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2007.04.12

映画『ブラッド・ダイヤモンド』

 今週は、ほとんど毎日のように仕事帰りに映画を観ている。先週の土曜日から観た映画を振り返ってみると、『アルゼンチンババア』『ハッピーフィート』『パリ、ジュテーム』、『華麗なる恋の舞台で』、そして今回の『ブラッド・ダイヤモンド』と続いている。

 ガンモにもとうとう、
「まるみは映画を観過ぎ!」
と呆れられてしまったが、今回の『ブラッド・ダイヤモンド』の鑑賞に当たっては、先月、前売券の持ち合わせがないときに、何か映画を観たいと思い、金券ショップでやみくもに購入してしまった松竹直営映画館の格安鑑賞券を使用した。実はその鑑賞券の有効期限が今月十三日までだったので、その鑑賞券を期限内に消費するという大義名分を果たしたのである。いつも、
「チケットを余らせるの、禁止!」
と言っているガンモのことだから、今回に限っては、
「まるみは映画を観過ぎ!」
とは言えないのだ。松竹直営の映画館はレイトショーを上映していない映画館だったため、私は定時で仕事を上がり、大急ぎで三宮へと向かった。

 実はこの映画は、これまでにも映画館で何度か予告編を観ている映画だった。しかし、予告編を観る限りでは、特に観たいと思えるほどの情熱が沸き上がって来なかったので、マークしていなかった。しかし、しかしである。格安鑑賞券を期限内に消費するという大義名分を果たすために選んだこの映画を観ながら、私は身体の奥底から沸き上がって来る感動に打ち震えていた。何だろう。以前、『ドリームガールズ』の記事でも触れたと思うが、この映画においても、黒人の熱くてまっすぐなエネルギーに感動せずにはいられなかった。彼らは本当に熱い。そして、とても美しい涙を流す。ほんの気まぐれで購入した格安鑑賞券がなければ、私は危うくこの素晴らしい映画を見逃してしまうところだった。

 映画紹介サイトによれば、この映画は社会派アクションと解説されている。確かに、いやになるくらい激しい殺し合いのシーンが何度も何度も映し出されている。舞台は、内乱の絶えないアフリカ、シエラレオネだ。何故、人間同士がまるで虫けらを殺すみたいに殺し合わなければならないのだろう。殺し合いのシーンを観ながら、そんな疑問が沸いて来る。その原因は、ダイヤモンドにあった。

 ダイヤモンドを求めるのは裕福な人たちである。しかし、実際にダイヤモンドを採掘するのは、そんな裕福とは無縁の人たちだ。彼らは武器を持った荒くれ者たちに支配され、武器で脅されながら、荒くれ者たちの利益のためにダイヤモンドを採掘することを強要されている。彼らを支配している荒くれ者たちは、権力欲しさのためにダイヤモンドを密売人ーに売りさばき、代わりに武器を手に入れている。だから、武器を持つ荒くれ者と、一般住民と、軍隊との闘争が絶えない。何故なら、ダイヤモンドが高く売れるからだ。ダイヤモンドをめぐり、このような紛争が起きていることを、この映画では問題提起しているのだ。

 私は思った。裕福な人たちが高価なダイヤモンドを欲しがるだけで、何とかして上等なダイヤモンドを手に入れて高く売りたいと思う人たちが自分自身を見失う。ダイヤモンドの買い手となる裕福な人たちと直接的な取引がなくても、労働者を武器で脅してダイヤモンドを採掘させる荒くれ者や、密売人などが大物ダイヤモンドをめぐって紛争する。もしも裕福な人たちがダイヤモンドを欲しがらなければ、ダイヤモンドがこの世に存在しても市場に恵まれないため、このような紛争は起こらない。

 私は、映画を観ながらとても奇妙な気持ちになったものだ。普段の生活で、ダイヤモンドとは無縁の人たちが、一生懸命ダイヤモンドを採掘している。一方、ダイヤモンドを欲しがるような裕福な人たちは、アフリカから遠く離れた先進国に住んでいる。これは何とも奇妙なストーリーである。ダイヤモンドを温泉と同じように自然の恵みだとすると、ダイヤモンドは本来、誰の手の中にあるべきなのだろうと考えさせられる。

 今でもアフリカの多くの子供たちが荒くれ者に連れ去られた上で洗脳され、殺しを叩き込まれ、ダイヤモンドの採掘にも関わっていると言う。裕福な人たちよ、ダイヤモンドが欲しければ、他の人たちを巻き込まず、自分の力でアフリカに渡り、採掘すればいいのではないのだろうか。自然の恵みをその土地の人たち自身も一緒に愛でているのならともかく、実際に採掘しているのは、ダイヤモンドとは無縁の人たちばかりだ。そのために、紛争に巻き込まれ、家族がばらばらになってしまうのは、何ともやり切れない。ダイヤモンドを欲しがるという裕福な人たちの欲望が、アフリカの人たちを巻き添えにしているとしか思えなかった。

 この映画を観て号泣したのは、荒くれ者に連れ去られ、家族と離れ離れになり、ダイヤモンドの採掘を強制されたソロモンの、家族への強い愛に感動したからである。家族の中で、荒くれ者に連れ去られたのは、彼だけではなかった。家族が離れ離れになっても、彼は家族のことをいつも一番に思っていた。その迫真の演技に、黒人である彼の中に宿る熱い魂を感じずにはいられなかった。どんなに離れ離れになっても、洗脳されても、「愛の記憶」がある限り、決して家族を引き裂きはしないと実感させられた。そのシーンを思い出すだけで、思わず目頭が熱くなる。

 ソロモンと対極の立場に居たのが、レオナルド・ディカプリオ演じる密売人のダニー・アーチャーである。彼は子供の頃に両親を失くしている。そのため、家族の愛や家族の絆を実感しないままに大人になってしまった。平気で嘘をつき、手段も選ばない。彼はソロモンを利用するために近づくのだが、ソロモンと一緒に旅をするうちに、二人は真の友情を結んだのではないかと思う。更には、利用する目的で近づいて、真の友情を結んだ二人が、もう一組存在する。

 人と人が出会い、新しい世界を知ること、「愛の記憶」は、回り道をした者を本来の道へと引き戻すこと、利用する目的で近づいたとしても、真の友情を結ぶことができるということ。とにかくこの映画は、私にいろいろな感動を分けてくれた。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 社会派アクションという紹介通りの内容だったと思います。私は、世の中に対して問題提起をして来る映画が好きだと感じました。最近観た映画では、『それでもボクはやってない』が問題提起の映画だったと記憶しています。問題提起だから、映画を観終わったあとに残るものも違います。そして、自分にできることは何だろう。まずはそう思うのです。だから、私にできることとして、映画のレビューを書いて、この映画の存在を皆さんにアピールすることを選びました。まだ公開されて間もない映画ですので、上映期間には余裕があるかと思います。特に、ダイヤモンドが欲しいと思っていらっしゃる方に観て欲しい映画です。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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受信: 2007.04.15 18:19

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