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2007.10.19

バッチ処理

 愛用している手提げカバンの取っ手の糸がほつれてしまった。ノートパソコンや分厚いシステム手帳、マウスなどを収納している小さな手提げカバンで、リュックの中にそのまま収められるようになっている。とてもお気に入りの手提げカバンだったので、私は針と糸でほつれを直そうと思っていた。

 私が針と糸を使う作業は、バッチ処理になる。バッチ処理とは、主にコンピュータ用語で、一つの処理をその都度行うのではなく、まとめて行うということである。針と糸を使う作業に置き換えて言うならば、何かを縫い合わせる必要が生じたときに、その都度、針と糸を取り出して縫い合わせるのではなく、代理品で済ませられる場合はしばらくほつれたものをそのままにしておいて、どうしても縫い合わせる必要が発生したときにだけ、まとめて縫い合わせる処理を行うことだ。つまり、針と糸を使う作業を、集中した時間にまとめて行うということである。

 針と糸のバッチ処理を行うときは、私はガンモに宣言をする。
「今夜は針と糸を使うから、穴の開いた靴下があったら出しておいてね」
するとガンモはうれしそうに、
「えっ? 縫ってくれるの?」
と言う。ガンモにしてみれば、私の針作業がバッチ処理であるために、穴の開いた靴下を何足も溜め込んでいるらしい。と言っても、ガンモは靴下をたくさん持っているので、毎日履く靴下に困っているわけではない。ただ、心の片隅に、穴の開いたままの靴下があるという、中途半端な気持ちが残り続けているだけだ。

 私はまず、お気に入りの手提げカバンの取っ手を縫い付けた。それから、ガンモと共同で履いているズボンのほつれを直した。その数、四本である。我が家はズボンの数も多いので、例え四本のズボンがほつれたままの状態であったとしても、履くズボンに困っていたわけではなかった。私はガンモに、
「ガンモの靴下は?」
と尋ねた。するとガンモは、靴下の山をごそごそと探し回り、
「今のところ、これしか見当たらない」
と言いながら、一足の靴下を差し出して、
「まだ穴が小さいうちに縫っておいて欲しい」
と言う。ガンモから渡された靴下を見てみると、確かにまだほんの小さな穴だった。私はすぐにその穴を針と糸で埋めて、ガンモに返した。

 「他にも、穴の開いた靴下、ないの?」
とガンモに尋ねると、
「ううん、すぐには見つからない」
とガンモが言う。
「じゃあ、この次は来年だね」
と私が言うと、ガンモは、
「ええっ?」
と言った。私は、
「だって、バッチ処理なんだもん」
と言った。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 我が家は、このような夫婦生活を送っていますが、バッチ処理ではなく、リアルタイム処理(バッチ処理の反対で、リアルタイムに処理をすること)で針仕事などをされている方たちにとっては、驚かれる内容だったかもしれませんね。でも、これで成り立つ夫婦関係もありますし、リアルタイム処理をしないからと言って、夫婦関係が成り立たないとは言い切れないと私は思っています。他の方たちにとっての必要条件が、私たちにとっての十分条件なのかもしれません。でも、こんな夫婦がいてもいいですよね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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