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2007.08.06

ロンドンコインランドリー事件

 ロンドンに来てから毎日のように、撮影した写真を旅行ブログにせっせとアップしたあと、更に記事も書いていると、「ガンまる日記」を書き上げるのに四時間も掛かるようになってしまった。これでは身体が持たないなどと思っていると、久しぶりに記事に集中できる出来事が起こった。旅行ブログと連携してお伝えする記事は、もう少し時間的に余裕のあるときに書かせていただくことにしよう。

 ロンドン滞在四日目ともなると、そろそろ洗濯物が溜まって来た。そこで、一日の観光を終えたあと、ガンモと二人でホテル近くのコインランドリーで洗濯をすることにした。日本から持って来た大きな袋に洗濯物をパンパンになるまで詰め込んで、同じく日本から持って来た洗剤を持って、私たちはコインランドリーを訪れた。二十一時過ぎだというのに、外はまだほの暗い程度で、外を歩いている感覚としては、日本の十九時過ぎくらいの感覚でしかなかった。

 私たちが訪れたのは、日本を発つ前に下調べをしておいた、パディントン駅前にあるコインランドリーだ。そのコインランドリーは、パディントン駅からホテルまで歩いて行く途中にあるので、私たちは利用する前からコインランドリーに立ち寄り、本番に備えて洗濯機の操作方法などをシミュレーションしていた。そのコインランドリーは、少々ユニークなシステムを採用していた。それぞれの洗濯機にコインの投入場所が設置されているわけではなく、一箇所に設置された操作パネルで集中管理されていた。ただ、操作パネルで指定するのはどの洗濯機を使うかということと、利用代金の受付のみで、洗濯機に対する操作は実際の洗濯機で行うようになっていた。おそらくだが、コインランドリーの数が多いので、コインランドリーを運営する人が、洗濯機から利用代金を回収するときの手間を省きたかったのだろう。そのコインランドリーはお札が使えなかったので、私たちはコインランドリーを使用するために、せっせと硬貨を集めていた。

パディントン駅前のコインランドリー

 四日分溜まった洗濯物は、かなりの量になっていた。そのコインランドリーには、中型、大型、超大型の洗濯機がある。中型の洗濯機は一回三.五〇ポンド(一ポンド二百四十円として、日本円でおよそ八百四十円)、大型の洗濯機は一回五ポンド(一ポンド二百四十円として、日本円でおよそ千二百円)、超大型の洗濯機は六ポンド(一ポンド二百四十円として、日本円でおよそ千四百四十円)となっていた。ここまで書いた時点で、イギリスの物価がいかに高いかが、皆さんにもおわかりのことだろう。日本でコインランドリーを使用する場合、一回の利用料金はせいぜい二百円か三百円程度だ。乾燥機を使ったとしても、数百円以内に収まることだろう。それに対し、ここに表示したロンドンのコインランドリーの利用料金は、洗濯機の使用のみの料金だ。

 さて、いよいよ洗濯を始めるために、私たちは洗濯機を選んだ。遠隔操作なので、ガンモが集中管理された操作パネルを担当し、私が洗濯機の操作を担当することになった。しかし、私たちは何を思ったのか、四日分の洗濯物がパンパンに膨らんでいるにもかかわらず、一番小さい中型洗濯機を選んでしまった。洗濯機に洗濯物を詰め込んだあと、この洗濯機では小さ過ぎると気が付いたのだが、そのときは既にガンモが集中管理システムにコインを投入したあとだったので、もはやあとの祭りだった。洗濯物を入れて扉を閉めた洗濯機は、元気良く動き始めたのである。しかも、洗剤を入れる場所を間違えたのか、洗濯機の中に洗剤が送り込まれず、水洗いだけになってしまった。操作を誤った私たちはひどく慌てたが、一度動き始めた洗濯機は、どうあがいても途中で中断させることができなかった。私たちは、水洗いだけの洗濯機が元気良く動いているのを、指をくわえて見ているしかなかった。

 水洗いになってしまったのは諦めるとしても、私たちがホテルから持って来た袋の中には、洗濯物がまだ半分も残っていた。となると、洗濯機をもう一台稼動させなければ洗濯は完了しないことになる。洗濯物の量を考えて、最初から大型洗濯機を使用していれば無駄がなかったのに、私たちは中型洗濯機を選んでしまった。今更後悔しても遅いので、私たちは最初に使った洗濯機のすぐ隣にある中型洗濯機で残りの洗濯物を洗濯することにした。

 再びガンモが操作パネルを操作しながらコインを投入し、最初に使った洗濯機の隣にある洗濯機の番号を指定した。すると、まだ洗濯物も入れないうちから洗濯機が動き始めた。その洗濯機の指定は、Pre-Wash機能を使用する設定にしていた。というのも、日本のコインランドリーと同じ感覚で、Pre-Washを洗濯機の洗浄だと思い込んでいたからだ。日本のコインランドリーには、洗濯機を使い始める前に、洗濯機そのものを洗浄する機能が付いている。その機能を使用するときは、洗濯機の洗浄が終わったあとに洗剤を投入することになっている。それと同じ感覚で、Pre-Wash機能は、洗濯機の洗浄が終われば、洗濯機に洗濯物を投入できるものだとばかり思い込んでいたのだ。しかし、どうも洗濯機の様子がおかしい。Pre-Washの機能を使う場合は、洗剤を別のところに入れることになっていたのだが、どう見ても先ほど投入した洗剤がPre-Wash機能が終了する前から水の中に溶け込んでいるのだ。

 その後、洗濯機は、私が投入した洗剤を溶かし込んだまま、洗濯物を受け付けることなく、また、途中で排水して洗濯物を受け付ける様子もなく、最後まで動き続けた。つまり、日本から持参した貴重な洗剤を使って、洗濯物を洗わずに、洗濯機を掃除してしまったのだ。ロンドンのコインランドリーでのPre-Wash機能とは、二度洗いを意味する言葉だったらしい。何故なら、Pre-Wash機能を指定しないときは、一度洗いだったからだ。ううん、紛らわしい。自分の中にある知識は、今回のように邪魔をしてしまうこともあれば、反対に、役に立つこともあるということだ。

 洗濯機は無常にも、一度動き始めると最後まで処理を続けた。それでも、処理が一時中断されることを半ば期待して、私たちは洗濯機のレバーを力任せに握ってみたが、洗濯機の扉はガンとして開かなかった。ああ、もったいない。三.五〇ポンド(一ポンド二百四十円として、日本円でおよそ八百四十円)を二回分、無駄にしてしまった。一台目は洗剤を吸い込まずに単なる水洗い。二台目は洗濯物を入れないうちから洗濯機が動き始めてしまった。

 私は、せめて一台目の洗濯機だけでも正常な状態に戻そうと、洗濯機の上に設置された洗剤の投入口に残っていた洗剤を、上から手動で洗濯機に流し込んだ。すると、洗濯機が少しだけ洗剤を吸い込んだ。しかし、そのときは既に脱水が始まっていた。このままでは水洗いが完全でないまま、洗濯を終えてしまう。そう思っていると、やはりいやな予感は的中し、そのまますすぎをせずに洗濯が完了した。

 ホテルから運んで来た袋の中には、洗濯物がまだ半分、残ったままだった。やがてガンモは意を決したように、これまでの失敗を生かすために、まずは大型洗濯機の前に立った。そして、コインを投入するよりも先に洗濯機の中に洗濯物と洗剤を投入し、蓋を閉めた。さきほど洗濯したばかりの、洗剤を吸い込んだまま脱水に入った洗濯物も一緒に詰め込んだ。それから操作パネルの前に立ち、大型用の洗濯機の利用代金五ポンド(一ポンド二百四十円として、およそ日本円でおよそ千二百円)を支払った。洗濯機は無事に動き始め、私たちの洗濯物を一気に洗い始めた。こうして私たちは、何とか四日分の洗濯を終えることができた。

洗濯機の簡単な使い方。この使い方のほかに、詳細なフローチャートも掲げられていた

 結局、金額的には二台の中型洗濯機の利用料金七ポンド(一ポンド二百四十円として、日本円でおよそ千六百八十円)を無駄にしてしまったわけである。何故、このようなことが起こったかと言うと、私たちがコインランドリーに提示されている、フローチャートまで丁寧に書かれた説明をちゃんと読まなかったからだ。あくまで日本における感覚に過ぎないが、私たちはコインランドリーを知り尽くした気持ちになっていた。また、私たち二人ともコンピュータ関連の仕事をしていることから、機械を扱うのに操作説明書を読まないことが多い。何故なら、操作説明書を読まなくても、何となく使い方がわかってしまうことが多いからだ。そうした過信が、今回の出来事を招いたのだった。ハワイの出来事・コインランドリー編での失敗が生かされていないことになる。

 コインランドリーに費やしたお金は合計十二ポンド(一ポンド二百四十円として、日本円でおよそ二千八百八十円)にもなってしまった。当然のことながら、もう硬貨がなくなってしまったので、私たちは乾燥機も使わず(と言うよりも、使えず)、水分を含んで膨れ上がった洗濯物を引きずりながら、重い足取りでホテルに帰った。

 「まるみが最初に洗濯物を入れたときに、洗濯機が小さいって言ってくれたら良かったのに」
と言うガンモに、私は、
「『小さい』って言ったよ。でも、ガンモが先にお金を入れちゃったから、どうにもならなかったでしょ」
と負けずに反論した。しかし、どちらのせいというわけではなく、操作の詳細なフローチャートを確認しなかった私たちが悪い。そのことに気付いたとき、ガンモと私は固く握手を交わした。お互い、相手を責めるのはやめよう。二人だけの夫婦なんだから。お金のことでなんか喧嘩したくない。高い高い洗濯代を払ってしまったが、ハワイの出来事・コインランドリー編でそうであったように、このような出来事もまた「ガンまる日記」の記事となり、ロンドンの思い出として私たちの胸に深く刻まれるのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 国によってコインランドリー事情が異なっているため、コインランドリーの使用は、なかなか一筋縄では行きません。数々の失敗を重ねながら、各国のコインランドリー事情などという本でも書こうかしらと思っている私です。(^^; 洗濯機の形も様々で、一見すると、洗濯機なのか乾燥機なのか、見分けが付かない場合もあります。ロンドンのコインランドリーは、日本では乾燥機の形をしているものですよね。それにしても、私たちが利用したコインランドリーは、私たちの他にほとんど利用客がいなかったので、観光客目当てのコインランドリーなのではないかとガンモが言っていました。皆さんも、海外でコインランドリーを使用されるときは、説明書を良く読んで、使い方に注意してくださいね。(笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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