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2007.06.18

映画『ゾディアック』

 最近、四つの映画を観た。『アポカリプト』、『ゾティアック』、『300<スリーハンドレッド>』、『ラストラブ』の四作品である。それらの中で、レビューを書きたくなる映画が二作品ある。『アポカリプト』と『ゾディアック』だ。『アポカリプト』は、あの衝撃的な映画『パッション』を発表したメル・ギブソン監督の最新作である。人気の高い『アポカリプト』のレビューは他の方にお任せするとして、私は『ゾディアック』のレビューを書いてみようと思う。

 ゾディアックとは、アメリカで実際に起こった連続殺人事件の犯人が犯行声明文の中で自らを名乗った名前である。ゾディアックと聞くと、神戸で起こった連続児童殺傷事件を思い出す人も多いのではないだろうか。あの事件の加害者となった少年は、ゾディアックの影響を受けていたと言われている。確かに、犯行声明文を新聞社に送付して来たことからも、ゾディアックの影響を受けていることを否めないだろう。

 この映画は、実際に起こった事件に基づいて製作されている。事件が起こった一九六〇年代の終わり頃から一九七〇年代にかけての時代背景、とりわけ、車、ファッション、音楽などがとてもリアルに描写されていた。捜査の方法も、現代のようにコンピュータで管理されたデータベースに頼るのではなく、人間同士のネットワークが築かれていた。映画の中では、ゾディアックの事件に深く関わり、人生がすっかり変わってしまった四人の男性にスポットを当てながらストーリーが進んで行く。

 私が何故、この映画のレビューを書きたくなったかというと、ゾディアックの事件に深く関わったとされる四人の男性たちの姿が、自分の生き方と近いと感じたからだと思う。スクリーンの中で起こっている出来事とは言え、集めた情報を的確に整理しながら一つの筋道を立てて行くプロセスを見守るのは、とてもハラハラドキドキするものだった。時には図書館で調べものをしたり、事件に関わった人たちから少しずつ情報を聞き出したりするのは、私の好きな作業でもある。だから、事件を解決しようと一生懸命になって動き回っている男たちの姿を、「ああ、わかるよ。事件に対して一生懸命になるその気持ち、とても良くわかるよ」と思いながら見ていたのだった。分野はまったく違うのだが、犯人探しとソフトウェアのデバッグ作業(バグ潰し)は良く似ていると思った。

 ゾディアックが犯行に使ったのは銃だった。私たち日本人には、アメリカ人が容易に銃を手に入れることができることに対する恐れがあると思うのだが、そもそも銃を手に入れてもそれをどのように使うかはその人次第なのだろう。日本において、しばしば殺人の凶器として利用される包丁は、スーパーなどでも容易に入手することができる。しかし、例えば通勤電車で隣に座っている人に、いきなり包丁を突き付けられるかというとそうではない。おそらく、アメリカにもそれは当てはまると思うのだ。だから、道具をどのように使うかが大切なのであって、自由に道具を入手できるかどうかが重要ではない。

 殺人事件そのものについて感じたのは、何か恨みがあって人を殺すほうが、魂の目覚めに関してまだまだ望みが持てるのではないかということだった。何か恨みがあって人を殺めるときに、ネガティヴな方向に感情が動いているということは、いつかポジティヴな方向に感情が動く可能性も秘めているからだ。しかし、何の恨みもなく、自分が犯行を思いついたときにたまたまそこに人がいたという理由だけで人を殺す場合、魂の目覚めにはずっと時間が掛かるように思える。そして、感情が動かない犯人だからこそ、犯行後に挙動不審な態度を取って犯人であることを周りに悟られることもなく、事件がいつまでも未解決のままになってしまうのだろう。感情が動かないということは、自分自身ではない自分を演じられるということなのかもしれない。

 結局、この事件は、有力な容疑者は挙げられたものの、未解決のままに終わっているらしい。この手の映画を観終わったあとは、ただ通り過ぎて行くだけの分野としてあまり感情が残らないものだが、この映画では事件にのめり込んだ四人の男性たちのおかげなのか、印象深く残るものがあった。四人の男性たちの生き方は、これからの私たちの生き方にも応用できるような気がしてならない。そして私は、何かに一生懸命になっている人の生き方を理解できる人でありたいと思うのだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m またまた更新が遅れてしまい、申し訳ありません。おかげ様で、何とか睡眠不足を解消しつつあります。ペースを取り戻しつつ、更新させていただきます。この映画は、一つのことに根気強く立ち向かう粘り強さを教えてくれるような気がします。また、ものごとを多角的にとらえることの大切さも教えてくれていると思います。現代は情報ばかりたくさん溢れていて混沌としているばかりか、情報過多のためにかえって、この映画に描かれているような根気強さが失われているように思えるのはとても残念なことです。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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受信: 2007.06.22 13:32

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