ひとでなし
火曜日からガンモが出張に出掛けている。行き先は、先月、出掛けるはずの予定だった神奈川である。ガンモが出張に出掛ける前は、いつも決まった台詞を私が言う。
「ガンモ、出張、行くの? 行くの? 行くの?」
私たちは、離れ離れになることをとても寂しく思うソウルメイトだ。だから、このような言葉を発して、しばしの別れを惜しむのである。
お昼前に出発する飛行機に乗ったガンモの到着状況を確認しようと、私は昼休みにフライトインフォメーションのページにアクセスする。インターネットとは実に便利なものだ。飛行機の発着状況もほぼリアルタイムで教えてくれる。そう言えば、ガンモが会社の招待でハワイに出掛けて行ったときも、こうしてフライトインフォメーションを何度もチェックしていたっけ。
どうやら、ガンモが乗った飛行機は無事に羽田に到着したようである。それを確認した私は直ちにガンモの携帯電話にメールする。
「飛行機、無事に着いたみたいだね」
しばらくすると、ガンモからメールが届く。
「無事に上陸(^^)」
ガンモからのメールが新規に送信されているところからすると、私の送信したメールを受信してから送信して来たわけではないようだ。しばらくすると、もう一通、メールが届いた。今度は私が送信したメールへの返信のようである。
「ばれてる。(^^;」
私が飛行機のフライトインフォメーションで知り得た情報を使って先回りしたことで、汗マークの返信となったわけである。
不思議なことに、帰宅してもガンモがいないと思うと、仕事が忙しくなってしまう。どういうわけか、すぐに仕上がるはずのプログラムがなかなか仕上がらないのだ。現在、私が手掛けているのは、過去に修正実績のあるプログラムで、ほんの少し修正を加えれば良いだけのはずなのだが、どうしても思うように動いてくれない。まるで、「家に帰ってもどうせ一人なんでしょ。だから残業しなさい」とでも言われているかのように、原因究明のために残業、残業である。
話は変わって、ガンモが出発した翌日のことだった。いつものように、朝、ベランダの鳩たちに餌を与えようとすると、ベランダに立ててある突っ張り棒をサポートするためのガムテープに、鳩が一羽、引っかかっていた。柄(がら)からすると、おそらく、以前、軽く網を張ったときに引っかかったヒーかフーのどちらかだ。ヒーだかフーだかわからない鳩は、蝿取り紙に引っかかった蝿のように、ガムテープの粘着部に足を片方だけ奪われ、宙ぶらりんの状態でぶら下がっていたのである。
私が驚いたのは言うまでもない。とにかく、何とかして救出しなければ。私はまず、ヒーだかフーだかを優しく抱きかかえた。しかし、鳩を抱きかかえた時点で既に両手を使ってしまっている。私の手は二本しかない。手があと一本あれば、ヒーだかフーだかに絡み付いているガムテープを剥がすことができるのに。片方の手だけで鳩を抱き抱えると、鳩はジタバタして飛んで行こうとしてしまうだろう。こんなとき、ガンモが居てくれれば・・・・・・。仕事が忙しいとき、私たちは人手が足りないと言う。しかし、人の手が二本では足りないときは、何と言うのだろう。ひとでなし? ああ、そんなことを言っている場合ではない。
私は、ヒーだかフーだかに大人しくするように言い聞かせながら、慎重に慎重に片手で鳩の身体を抱え込み、もう片方の手でガムテープを引きちぎった。鳩とガムテープは何とか切断されたものの、鳩の片足にはちぎったガムテープが絡み付いたままである。しかも、単に絡み付いているだけではない。片方の足の指をそのまま覆いこむようにしっかりと絡み付いていたのだ。おそらく、鳩がガムテープに足を取られてもがいているうちに、このような状況に陥ってしまったのだろう。
このまま鳩を離してしまうと、片足に絡み付いたガムテープを取り除くチャンスには二度と恵まれないだろう。そこで私は、鳩をすぐには離さずに、片手で鳩の身体を軽く押さえながら、再び慎重に鳩の足に絡み付いたガムテープを取り除き始めた。私の思いが通じたのか、ヒーだかフーだかは、私の腕の中でじたばたもがくこともせず、じっとしていた。そのおかげで、片手では困難だと思えたガムテープの除去作業も何とか終了することができたのである。
私が手を離すと、ヒーだかフーだかは、元気に飛び立って行った。あの大人しさからすれば、やはり、以前、網に引っかかった鳩だったのではないだろうか。あのときも危害を加えられなかったのだから、きっと今回も大丈夫なはず。そんな信頼が、ヒーだかフーだかと私の間には生まれていたようである。だからじたばたすることなく、私に身体を預けてくれた。私は、そのことがうれしかった。この出来事を、ガンモに興奮気味に報告したのは言うまでもない。
※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 宙ぶらりんになっていたのは、ヒーだかフーだかわかりませんが、ちょっとドジな鳩なのかもしれません。その点、父ちゃん、母ちゃんはとても慎重ですね。それと、鳩は抱きかかえてみるとわかりますが、見た目よりもずっと小さいです。鳩胸という言葉がありますが、普段は胸を膨らませて、身体を大きく見せているのでしょうか。何はともあれ、手が二本で足りて良かったです。(^^)
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