夕食が終わっていたのだろう。ちなみに、残業が多く、夫婦共働きの私たちは、夕食の時間が一定ではない。だから、奥様がいつもお家にいらっしゃる一般的なご家庭が、一体どのような時間に夕食をとっているのか、まったく検討がつかなかったので、念のため、確認させていただいたのである。

 それはさておき、予定通り、業者の方は来てくださったそうだ。そして、水漏れの起こった箇所を簡単にチェックしてくださったらしい。さらりと書いてしまったが、「念入りに」ではなく「簡単に」というのがミソである。結論から言ってしまおう。奥様の話によれば、全体的に、特に問題はないだろうということで落ち着いたらしい。しかし、保守契約を結んでいる大阪ガスの方の対応に比べて、私たちが手配した業者の方の調査方法はひどく消極的であり、奥様としては何となく、「これでいいのかしら。でも、まあ、いいか」という感想を持たれたようである。

 奥様の話では、業者の方は、今回の水漏れに関して詳しい事情も聞かされず、また、脚立(きゃたつ)も持たずにやって来られて、
「椅子、ありますか?」
と奥様に尋ねたらしい。保守契約を結んでいる大阪ガスの方は、脚立と懐中電灯を持参されて、わざわざ浴室の天井を開けて、水漏れの様子を念入りに調べてくださったという。しかし、私たちが手配した業者の方は、ほとんど目視のみで確認され、
「もう乾いているようなので、大丈夫でしょう」
とおっしゃったという。奥様は心配になり、
「懐中電灯をお貸ししましょうか?」
と提案されたらしいが、業者の方は、
「いえ、結構です」
と言って、奥様の申し出を断ったそうだ。

 奥様からそうしたお話を聞かされ、私は少々戸惑ってしまった。
「大丈夫というのは、私たちとしてはありがたい結果ですけども、○さんとしては心配ですよね。もしよろしければ、他の業者さんを探してみましょうか?」
と奥様に提案させていただいた。すると、奥様は、
「いえ、もういいですよ。あの業者さんを信じてみることにします。主人が言っていたように、やはり、壁の中には水を吸うとパンパンに膨らむ素材が入っていると業者さんもおっしゃってました。現状、その素材がパンパンに膨らんでいるわけではないので、業者さんの言う通り、おそらく大丈夫なんでしょう。ただ、今後、壁紙が剥がれることがあるかもしれないとはおっしゃってましたけど、もう十年経つことですし、それくらいはいいかあ、と思ってます」

 奥様は、いつになく明るい口調でそうおっしゃった。最初に奥様の声を聞いたとき、声のトーンが高いと感じたが、どうやらそれは私の勘違いではなかったようだ。奥様は、まるで親しい人に話しをするかのように、声を弾ませながら話しをしてくださっていたのである。その変化は、「今、私がお話しをさせていただいているのは、間違いなく下の階の奥様なのだろうか」と耳を疑ってしまうほどだった。最も驚いたのは、奥様が関西弁をしゃべる方だということを、初めて知ったということだった。これまで、奥様と私の会話は、ほとんど標準語で交わされていた。しかし、今回の電話の奥様は、トーンの高い声で関西弁をしゃべっていたのだ。私が、まるで別人と会話をしているような錯覚を覚えてしまったとしても無理はないだろう。業者の方のチェックはひどく消極的だったものの、奥様ご自身の中にも、おそらく大丈夫だろうという気持ちが芽生え、緊張感が解けたのかもしれなかった。

 しかし私は、予想外の結末に驚き、
「そうですか。では、また、夫と相談して、改めてごあいさつにうかがいます」
と申し出たのだが、奥様は、
「いえいえ、この件についてはもういいですよ」
と優しい口調でおっしゃってくださった。私は、
「いえいえ、それでは何だかこちらの気が済みませんので・・・・・・」
などと答えたものの、実際、これからどのようなアクションを起こせばいいか、まだ決めかねていた。

 奥様にお礼とお詫びを述べて電話を切ったあと、すぐにガンモに電話を掛けて状況を報告した。ガンモもまた、予想外の結末に驚いていたが、私たちの中では何となく、業者の方は、これまでにもっともっとひどい状況に直面され、それなりに場数を踏んで来られた方なのではないかという考えが浮かんでいた。そうした過去の状況からすれば、今回のケースは比較的軽症だったのではないかと想像するしかなかった。

 火曜日になり、今回、調査をお願いした業者から連絡が入り、調査料金として数千円を請求されることになった。ガンモが電話を受けたのだが、確か業者のホームページには「見積もり無料」と書かれていたはずなのに、料金を請求されるのはおかしいなと思いながらも、これでひとまず解決できたのだからまあよしとするか、と思ったらしい。

 ガンモといろいろ話し合った結果、奥様たちに対しては、このままで済ませるよりも、あと一度だけ何らかのアクションを起こすことにした。ただ、どのようなアクションを起こすかについては、まだまだ考えあぐねているところだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m まるでフェイドアウトするかのように、今回の水漏れ事件は静かに幕を閉じようとしています。ここ数日、私なりのスピリチュアルな発見と結び付けながら一連の記事を書いて来たので、不謹慎ながらも、連載が終わってしまうのは何だか寂しい気もします。(苦笑)「せっかく探し当ててくださった業者なのに、とても残念です」と、奥様も残念がってくださいましたが、業者の方は、これまで場数をいくつも踏んで来られた方だと思いたいです。ひとまずこれで一件落着となりますが、続きがあればまた書かせていただこうと思っています。ここまであたたかく見守ってくださった皆さん、どうもありがとうございました。m(__)m

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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