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2007.12.01

ロケットペンシルの活躍

毛と毛皮の記事にたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 一年間、書くべきかどうしようか迷っていた内容だったので、書かせていただいて良かったと思っています。もしも映像をご覧になり、衝撃を受けてしまった方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。しかし、こうしたことは、できるだけブラックボックスにせずに、世の中に伝えて行かなければならないような気がしています。でも、例えば、食肉の過程も映像になっていたらどうでしょう。私たちは、ちゃんと正面からその映像を見据えて受け入れることができるでしょうか。まだまだ結論は出せませんが、一つだけ言えることがあるとしたら、「ブラックボックスにしてしまう」ことは、私たちの気づきを遅らせている要因の一つなのかもしれないということです。

 しばしば集まって、一緒にご飯を食べに行っている派遣仲間たちは、英語が得意である。一人は留学経験があり、もう一人はご夫婦で英会話スクールに通っている。二人とも、TOEICのベストスコアが九百点近いらしい。TOEICの試験が翌日に差し迫った金曜日の夕方、私は英語の得意な派遣仲間の一人に、派遣会社の福利厚生サービスを利用してTOEICの試験を受験することを報告した。すると彼女は、
「試験前に模擬テストをやっておくと安心できるよ」
と教えてくれた。模擬テスト? そう言えば、ガンモと一緒にTOEICを頑張ろうと決心してからというもの、ピンポイントの学習ばかりで、まだ一度も通しの模擬テストなるものを実践していないことに気が付いた。確か、我が家にも模擬テストに相当する教材があったはずだ。しかし、TOEICの試験はもう翌日に迫っているというのに、いつものように残業のために帰宅時間が遅い。結局私は、通しの模擬テストに必要な二時間を確保できないままTOEICの試験の当日を迎えることになった。

 TOEICの試験は、三宮にある派遣会社のオフィスで行われることになっていた。派遣社員の私たちは、余程のことでもない限り、派遣会社のオフィスに出向くことはない。派遣会社のオフィスには、セミナールームがあり、そこで二ヶ月に一回のペースで企業向けのTOEICの試験(IPテスト)が開催されているのだ。試験のための説明が開始される時間が午前十時だったので、私はいつもホットヨガに出掛けて行く時間に家を出た。

 派遣会社のオフィスが入っているビルは、自社ビルではないものの、とてもバブリーな雰囲気の漂うビルである。三宮支社だけがバブリーかと言うと、決してそうではなく、他の支社も同様のようだ。以前、健康保険の手続きをする時期に、たまたま東京に滞在していたので、手続きに必要な書類を持参して、東京の港区にある派遣会社のオフィスを訪れたことがある。そのビルもまた、受付でロボットでも出て来そうなくらい、バブリーな雰囲気の漂うビルだった。派遣会社は、派遣スタッフの時給におよそ三割程度の金額を上乗せして企業側に請求する。その中から私たち派遣社員に規定の時給が支払われ、残った分が派遣会社の取り分となっている。しかし、表向きはバブリーに見えていても、実際の中身はひどく地味だという声もある。何故なら、かつての私の営業担当が、サービス残業が多いと愚痴をこぼしていたからだ。派遣会社のビルの雰囲気がとてもバブリーであることをその営業担当に指摘すると、
「これは、社員のサービス残業のお金でまかなっているんですよ」
などと、冗談混じりに言われたことがある。

 それはさておき、今回のTOEICの試験に集まったのは、面識のない八名ほどの派遣スタッフだった。私にとってはおよそ十年振りの試験だったが、私以外の人たちはみんな、繰り返し、TOEICの試験を受けているようだった。

 公開テストを受けたときもそうだったが、試験を受けるときは、必ずしも一人掛けの席に座るわけではない。大学の講義室のような長い長い席ではないにしても、派遣会社のセミナールームに用意されていたのは、二人掛けの席だった。始めのうち、私の隣には誰も座っていなかったのだが、いよいよ試験のための説明が始まって厳粛な雰囲気の中にいるときに、少し遅れて入って来た人がいた。私の隣の席が空いていたので、遅れて来たその人は、私のすぐ隣の席に座った。まだTOEICに慣れないためにおどおどしていた私は、いきなり自分のペースが乱されたような気がして困惑した。こちらが厳粛な気持ちでじっと構えているのに、遅れてやって来たその人は、すぐさま筆記用具を取り出して、カリカリと音を立てながら自分の名前を解答用紙に記入し始めたのだ。まだ試験官の指示がなかったので、私は解答用紙に名前を書くのもためらっていたというのに、である。これは予想外の展開だった。まだ試験が始まったわけではなく、説明のための時間だったので、のちに何とか平静を取り戻すことができたが、どんなときも自分らしさを失わないでいるということは、意外と難しいということを身をもって体験したのだった。

 テープによる説明が流されたあと、試験官の指示により、必要事項をマークシートに記入した。私がもたもたしている間に、ほとんどの人たちは必要事項を記入してしまったようである。慣れない私は、何をするにも時間が掛かってしまっていた。やがて五分間の休憩に入り、遅れて来た人と一部の人たちは、トイレに立った。凄い。例え遅れて来たとしても、彼女は何から何まで自分のペースでことを運び、完璧な行動を取っている。私なら、遅れて来たことに動揺してしまい、本来の自分自身を取り戻すのに時間が掛かってしまうことだろう。

 五分間の休憩時間はあっという間に終わり、いよいよTOEICの試験の本番が始まった。試験時間は、リスニングが四十六分、リーディングが七十五分の、合計二時間一分となっていた。実は、私がこの一ヶ月間、力を入れて取り組んで来たのは、リスニングのほうだった。そのおかげで少しはリスニングの実力が付いたと自分では思っていたのだが、実際にTOEICの試験を受けてみると、まだまだだということに気が付いてしまった。あまりにも聞き取りが出来なかったので、私は不謹慎にも、途中で退屈してしまったのだ。

 しかし、リーディングの問題に入ると、私はようやく自分らしさを取り戻した。やはり、受験英語で培って来たものが私の中にまだ残っているのだろう。リスニングのときのような解答への不確かさはない。リスニングよりも、リーディングのほうが私には合っていると感じた。ということは、私がこの一ヶ月間、リスニング中心の学習を重ねて来たことは、弱点強化のためには大いに役に立っていたわけだ。

 とは言うものの、やはり、他の人の立てる音がひどく気になってしまう。例えば、マークシートを塗りつぶす音や、問題用紙のページをめくる音などである。それらの音により、自分が他の人よりも遅れを取っていると感じると、焦りが出て来てしまうのだ。特に私は、普段、仕事をしているときさえでも音に敏感なほうなので、音により、心理的に左右されてしまうようだ。

 唯一の救いだと感じられたのは、リーディングのペースがつかめてようやく自分自身を取り戻し、ふと時計を見たときに、まだ一時間余りも時間が残っているのを確認したときだった。TOEICの試験は時間が足りなくなってしまうとみんなは言うが、ひょっとすると楽勝なのではないのではないだろうか。そんなことを思いながら、ゆっくりとリーディングの問題に取り組んでいると、次第に時間がなくなってしまっているのを感じた。あれれ? さっきまでたっぷり残っていたはずの時間が、いつの間にか、もうなくなってしまっている。それなのに、私はまだすべての問題を解き終わっていなかった。初めて受けたときもそうだったが、私は手を付けることのできなかった問題に対し、すべて同じ記号をマークシートに塗りつぶして逃げた。

 とうとう試験の終了時間がやって来た。試験官の指示により、みんな一斉に鉛筆を置く。試験のために持参したロケットペンシルは、大いに役に立ってくれた。しかし、情けないことに、時間が全然足りない。派遣仲間が言ったように、通しの模擬テストを実践して、時間配分の感触をつかんでおくべきだった。

 試験が終わって派遣会社のセミナールームを一歩出ると、現在の営業担当にばったり出くわした。どうやら、休日出勤しているらしい。いつもはスーツ姿でビシッと決めている営業担当が、思いがけずラフな格好をしているので驚いた。珍しい状況に出くわして、ちょっぴり得した気分である。営業担当も、私が派遣会社のオフィスにいるので驚いた様子だった。休日出勤しているなんて、営業担当もきっと忙しいのだろう。平日は、企業を勢力的に回っているため、事務処理が追いつかないのかもしれない。

 派遣会社のオフィスを出てすぐに、私はガンモに電話を掛けた。電話に出たガンモに、
「リスニングのとき、退屈で退屈で仕方なかったよ」
と言うと、この一ヶ月、私がリスニング中心の英語学習を重ねてきたことを知っているガンモは、私が楽に聞き取りができたものと勘違いしたらしい。
「えっ? 退屈だったの?」
と驚いた様子で聞き返して来たのだ。私が、
「そうそう。わからなくて退屈しちゃったんだよ」
と言うと、ガンモはいきなり大爆笑した。あんまり大笑いするところじゃないと思うのだが。
「リーディングの問題は、バラエティに富んでいて楽しかったよ。最近は、e-mailとかWebを題材にした問題が中心なんだね」
と私が言うと、
「そうだから。時代を反映させてるから」
とガンモが言った。

 ところで、TOEICと言えば、ガンモも先日の日曜日に公開テストを受けたばかりだ。私は、これまでずっとシャープペンシルを使い続けていたガンモのために、ガンモがいつもTOEICの試験に持参している筆箱の中に、こっそりロケットペンシルを忍ばせておいた。試験直前になって、ガンモがその筆箱の中身を確認したとき、ロケットペンシルの存在に気付いたようだ。ガンモは、
「ロケットペンシル、何で一本しかないの? 転がったときのためにもう一本ちょうだい」
と私に言った。そこで私は、ロケットペンシルをもう一本、ガンモに差し出したのだった。

 ガンモの公開テストが終わったあと、
「ロケットペンシルの使い心地、どうだった?」
と尋ねてみると、ガンモは、
「うん。まあね。確かに、安心感はあるね」
と言った。TOEICでは、二百問もの解答を時間内にマークシートで塗り潰す。私は、ロケットペンシルを使うほうが、シャープペンシルで塗りつぶすよりもだんぜん時間を節約できると思っているのだが、ガンモにはその実感がなかったらしい。それでも、いつもよりも時間に余裕があったとガンモは言っていた。それはきっと、ロケットペンシルのおかげなのに。

 ガンモが受けたTOEICの試験と、今回、私が受けたTOEICの試験と、問題が同じだったのか、互いに確認し合ったところ、別々の問題であることがわかった。ガンモが受けたのは公開テストなので、スコアシートは写真入りの正式なものとなる。一方、私が受けたのは、企業向けのIPテストなので、三週間後に送付されて来るスコアシートには写真が添付されず、正式なものにはならないらしい。「TOEICで○○点です」と世の中に宣言するためには、ガンモのように公開テストを受けて、写真付きの正式なスコアシートを手に入れることが必要らしい。ただ、公開テストとなると、今回、私が受験したように、派遣会社の福利厚生サービスを利用して受験するよりも割高になってしまうため、しばらくの間は派遣会社のセミナールームで受験して、ある程度、スコアが安定して来たら、公開テストを受けてみようと思っている。

 ガンモのスコアシートが届く頃、私のスコアシートも届くことになっている。そのとき、ガンモにとってはニンテンドーDS Liteにおける成果が、私にとっては、リスニングの成果が現れているのかどうかがわかる。そして、私のスコアは、ようやくガンモを追い越すことができるのだろうか。三週間後にひとまずの結果が出る。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 英語学習は自分との戦いだと思っていたので、実際の試験に立ち向かうまでは、自分が音に左右されることになろうとは思いもしませんでした。でも、考えてみれば、普段から音に対してとても敏感なのだから、当たり前と言えば当たり前のことなんですよね。リスニングのときまで使いたいとは言いませんが、せめてリーディングの最中に耳栓を使用してもいいのなら、自分の世界に没頭できると思うのですが。(苦笑)音以外でも、私はいつも、自分にとって心地良い環境を構築しようとする傾向が強く、試験当日も、セミナールームの空調がひどく気になっていました。以前よりはずっとましになりましたが、身体を動かしていないときは、冷たい風が降りて来ると、気になって仕方がないのですね。他の人たちが上着を脱いで試験に取り組んでいるのに、私は持参したショールやらジャケットで空調の風を防御していました。とにかく、環境に対しては、人一倍神経質なのかもしれません。英語学習以外の課題が見えて来たTOEICの試験でありました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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