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2007.06.22

五つ子ちゃん

 朝から激しい雨が降っていた。私は、先日の再MRIの検査の結果を聞きに行くため、再び仕事を休んで病院に出掛けて行った。

 十時からの予約だったのだが、到着が十五分ほど遅れてしまった。決してそのせいではないと思うのだが、私の名前が呼ばれたのは、到着してから一時間も経ってからのことだった。大きな病院では良くあることだ。

 診察室に入ると、まずは五月に行った子宮がん検診の結果を知らされた。私の体内からは、子宮頸がん、子宮体がん、どちらの細胞も検出されなかったとのことだった。ほっと胸を撫で下ろしていると、続いて、血液検査の結果を知らされた。子宮筋腫を抱えている人は、生理時の出血がひどく多いので、貧血を心配されている。私のヘモグロビン値は十二.三だった。通常の値が十一.〇から十五.〇くらいとのことなので、この数値ならば問題はないそうだ。ただ、前回の検査では十四.〇を超えていたので、以前よりはヘモグロビン値が落ちていることになる。そう言えば、前回、血液検査を受けたときは、ヘム鉄のサプリメントを飲んでいたように思う。最近は、サプリメントにあまり頼らなくなっていたので、以前よりもヘモグロビン値が落ちて来たのかもしれない。

 そして、いよいよMRIの結果画像が蛍光灯で照らされたディスプレイに掲げられた。私はそれを見て、笑うしかなかった。私の筋腫は、三年前にMRIの検査を受けたときよりも確実に成長していた。わかりやすいように、三年前のMRIの結果画像もすぐ隣に並べられた。子宮筋腫は、子宮の外にできる人もいるのだが、私の場合、すべての筋腫が子宮の中に収まっている。私の子宮の密度を胎児で例えると、三年前が三つ子ちゃん、現在が五つ子ちゃんといったところだろうか。三つ子、五つ子というのは、筋腫の数と一致しているわけではなく、あくまで例えである。

 医師はいつになく険しい表情で、
「筋腫の数が派手ですねえ。ここまで大きくなっていると、もう手術されたほうがいいでしょう。これから先、子供を産む予定があるかどうか、ご主人さんと相談されたほうがいいとは思いますが、私としては、子宮全摘手術をお勧めします。この状況ですと、子宮を温存させることのほうが難しいです。筋腫だけを取る場合、筋腫の数が多いと、手術の時間もかかりますし、手術のときの出血の量も多くなりますしね」
と言った。医師の様子は、これまでとは違うものに感じられ、私が手術を拒み続けて来たことに対し、少し怒っているようにも思われた。私はそれでも手術を拒んだ。次の診察までにガンモと話し合って、手術をする決意を固めて来るように言われたのだが、私は返事を渋った。医師は、次の診察のときまでに手術の決意が固まっていれば、手術の段取りを進めて行くと言った。しかし、私が渋っておよそ三ヵ月後の診察の予約を入れようとすると、
「何の根拠で三ヶ月後ですか?」
と厳しい口調で言われてしまった。私が、考える時間が欲しいと答えると、
「これまで三年間、経過観察をして来たのは、筋腫の成長を見守るためだったんです。中には筋腫が大きくならない人もいますからね。しかし、ここまで筋腫が成長している以上、手術以外の方法はないでしょう。手術をせずに診察にだけ来てもらっても、こちらとしてはもう言うことは同じですよ。診察はこれで終わりです。三年間でこれだけ成長しているんです。閉経まであと十年くらいはあるでしょう。十年後にどれだけ大きくなっているか、考えたら恐ろしいと思いませんか。それに、脅すわけじゃないですが、ここまで筋腫が多いと、悪性のものもないとは言い切れませんよ」
と言われた。

 医師の口調は厳しかったのだが、正直言うと、私はそれほど深刻な気持ちにはなれなかった。成長した子宮筋腫がたくさんあって困るのは、トイレが近いこと、生理のときの出血が多いこと(少々グロテスクな話だが、生理が始まって一日目、二日目は、スーパーサイズのタンポンが、挿入後、一時間で早くも漏れ始める)、ホットヨガでうつ伏せになってポーズを取るのが辛いこと、生理が長引くこと、集中力がないことくらいである。これらの状況を改善するために、全身麻酔で眠っている間に子宮が全摘されてしまうなんて、やはり身震いがする。虫歯治療のための麻酔も嫌なのに、全身麻酔なんてとんでもない。しかも、麻酔だけではなく、お腹が切り裂かれ、臓器の一部が取り出されるのだ。

 医師は、
「最善の治療方法は、手術しかない」
と言ったが、私に言わせれば、それは治療ではない。治療とは、病気の原因を取り除き、正常な状態に戻すことだろう。問題となっている臓器を摘出するのは治療ではない。それは切除であって、治療ではないと思うのだ。医師に対してそう言いたかったが、黙っていた。

 私は、MRIの画像を持ち帰りたいと申し出た。コピーして持ち帰ることはできるが、すぐにはコピーできないと言われた。そこで、私は携帯電話で写真を撮ってもいいかと尋ねた。医師から許可が出たので、私は携帯電話に内臓のカメラを使ってMRIの画像を撮影した。しかし、その画像はあまりにもグロテスクであるためにここに掲載することはできない。結局、ひとまず三ヶ月後の診察の予約を入れて病院をあとにしたのだが、やはり私は子宮全摘手術を受ける気にはなれなかった。

 何故、私の子宮では、これほどたくさんの筋腫が成長し続けるのだろう。私のお腹がいつも冷たいのは何故なのだろう。ホットヨガも、天然のプロゲステロンクリームも、私の筋腫の成長には追いつくことができなかった。筋腫の成長を止めるには、スパイダーマン2の中でスパイダーマンが暴走している電車を停車させたように、筋腫の成長に対して先回りし、正反対の力で食い止めなければならない。そのような方法は、世の中には存在しないのだろうか。そのことがとても悔しい。これで私が素直に手術を受けたら、医学の進歩には貢献できない。私のように医師の診断を受けて、医師の勧めるままに子宮全摘手術を受けて、子宮を失って行く女性がいかに多いことか。それが最善の治療法だなどと患者に言ってしまえる日本の産婦人科事情には、どうしても納得が行かない。だから私は、これで敗北したくはない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 医師をギャフンと言わせようとして、天然のプロゲステロンクリームで頑張って来ましたが、先にギャフンと言ったのは私のほうでした。それにしても、日本の産婦人科事情、どうにかならないでしょうか。何故、原因も探らずに、切るだけなのでしょうか。私は何を改善すればいいのでしょうか。どうして子宮筋腫ができるのかと医師に尋ねれば、エストロゲンが影響しているということしかわかっていないの繰り返しです。こういう食べ物に気をつけてくださいとか、そういう注意事項も一切ないのです。やはり、敗北したくありません。闘志ばかり、メラメラと湧いているのですが、手段が見つかりません。しばらく考えてみます。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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