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2007.03.12

竹瓦温泉に入り、帰路に就く

 いつもよりも少し早めにホテルをチェックアウトし、私たちは別府へと向かった。大分と別府は普通列車で十分余りのところにある。実は、昨年十月に訪れたときに改装中だった公衆浴場の竹瓦(たけがわら)温泉に入ろうと思ったのである。

 昨年十月に訪れたときは、二日続けて別府駅から近い駅前高等温泉に入った。しかし、街を歩いているときに偶然発見した竹瓦温泉の風格が忘れられず、この次に別府を訪れたときは絶対に入ろうと心に決めていたのだった。

竹瓦温泉の外観

 竹瓦温泉は、別府駅前から歩いておよそ十分のところにある。古い木造の建物は、長い間、人々に愛され続けて来たことを想像させる。竹瓦温泉の目玉は砂湯である。砂湯とは、砂場に仰向けに寝転んで、温泉で温められた砂を身体がすっぽり隠れるくらいに掛けてもらい、十五分ほどじっそとそのままで過ごすというものだ。

 私たちは、三年前の夏休みに鹿児島の指宿(いぶすき)温泉を訪れたときに、砂むし風呂に入った。指宿温泉の砂むし風呂は、浴衣を着たまま温泉で温まった海岸の砂の上に仰向けに寝て、砂を掛けてもらうというものだ。夏だったので、かなりの汗が噴き出した。しかし、あの頃は、健康上の問題もなく、砂むし風呂のありがたさを実感するには至らなかった。砂むし風呂が身体に良いということを知ったのは、その直後に筋腫が見つかってからのことだった。

二〇〇四年夏に訪れた指宿温泉の砂むし風呂

 竹瓦温泉の利用料金は、入浴のみが百円、砂湯+入浴は千円だった。私は迷わず砂湯を申し込んだが、ガンモは入浴のみにした。指宿温泉の砂むし風呂は、男女一緒に並んで利用できるのだが、竹瓦温泉の砂湯は男女別々だったので、ガンモは申し込まなかったらしい。

竹瓦温泉の砂湯入口

 竹瓦温泉の砂湯も、受付で受け取った浴衣を着て砂の上に仰向けに寝る。指宿温泉と違っていたのは、頭に砂がかからないように、木の枕を使わせてもらえることと、砂を掛けてくださるときに、身体のツボを刺激するように掛けてくださることだ。指宿温泉の砂むし風呂では、木の枕の代わりに、タオルを敷いていたように思う。

 さて、竹瓦温泉の砂湯だが、もう、酔いしれてしまうほど気持ちが良かったのだ。ちょうど時期的なものもあるのかもしれないが、温泉で温まった砂が、身体のツボを心地良く刺激してくれるので、「こりゃもうたまらんわい!」と言いたくなるくらい気持ちが良かったのだ。

 およそ十五分間、温かい砂を掛けられたまま過ごす。その間に、砂湯で働いている女性とお話をさせていただいた。砂湯の仕事は、一人分の砂を掛けるために、毎回、およそ百二十キロもの砂を移動させているのだそうだ。指宿の砂むし風呂は、単に砂を掛けるだけらしいのだが、竹瓦温泉の砂湯は、ツボを刺激するように砂を掛けているので、その方法を学ぶため、指宿温泉で働いている方たちが竹瓦温泉まで研修に来られることもあるという。

 今回、私は待ち時間なしですぐに砂湯に入ることができたのだが、どういうわけか、私のすぐ後に来た人は五十分待ちと言われていた。と言っても、私が十五分間、横たわっている間、利用客は私一人だけだったので、決して混雑しているわけではなかった。どうやら、時間によって、砂場を入れ替えているらしい。砂場は二つあり、一つの砂場で八人までの利用客を迎えている間に、もう一つの砂場は温泉に浸して砂を温め、殺菌しているのだそうだ。昨年十月に来たときに行っていた改装は、その設備を整えるためのものだったと言う。おそらく、砂場の入れ替えを決められた時間ごとに行っているのだろう。私が申し込んだときは、ちょうど砂場を入れ替える直前だったのではないだろうか。そのため、待ち時間もなく、すんなりと砂湯に入ることができたのだろう。

 砂湯は、温かくて重い砂で身体を塞いでしまうので、高血圧の人、生理中の人、妊娠中の人には向かないそうだ。血管が圧迫されるため、しばらくじっとしていると、血液がどっくんどっくんと流れて来るのがわかる。そのため、身体に負担が掛かり過ぎないように、砂湯の時間は十五分程度と決められているそうだ。普段、自分の血液が流れていることを実感できるようなチャンスはほとんどない。私は、気持ちがいいのと、自分の身体に血液がどっくんどっくん流れていることを実感して、感極まる思いだった。

 そこで働いている女性の話によると、砂掛けの仕事をされている女性の中には、最年長の方で六十歳を超えている人がいるのだという。これほどの力仕事を、何十年も続けていられるということに私は感動したのである。そのことを砂掛けの仕事をされている女性に伝えると、
「この仕事をしていると、怒るお客さんがいないんです。どのお客さんにも喜んでいただける仕事ですから、とてもやりがいがあるんです。それに、全国からいろいろなお客さんがいらっしゃいますしね」
とおっしゃっていた。

 なるほど。こうして働きながら、全国の人たちに自然の恵みの橋渡しをすることにより、利用客に喜んでもらえるということが、自分自身の喜びにも繋がっているという。良い循環が出来上がっている証拠である。私自身は、自分の仕事で良い循環を作り出しているのだろうか。仕事にやりがいを感じているのだろうか。

 私が兵庫県から来たと言うと、必然的に震災の話になった。
「震災は大変だったでしょう」
と言われたので、私は、震災のときはまだ兵庫県に住んでいなかったことを話した。その女性は、神戸の震災の日にちょうど出張で大阪にいらっしゃったのだと言う。伊丹空港から大阪まで出て行くのに、二時間もかかったとおっしゃっていた。

 あれこれおしゃべりを楽しんでいるうちに、タイムリミットの十五分が来てしまった。あまりにも気持ちがいいので、もう少しこのままでいたいと思っていたのだが、砂掛けの仕事をされている女性に誘導された通りに自分の身体の上にある砂を払って立ち上がり、砂を流すべくシャワーを浴びた。砂湯はとにかく気持ちがいい。私はもう大満足だった。

 いったん服を着て、ロビーに出てみると、ガンモは既にお風呂から上がっていた。私はこれから普通の湯船に入ることをガンモに告げた。ガンモは、私を待っている間に身体が冷えてしまったので、私が普通の湯船に入ると、もう一度湯船に浸かったらしい。

 公衆浴場は、駅前高等温泉と同じように、脱衣場と湯船の間に仕切りはなく、脱衣場と湯船が繋がっていた。脱衣場から湯船に行くには、階段を下りて行くのである。お湯の温度はひどく熱かった。カランの設備はなく、身体を洗ったり頭を洗ったりするには、三朝温泉の株湯と同じように、備え付けの洗面器で湯船からお湯を汲みだすことになる。ただ、地元のおばあちゃんたちも利用されているので、既に身体を洗い終えたおばあちゃんの足が汚れないように、気を遣うことも必要である。私は、通り道で身体を洗っていたので、地元のおばあちゃんがお風呂を上がるときに、
「ここはみんなが通るところなのよ」
と言いながら、私が身体を洗っていた場所をおばあちゃん自身が洗面器を使ってお湯を流してから通って行った。

竹瓦温泉の屋内の様子

 竹瓦温泉を堪能したあと、私たちは別府で昼食を取り、帰路に就いた。帰りは別府から普通列車を乗り継いで、新山口まで出てから新幹線に乗り換えた。しかも、新神戸まで乗車せずに手前の姫路で新幹線を降りて、新快速電車に乗り換えて、再び青春18きっぷを使って帰宅したのである。家に着いた私は、このような素晴らしい旅を企画してくれたガンモにありがとうと言った。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 竹瓦温泉の砂湯は、本当に気持ちが良かったです。このような砂湯が近くにあるといいのですが・・・・・・。先日の日記に、九州の温泉は比較的ぬるめだと書いたのですが、竹瓦温泉の湯船はとても熱かったです。(笑)別府に足を運ばれたときは、竹瓦温泉に是非、足を運んでみてくださいませ。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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