« 映画『ボビー』 | トップページ | ホットヨガ(三十六回目) »

2007.03.06

映画『ドリームガールズ 』

 またしても映画館に足を運んでしまった。二日連続である。何故なら、火曜日は映画を千円で観られるレディースディだったからだ。

 今回観たのは、『ドリームガールズ』という映画である。実はこの映画、派遣会社の福利厚生のページから前売券を安く購入することができたのだが、ミュージカルの映画ということで、何となく敬遠して注文しなかったのだ。私はしばしば宝塚を観劇することもあるので、ミュージカルを生で観ることに関してはまったく抵抗はないのだが、映画で観るのはちょっと気が引けていたのである。しかし、この映画を観た人のレビューを拝見すると、なかなか楽しめたとのことだったので、私も観てみようと思ったのだ。

 映画館のカウンターで、
「どのあたりの席をご希望ですか?」
と聞かれたとき、
「真ん中の列の真ん中くらいにしてください」
とお願いしてチケットを発券してもらった。しかし、後になってから、このような指定の仕方はレディースディにはふさわしくないことがわかった。何故なら、上映時間になって、指定されたスクリーンに足を運んでみると、前後左右にびっしりと女性たちが座っていたからだ。しかも、私の右隣に座っている人たちが、上映中も音を立てておいしそうにポップコーンをほおばっていたので、ポップコーンの音に気を取られてしまい、映画に集中することができなかった。私は、観客が三人しかいなかった前日のスクリーンをとても懐かしく思った。レディースディのレイトショーは混雑する。人気の高い映画は特に。そう、この映画は人気の高い映画だったのだ。

 映画の内容は、女性三人で結成された「ドリームメッツ」という名前のコーラスグループのサクセスストーリーである。ちょうど、前日観たばかりの『ボビー』と同じくらいの時代背景だ。黒人と白人が明確に区別され、ラジオ局も黒人専用のものが存在していたようである。

 売り出す前の若い三人はとても仲が良く、夢と希望に満ち溢れていた。映画全体を通してみても、彼女たちが最も輝いていたのは、駆け出しの頃だったのではないだろうか。売れて来ると、メンバーの脱退やスタッフとの意見対立などのトラブルに見舞われ、バランスが崩れて来る。売り出すことに向けてみんなが気持ちを一つにしているときは、トラブルなど寄せ付けないのに、それぞれの目指すものが異なって来ると、エネルギーが分散され、次第にバランスを崩してしまう様子がとても良く描かれていた。夢と希望に満ち溢れたアマチュアの頃の三人と、頂点を極めた頃の三人を、本当に同一人物が演じているのだろうかと疑ってしまうほどの変身ぶりだった。

 売れて来ると、より高い名声やより多くの売り上げを求めて、グループの体制を崩してまで対処するという方針が、三人の絆を揺るがしてしまう。三人の中で最も歌がうまく、これまでリードヴォーカルを取っていたエフィーよりもルックスのいいディーナが、リードヴォーカルに抜擢されたのだ。エフィーは、歌はうまいが色気がなく、おまけにぽっちゃりさんだった。ドリームメッツを売り出そうとしているマネージャーのカーティスの指示により、エフィーの代わりにディーナをリードヴォーカルとする体制に変わったのである。当然、エフィーは面白くない。やがてエフィーはドリームメッツを脱退することになる。

 こうした決断が下されるのは、日本の芸能界でも良くあることなのかもしれない。そもそも、実力よりもルックスを重視する考えは、アーチストを受け入れる人たちがアーチストを見るときの視点でもある。アーチストを受け入れる人たちのすべてが、アーチストの歌をじっくりと聴き込むわけではない。世の中の人たちに広く受け入れられるためには、ルックスがいいほうが近道だとカーティスは思ったのだろう。いわゆるアイドル路線という決断だ。アイドルは、実力がなくてもルックスさえ良ければいいという発想である。確かにアイドルは、広く一般に受け入れられるかもしれないが、その反面、どんどん使い捨てられもする。

 マネージャーのカーティスは、ドリームメッツを売り出すための戦略を次々に実践する。かつてのカーティスはエフィーと愛情関係にあり、エフィーがドリームメッツを脱退したあとは、ディーナと愛情関係を結ぶ。しかし、カーティスは一体何を愛していたのか。彼が愛したのは女性ではなく、お金や名声だったのではないだろうか。そのために彼女たちを利用しただけなのではないだろうか。彼がそのことに気づくのは、彼女たちを失ってからのことだろう。

 この映画の見どころは、やはり、エフィーの歌唱力だろうか。ドリームメッツや彼女たちを取り巻く人たちはみんな黒人である。エフィーの歌声は、力強く私たちの胸に響いて来る。エフィーの他にも、エディ・マーフィー演じる売れっ子歌手のジェームズの歌も力強い。黒人たちの歌声は、どうしてこんなにも胸に響いて来るのだろう。おそらくだが、黒人と白人が明確に区別されていたこの時代、白人たちは優等生だった。黒人たちは、優等生の白人たちと対等になりたくて、何に対しても魂を注ぎ込んでいたのではないだろうか。私は、小さいときに読んだ「うさぎとかめ」を思い出した。優等生だった白人は、何も努力をしなかったために、黒人に追い越されてしまった。そんなことを想像してみた。黒人の歌には、白人にはない熱さを感じるからだ。

 私たちが夢に向かって行くとき、何のために夢を求めるのか。また、夢が叶ったときは、何を求めるべきなのか。順風満帆のときに保たれているバランスをいつまでも保ち続けるにはどうすればいいのか。そんなことを深く考えさせられる映画だった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 三人の中で誰に一番感情移入したかと言うと、私は間違いなくエフィーでした。三人の中で、彼女が一番純粋な存在に思えました。純粋だからこそ、傷つきやすかったのかもしれません。彼女は、ジェームズのバックコーラスの誘いが来たときに、バックコーラスではなく自分たちの歌をやりたいからと、バックコーラスの仕事を嫌がるのです。その頃から、彼女の中には、有名になりたいというよりも、純粋に自分の歌を歌いたい気持ちがあったのでしょうね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 映画『ボビー』 | トップページ | ホットヨガ(三十六回目) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/14178678

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『ドリームガールズ 』:

» ドリームガールズ [旬なエンターテイメント]
ドリームガールズ プロフィール検索 動画検索 画像検索 [続きを読む]

受信: 2007.03.12 22:46

« 映画『ボビー』 | トップページ | ホットヨガ(三十六回目) »