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2007.10.14

映画『幸せのレシピ』

 感情が動かなくなったときは映画を観よう。私はそう思い、ホットヨガの帰りに映画を観ることにした。今回観た映画は、公開前から前売券を購入していた『幸せのレシピ』である。映画館でも、予告編を何度か目にしていて、公開を楽しみにしていたのだが、先週は旅行に出掛けていたため、映画館に足を運ぶことができなかったのだ。

 公開されて既に二週間経っているというのに、たくさんの人たちが映画館を訪れていた。私の座っていた席の周辺も、ほぼ満席の状態だったため、ホットヨガの荷物を持っていた私は、通路が狭くなってしまうことに恐縮したくらいだ。公開されて二週間くらい経つと、そろそろ映画の感想が口コミで広まって行く時期である。この時期にまだまだ人が多いということは、ひょっとすると期待できる映画かもしれないと心の中で思っていた。

 簡単にあらすじを書いておくと、ニューヨークの人気高級レストランでシェフを務めるケイトは、プライドを持って仕事をしている。ケイトの料理が気に入って、シェフにあいさつをしたいと申し出る客もいれば、ケイトのこだわりがわからずに、調理方法に文句を言いたがる客もいる。ケイトはプライドを持って仕事をしているだけに、文句を言いたがる客にはわざわざ厨房から出向いて行き、直接対決する。ケイトにしてみれば、料理の実績を重ねて来た自分の言い分が絶対に正しいのだ。こだわりを持ち過ぎていると、視野はどんどん狭くなってしまう。しかし、ケイトの場合は、視野が狭いからこそ、上に高く細く伸びているとも言える。

 映画館に足を運ぶまでは、予告編の内容から、もっと単純でアバウトな恋愛映画なのだと思い込んでいた。しかし、実際に映画を観てみると違うのだ。この映画には実にいろいろな出来事が絡められていて、密度の高い内容に仕上がっている。例えば、お店のスタッフが開店前にミーティングを兼ねて昼食をとるシーンがある。実際、人気の高いお店ではこのようなミーティングが行われているのかもしれないが、スタッフが昼食をとる場で、新しい料理に対する斬新なアイディアを出し合っているシーンは、とてもリアルで新鮮だった。単に決められた料理を作って出すばかりでなく、料理を創作するシーンまで描かれていることに好感を持った。また、厨房のシーンも本格的で、普段、熱心に料理をしない私でさえ、その手際の良さについつい見入ってしまった。おそらく、料理好きの人にはたまらないシーンの連続なのではないだろうか。

 ケイトの姪であるゾーイが、少しずつ心を開いて行く様子も見事に描かれていた。ゾーイは交通事故で母親を亡くし、心を閉ざした状態でケイトに引き取られる。仕事の忙しいケイトが、母親役とシェフの仕事を両立させる日々が始まる。更に、ケイトが姉の死を悲しみ、休暇を取っている間に新たに雇われることになった副料理長ニックとのツインソウル的な関わりが実におかしい。見るからに、まるで正反対の二人。話の展開が読める私たちには、最初から二人がじゃれ合っているように見えてしまう。

 フルタイムで仕事をしている女性ならば、シェフでなくとも、ケイトの姿に自分を重ねてしまうのではないだろうか。私はケイトが仕事に対して持っているプライドが良くわかるので、自然に自分と重ねてしまった。お店のオーナーとケイトの考え方の違いも良く描かれていた。どんなときも客の意見を尊重しようとするオーナーと、どこまでも自分の料理にこだわりを持ち続けるケイト。コンピュータ業界においても、営業担当と開発担当の間に、意見の相違が表面化することが多い。そこに描かれているのは、おそらく、レコード会社とアーチストの間にもあるギャップではないだろうか。どんな世界においても、売上を伸ばすことと、技術者がこだわりを追求し、技術的に納得の行くものを提供することは必ずしもイコールにはならないのである。

 ケイトとゾーイがどのように絆を深めて行くかを見守るのも楽しかった。印象的だったのは、互いに仕事や学校を休んで二人の時間を持ち、ゲームをして騒いだり、枕叩きをして遊んだことである。特に、枕叩きという素朴な遊びを通じて、ケイトとゾーイは互いの感情を極限まで持って行った。お腹が痛くなるくらいに笑ったり、枕の綿が飛び散ってしまうほど互いを枕で叩き合った二人。二人の感情が極限まで達したとき、感情の接点と接点が触れ合い、強い絆が生まれた。枕叩きのシーンは、絆を深めて行くのに、感情を極限の状態で震わせることの大切さが描かれているように思う。おそらく、これは、私たちの生活にも応用できるエッセンスだ。

 とにかく、一つ一つの事象を見事に絡ませながら、とても丁寧に描かれた作品だった。笑いでごまかさないのは、この映画がラブコメディーではないからだ。ツインソウル的な二人のじゃれあいも見物である。普段、熱心に料理をしない人であっても、この映画を観れば、じっくりと台所に立って、お料理を作りたくなってしまうかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 「運命的な人にはどのように出会うか?」という問い掛けに対し、私は、「自分が本当に好きなことを見つけたときに出会うと思う」と答えて来ました。この映画の中のケイトとニックは、料理という共通の世界で出会います。二人とも、本当に料理が好きなのですね。これが趣味ならば、主導権を争うこともないのかもしれませんが、とりわけケイトがプライドを持っている仕事であるがゆえに、二人の間に対立が生まれます。しかし、運命的な出会いには、キューピット役がつきものなんですね。そのあたりの展開も実に良く出来ていて、とても好感の持てる映画でありました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。運命的な人とは、自分がこだわりを持っている分野で

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