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2007.12.19

天国と地獄

 ガンモが先月末に受験したTOEICの結果が出た。Webサイトから公開テストの申し込みをすると、指定されたページにアクセスするだけで、自分のスコアがわかるようになっているらしい。ガンモは、通勤の途中、文法の参考書を一生懸命読み続け、夜になると、ニンテンドーDS Liteの英語教育ソフトを使って学習していた。果たして、それらの成果がどのように現れたのだろうか。

 指定されたページにアクセスするなり、ガンモは喜びの声を上げた。
「やったア! ○点!(注:○と書いたが、これは伏字であり、ゼロではない)」
それはガンモにとって、自己最高スコアだった。これまでの自己最高スコアを十点上回ったのだ。九月末に受験したときは、勉強不足のために自己最低スコアを取得してしまい、シュンとしていたガンモだったが、たった一ヶ月の間、本腰を入れて学習しただけで、いきなり自己最高スコアを記録したのである。ガンモの歓喜する姿を見ていると、私までうれしくなった。

 それからしばらくして、今月初めに私が受験したTOEICのスコアシートが派遣会社から送付されて来た。ガンモの学習方法とは異なるが、私だって、一ヶ月間、一生懸命頑張ったのだ。いきなり成果は現れなかったとしても、十年ほど前に受験したときに比べると確実にアップしているはずだ。何しろ、初めて受験した十年前のスコアと言えば、自分でも信じられないくらいひどかったのだから・・・・・・。当時の時点で既に、私はガンモに百点ほど差をつけられていた。だから、今度こそ、ガンモに私の英語力を見せ付けなければ・・・・・・。そう思いながら、私は送付されて来たスコアシートを開封した。

 しかし、そこには信じられない数字が印字されていた。
「有り得ない!」
私はその数字を見るなり、本気でそう思った。これが一ヶ月間、英語学習を重ねて来た私のTOEICのスコアだと言うのか? 何かの間違いなのではないのだろうか? そこに印字されていたのは、十年ほど前に獲得したひどいスコアを更に下回る大変恐ろしいスコアだったのだ。私は、自宅の玄関でそれを開封し、奥から出て来たガンモにがっくりした表情を見せた。
「TOEICのスコアが返って来た。もう、ショック!」
と私が言うと、
「見せろー」
とガンモが明るい表情で言った。
「いやだ!」
と私が拒むと、
「何言ってんの。見せろー」
と催促して来た。私は、
「絶対笑わない?」
とガンモに尋ねてみた。すると、ガンモは、
「いや、それはわからない」
と答えるではないか。私は、
「何で!? 絶対笑わないって約束するなら見せるよ。笑ったら離婚だからね」
と言った。ガンモはそれに対し、
「約束はできない」
と言いながら、もうその時点で笑っているのだ。
「ガンモは、私がスコアを見せる前から笑ってる!」
と私が指摘すると、
「だって、まるみが笑ってるんだもん」
と言い訳した。

 結局、私は、届いたスコアシートをしぶしぶガンモに見せた。スコアを一目見たガンモは、
「えっ?」
と言いながら目を丸くした。見ると、明らかにガンモの顔は笑っている。
「こら、笑ったな!」
と私は怒った。私のスコアを見たガンモは、どうしても笑わずにはいられないらしい。
「だって、笑わないって約束しなかっただろ?」
とガンモは言う。私は完全にふてくされた。

 「だってさ、私、ニンテンドーDS Liteでガンモが単語や熟語の勉強をしてるとき、ガンモよりも単語や熟語をたくさん知ってたよね? それなのに、何でこんなスコアなの?」
ガンモに文句を言っても仕方がないのだが、私はどうしてもそのスコアに納得が行かなかったのだ。今回、私たちは同じ試験を受けたわけではないが、信頼性が高いと言われているTOEICで、ガンモと私には百五十点ほどの開きが出てしまった。十年ほど前に受験したときも、実力を発揮できなかったと感じて自分を慰めた私だったが、今回も実力を発揮することができなかったのである。こうなると、これが私の実力だと認めるしかないだろう。自分ではもっとスコアを獲得できると思い込んでいただけに、とにかくがっくりである。

 私は明らかに、リスニングが弱い。やはり、試験当日にリスニングの問題で退屈してしまっただけのことはある。それでも私は、この一ヶ月、リスニング中心の学習を重ねて来て、少しずつ実力を付けて来たはずだったのだ。それなりに手ごたえを感じてもいた。それなのに、ガンモはすぐに学習の成果が現れて天国を体験し、私は地獄を体験することになってしまったのである。

 リスニングが弱いのは、これからの学習でカバーして行くことにしよう。リーディングについては、文法問題や文章の中の具体的な情報を見付ける問題では正解率が高いのだが、それ以外がからっきし駄目だ。ガンモに聞いてみると、
「俺はやっぱり仕事で使ってるマニュアルが英語のことも多いから、長文を読むことに慣れてるんだよ」
と言った。なるほど! ガンモの会社は外資系だから、英語のマニュアルを読むことも日常茶飯事らしい。一方、私はというと、日本の企業で働いているため、仕事で英文を読むことはあるにはあるが、ほとんどないと言っていい。そうした環境の差が、ガンモと私に百五十点もの差をつけてしまったようだ。

 「ようし、来年二月にIPテストが開催されるから、また頑張るよ」
と、少し立ち直った私はガンモに言った。今回は、ひどいスコアを獲得してしまったが、見方を変えてみれば、これよりひどいスコアを獲得することのほうが、かえって難しいかもしれない。そう思うと、メラメラと闘志が沸いて来るのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ガンモには、「まるみはライバルにもならないなあ」などと言われてしまいました。中学・高校時代、英語が好きだっただけに、とても悔しいです! TOEICの試験は、受験英語とはまったく違いますね。受験英語よりも、もっと日常に近い気がします。だから、生活の中に英語が溶け込んでいる人ほど、点数が高いのかもしれません。それにしても、百五十点の差は大きいですね。挫折してしまいそうにはなりますが、追い抜き甲斐もあります。(苦笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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