« 天国と地獄 | トップページ | 猫の手 »

2007.12.20

ソフトウェア技術者の晩餐会

 月に一度の定時退社日の話を書こう。仕事に遅れが出ていたため、先月の定時退社日は残業になってしまった。今月も残業を覚悟していたところ、一緒に仕事をしている社員の方たちが定時で上がりたいとおっしゃった。社員の方たちは、毎日、私よりも遅くまで残業されているだけに、定時で上がりたいとおっしゃったその一言がずしんと胸に響いた。私は勝手に、いつも残業をしている社員の方たちは、仕事が好きなのだと思い込んでいたのだ。しかし、実際はそうではなく、責任感の強さから遅くまで残業しているだけだったのだ。社員の方の一人が、
「早く上がりたい気持ちはみんな一緒なんですよ」
とおっしゃったとき、私がこれまでいかに残業から逃げていたかを思い知らされた。

 定時退社日に社員の方たちが定時で仕事を上がるということは、私たち派遣社員も気兼ねなく仕事を上がることができるということである。私は、久しぶりに残業から解放される喜びをかみしめていた。

 実は、この定時退社日に、好敵手に書いた派遣仲間たちと一緒に晩御飯を食べに行く話が持ち上がっていた。その誘いを受けたとき、「私はきっと残業になると思う」と言って、いったん断ったのだが、めでたく定時退社できることになったため、私も彼女たちとの晩餐会に参加できることになったのだ。

 そもそも、晩御飯を食べに行く話が持ち上がったのは、以前、同じ職場で働いていた別の派遣仲間が、同じビル内の別会社で働き始めたと聞いたからだ。現在の私の職場は、あるメーカの子会社がいくつか集まっているビルの中にある。不思議なことに、現在の私の職場で契約を満了したとしても、再び同じビル内の別会社に派遣される派遣仲間が多い。反対に、別会社での契約を満了した派遣仲間が、現在の私の職場に派遣されて来ることもある。そういう派遣仲間が、少なくとも私の周りに六人はいる。おそらく、派遣会社の営業担当が、同じビル内の企業を一括して担当しているために、仕事を融通しやすい状況にあるのだろう。ただ、派遣仲間としては、同じビル内で働くということは、以前の職場の人たちと顔を合わせる可能性もあるため、例え別会社であるとはいえ、多少の気恥ずかしさもあるらしい。しかし、派遣社員として働いていると、こうしたことは良くあることなのだ。私も、状況は違うのだが、別々の職場に派遣されていたというのに、そこから更にその仕事の発注元の会社に常駐して仕事をすることになったとき、どちらも同じ発注元だったという経験がある。実にややこしいのだが、C社に常駐して仕事をするのに、以前はA社の人間として働いていたが、ある時期からはB社の人間として働くという複雑な気持ちを抱えたことがあるのだ。こうした状況に対処するには、ある程度の割り切りが必要だ。

 それはさておき、晩餐会に集まった三人は、ソフトウェアの開発を担当しているソフトウェア技術者だった。会話の内容としては、現在の職場の状況や、別会社で働き始めた彼女の近況報告などで盛り上がった。三人ともソフトウェア技術者なので、ソフトウェア開発の技術的な話題に対し、遠慮のいらないところがとても刺激的だった。女性が三人集まって、オブジェクト指向の話をしているのだから面白い。

 私たちは、英語圏に足を運ぶと、英語圏に住んでいる人たちに通じるように、英語を話す。それと同じように、ソフトウェアの技術者は、コンピュータに実践させたいことを、コンピュータが理解できるようにプログラミング言語を使って処理を書く。

 世の中には様々なプログラム言語が存在している。その中で、私が主に実務に使って来た言語は、C言語とC++言語、それからC#言語だ。これらの三つの言語の中では、C言語の歴史が最も古く、次いでC++言語、それからC#言語の順となっている。C言語からC++言語に移行するには、オブジェクト指向という概念を理解する必要がある。私が業務で初めてC++言語を使うようになったとき、かなり四苦八苦したことを覚えている。ところが、この度、別会社に派遣された彼女は、これまでC言語しか経験していなかったが、C++言語をすっ飛ばして、いきなりC#言語をで開発するのだと言う。おそらく、それはものすごく大変なことになるだろうと私は彼女に言った。

 そのあと、何となく話の流れで、それぞれの時給の話になった。三人の中で最も時給が高かったのは、好敵手に書いた派遣仲間だった。彼女は何と、現在の職場に派遣されてから、千円近くも時給を上げてもらったのだそうだ。私は、時給に対して無頓着だったので、現在の職場に来てから時給交渉をしたのは二回だけだ。しかも、上げてもらった金額も実に微々たるものである。ただ、彼女と私は、実務経験に違いがあったために、スタート時点の時給が四百円違っていた。つまり、ある時期までは、私のほうが時給が高かったのだが、彼女は時給を上げてもらうために、自分が実践していることを部長にアピールしたり、派遣会社の営業担当に再三、時給交渉をお願いしたりと、時給アップをアピールし続け、現在の時給を確立したそうだ。確かに彼女は残業もこなし、スキルアップを続けて来たと思う。私は完全に負けを認めるしかなかった。やはり彼女は私にとって、好敵手だった。そして、私よりも更に時給に対して無頓着だったのが、別会社で働き始めた派遣仲間だった。彼女はこれまでの派遣生活の中で一度も時給交渉をしたことがないのだそうだ。それだけに、こうした情報交換はとても貴重だと感じた。それにしても、良くもまあ、極端な三人が晩餐会に集まったものである。

 私は、好敵手の派遣仲間に対し、好敵手の記事に綴ったようなことを伝えた。彼女は現在、次の仕事を派遣会社の営業担当に探してもらっているらしいが、何と、現時点で既に、同じビルの別会社の仕事があるのだと言う。しかし、派遣会社の営業担当からは、さすがに現在の職場を辞めてすぐには同じビルの別会社の仕事を紹介することはできないと言われているらしい。現在の職場を惜しまれながら辞めて行くので、現在の職場に申し訳が立たないということだ。だから彼女は、一つか二つ、どこか別の場所で仕事をしてから、また今のビルでの仕事があれば戻って来たいと言っている。そうすれば、またこうしてソフトウェア技術者の三人で集まることができるねと彼女は言っていた。好敵手の派遣仲間が現在の職場を去って行くことに寂しさを感じていた私だったが、今後、タイミング良く同じビルの別会社の仕事があれば、こうした晩餐会を開くことができる可能性も残されていることを素直に喜んだ。何だかまるで、来世で出会う約束でも交わしたみたいだ。

 とは言うものの、彼女が同じビルの別会社に戻って来る頃まで、私はまだまだ現役でいられるのだろうか。それを思うと、ほんの少し複雑な気持ちもするのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 私がまだ現在の職場にいるうちに、好敵手の派遣仲間が同じビルの別会社に戻って来たら、きっと刺激的でしょうね。別会社で働き始めた派遣仲間とも、まさかこのような形で身近に再会できるとは思ってもいなかったので、可能性は残されています。ひとまず、その日を楽しみに待ち続けることにします。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 天国と地獄 | トップページ | 猫の手 »