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2007.06.10

映画『パッチギ! LOVE&PEACE』

 ガンモと一緒に過ごす休日が巡って来た。実は、私たちに再び大きな衝撃を与える出来事が起こったのだが、そのことについては触れずに、今日は映画の話をすることにしよう。

 『パッチギ! LOVE&PEACE』の前売券を購入していたので、私たちは上映映画館をピックアップした末に、大阪の難波(なんば)にあるTOHOシネマズなんばまで出掛けて行った。ホットヨガと同様、あちらこちらの支店、いや、あちらこちらの映画館に足を運びたがる私たちである。

 ところで、この『パッチギ! LOVE&PEACE』だが、私たちは二人とも前作を観ていない。聞くところによると、少し前にテレビで上映されていたそうである。おそらく、『パッチギ! LOVE&PEACE』が公開されるにあたり、予習しておきたい人たちに向けて上映されたのだろう。私自身も、ずっと以前から前作を観ておきたくて、レンタルDVDショップに足を運ぶ度にチェックしてはいたものの、いつも貸し出し中という人気ぶりだったため、とうとう前作を観ることなく鑑賞に臨むことになってしまったわけである。

 やはり、観たいと思っている映画の反響は気になるもので、私はいつものようにYahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューを何気なく参照してみて驚いた。そこには、これまで目にしたこともないような、最悪のコメントがいくつも書き込まれていたのである。そのせいか、数値で表されているユーザー評価の値がひどく低い。これは一体どういうことなのだろう? 私は自分の目を疑った。前作が常にレンタル中で借りられないほどの大盛況ぶりだというのに、『パッチギ! LOVE&PEACE』は、ここに書かれているほど酷い映画なのだろうか。

 私たちは、十五時半からの上映を観たいと思っていた。遅めの昼食をとったあと、私たちが映画館に着いたのは十五時二十分過ぎのことだった。いつもならば、早めに映画館に出向いて指定席券を発券してもらっているのに、Yahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューを見た影響で、あまり人気のない映画なのだろうと勝手に決め込み、ついつい気が緩んでしまったのだ。

 ところが、チケットカウンターに表示されている上映スケジュールを見てみると、十五時半からの上映には既に満席を示す×マークが表示されていた。Yahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューであれほど酷いことが書かれているのに、次の上映が既に満席とはどういうことなのだろう? そう思いながら、チケットカウンターで前売券を差し出して、更にその次の回の上映を申し込むと、
「『パッチギ! LOVE&PEACE』はプレミアスクリーンでの上映となりますので、お二人様ですと、Cの7、8しか御取りできませんがよろしいですか?」
と言われた。十五時半からの上映を観られなかったので、次の回の上映を申し込んだのだが、次の回の上映もまた、二人で隣り合わせに座ることのできる席は一箇所しか空いていないという。あれれ? 何だか様子が変だぞ?

 次の回の上映も見逃すわけにはいかなかったので、私は指定された連番の席で指定席券を発券してもらった。あとから映画館の案内を見てわかったことだが、プレミアスクリーンというのは、他のスクリーンよりも少し小さめのわずか六十席しかないスクリーンだった。

 私たちは上映時間までぶらぶらとショッピングを楽しんだ。なんば周辺のあちらこちらの場所を歩き尽くして疲れたので、私たちは上映のおよそ一時間ほど前に映画館に戻り、館内にあるラウンジで待機することにした。ありがたいことに、TOHOシネマズなんばには、上映待ちの人たちが快適に過ごせるように、椅子やテーブルが用意されたラウンジがあるのである。私たちはそこでゆったりと過ごし、いよいよ上映に臨んだわけである。

 試写会か舞台挨拶などに使われているのだろうか。プレミアスクリーンは、とても豪華なスクリーンだった。自動扉の先には高級な雰囲気の漂うラウンジがあった。さきほど私たちが過ごしていたラウンジとはまったく違う。私たちが過ごしていたラウンジがファーストフード系ならば、プレミアスクリーンのラウンジは高級ナイトクラブ系だ。更にその先には、スターダストをイメージしたかのような照明がちりばめられたスクリーンがあった。小さなスクリーンだったが、椅子がとてもゆったりとしていて、隣との間隔が広い。まさしくデラックスといった感じだった。

 さて、肝心の本編だが、Yahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューに書かれているような酷い映画では断じてなかった。おそらくだが、Yahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューに書かれていることは、たちの悪い嫌がらせなのだろう。

 私はかつて、『夏物語』という韓国映画を観たときに、同じように酷いコメントばかり書き込まれていたことを思い出した。あとで、私のレビューを読んでくださった方が、Yahoo!のユーザレビューには、韓国映画に対してはいつも酷評が書き込まれることを教えてくださった。これは恐ろしいことだ。Yahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューを読むだけで、既に『パッチギ! LOVE&PEACE』のエッセンスを感じ取ったに等しい。

 この映画は、在日朝鮮人の方たちに対する差別が描かれた作品である。映画の中では、在日朝鮮人の方たちに対して、耳を塞ぎたくなるほど醜い言葉が平気で飛び交っている。正直言って、私には何故、日本人が在日朝鮮人の方たちをここまで遠ざけようとするのか良くわからなかった。何故、差別に対してそこまでやっきになっているのか、理解できなかったのだ。それと同時に、日本人の醜さを突き付けられたような気がした。

 差別用語なので、一部の人たちは注意して使わないように心掛けているはずだが、今でも「バカチ★ン(一部伏字)カメラ」という言葉が世の中には残っている。思い切って書いてしまうと、チ★ンというのは朝鮮人の方たちのことを差別して使う言葉だ。バカチ★ンカメラは、バカでもチ★ンでも使える操作の簡単なカメラという意味らしい。しかし、世の中には、このような差別的な用語の語源を知らずに使っている人がいる。もしも周りにこの言葉を使っている人がいたら、これが差別用語だと勇気を出して教えてあげて欲しい。

 私には、朝鮮の人たちと日本人の顔の区別が付かない。ということは、ルーツが同じところにあるか、朝鮮の人たちと私たち日本人は、既にたくさんの遺伝子が混ざり合っているということではないだろうか。それなのに、何故、差別するのか。

 以前も少し書いたことがあるが、私の生まれ育った愛媛県では、今なお部落差別が根強く残っている。私の身近なところでは、在日朝鮮人の方たちに対する差別が存在していなかったので、私は部落差別に置き換えて理解しようとした。しかし、差別の状況は想像できても、やはり、差別そのものを理解することはできない。何か気に障ることをされたとか、大きな被害を蒙ったとか、理由のあることならまだ理解できる。しかし、あたかも存在そのものを否定するかのような数々の暴言は、私の理解を超えていた。

 私は、差別とは、自分が仲間外れにされないようにするための防御策なのではないかと思う。差別をしている人たちは、差別をすることで、集団に属しているという安心感を得ているのではないだろうか。実際、差別をしている人たちを一人一人、分解してみると、それぞれが異なる意志を持っている。確か高校生の頃、部落差別について周りの大人に尋ねてみたところ、「みんながするから自分もする」というような答えが返って来て驚いたのを覚えている。それならば、「みんながしなければ自分もしない」が成り立つだろう。そのためには、「みんながするから自分もする」と多くの人たちが心の中でひっそり思っているということを分かち合う時間が必要だ。

 精神世界的に言えば、差別をした人の魂が次に望むことは、自分自身が差別をされることなのだろう。そうしたことを何度か繰り返すうちに、差別というループから外れる。もしも差別のループが存在するなら、差別をしない人たちは、かつて差別をしていたけれども、こうしたループから外れることができた人たちだと考えることもできる。

 この映画では、差別をする人たちと差別される人たちが、体当たりでぶつかり合っている。私は、映画を観るまで「パッチギ」の意味がわからなかったのだが、物語の後半になってようやく理解することができた。

 また、この映画を観て私なりに収穫があったのは、これまであまり好感が持てなかった藤井隆くんを観る目が変わったことだ。私がこれまで知っている彼は、ギャグという大きな皮に包まれてなかなか本質が見えて来なかった。しかし、今回のようなシリアスな役を演じることができるということがわかり、彼の存在を見直したわけである。

 印象に残ったシーンは、映画の中で上映される戦争映画の舞台挨拶におけるキョンジャの台詞だ。
「私は、愛する人のために死にに行くよりも、愛する人のために生き延びてくれたほうがいい」
というようなことを言う。私もそれはもっともだと思う。しかし、日本にはキョンジャのように自分の意見を言いたくても言えない時代があった。差別が一種の洗脳ならば、愛する人のために死にに行くという思想も洗脳なのではないだろうか。そうしたことを、この映画を製作した井筒監督は表現したかったのではないかと私は想像するのである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m この映画に関しては、Yahoo!映画 - パッチギ! LOVE&PEACE - 作品ユーザーレビューはまったく当てになりませんでした。実際は、涙と笑いありの体当たり映画でした。これからご覧になる皆さんも、どうか惑わされることがありませんように。映画を観終わった私たちは、在日朝鮮人問題に関して大討論会を開きました。ガンモは学校の寮に入ったときに、様々な地域からやって来た仲間たちが、こうした差別を平気で行っている姿を見て驚いたそうです。そういう人たちも、この映画を観たでしょうか。差別が身近にある人と、そうでない人とで、見方が変わって来るかもしれませんね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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