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2007.03.26

映画『蟲師』

 「蟲師」と書いて「むしし」と読む。映画を観る限り、蟲というのは必ずしも昆虫とイコールではなさそうである。原作を読んでいないのでわからないが、寄生することで、人間に何らかの影響を与える虫のことを言っているように思える。そのように、人間に取り憑いた蟲を退治する人が蟲師というわけである。昔から、腹の虫が治まらないとか、虫の居所が悪いなどと言うが、蟲師が必要になるくらい、人間の中に虫が棲んでいた時代もあったのだろうか。確か、先日、鳥取県立図書館で読んだ『チベット医学』の本にも、病気の原因として虫が取り上げられていたように思う。

 公開されて間もないので、できるだけストーリーには触れないでおこう。というよりも、ストーリーがあまりにも難解であるために触れられないと言ったほうが正しい。映画を観ながら、「『ガンまる日記』には、この映画のレビューを書くのは無理だ」と思っていた。しかし、映画を観終わったあと、またしてもYahoo!映画 - 蟲師 - 作品ユーザーレビューを読みに行き、皆さんが書かれているレビューを拝見しているうちに、私もこの映画のレビューを書きたいという気持ちがふつふつと沸いて来たのである。何故なら、単に面白かったでは済まされないこのような映画こそ、レビューを綴ることに意義があると思ったからだ。私が映画を観ているのは、衰えつつある自分自身の感情を引き出し、映画を観て受け取ったことを文章で表現して行きたいからだ。

 ほとんどの方たちが、この映画はとても難解で、観ていてとても退屈だったと書かれている。実際、私にとっても難解だった。映画を観ている間、何度も何度も姿勢を変えて座り直した。映画に集中できなかった証拠である。眠りを誘う映画などとコメントされている方も多いが、私の場合、さすがにそこまでの状況には陥らなかった。

 既に多くの方たちがコメントされているように、映像は確かに美しい。映画の題材としてもユニークだ。それなのに、何故か引き込まれない。脚本が良くないと指摘されている方も多かったのだが、一言で言うと、いろいろなものがあれもこれもいっぺんに詰め込まれ過ぎていて、山場がないのである。おまけに謎も多い。説明が省略されているため、観客がストーリーの進行から取り残されてしまうのだ。例えば、トコヤミの意味。トコヤミの黒いエネルギーと、淡幽を襲った黒いエネルギーが別物であること。更にはそれら二つの黒いエネルギーがギンコを襲うこと。ラストでギンコがぬいに施したこと。原作を読んでいればわかるのかもしれないが、原作を読んでいない私には謎だらけだった。

 Yahoo!映画 - 蟲師 - 作品ユーザーレビューを拝見する限り、私と同じような感想を抱かれた人たちも多いのだが、この映画を観てたくさんのものを受け取った人たちのレビューを拝見すると、文章を書くことを喜びとしている者として、このままではいけないと危機感を感じてしまう。映画を観て、単につまらなかったというだけの感想を抱くことは、映画を観るという自分自身の選択を無駄にしている。そうではなく、その映画を観て何を受け取ったかを表現することが大切なのではないだろうか。そして、監督が映画を通して表現したかったものを想像するプロセスも必要だ。

 この映画を撮影した大友監督は、普段はアニメ畑で活躍されている方のようだ。私はアニメがあまり好きではないので、もしもこの映画がアニメであったならば、ほぼ百パーセント観ることはなかっただろう。監督作品ではないが、手塚治虫先生の『メトロポロリス』が映画化されたときに脚本を手掛けた方でもある。『メトロポリス』は、アニメがあまり好きではない私も観に行った。このように、普段、アニメ畑で活躍されている監督だからこそ、実写で映画を撮るときにこだわりたい部分もあったのではないだろうか。それが、今回の作品ではCGの美しさで実現されている。映画の中でCGが生きることで、リアルと幻想の共存が実現された作品であると言ってもいいのかもしれない。そうした映像美にとことんこだわりたかったなら、台詞やストーリーでわざわざ立ち止まる必要もなかったのだろう。観客には、映像美に酔って欲しかったに違いない。

 Yahoo!映画 - 蟲師 - 作品ユーザーレビューで高い評価をつけている人たちは、監督が表現したかった映像美の世界を理解しようと試みて成功した人たちだ。そうした姿勢が、映画だけでなく、他の世界においても必要なのではないだろうか。わからないと言って途中で投げ出して、過ぎ去った時間を無駄にしてはいけない。この映画は私にとって、そうしたことに気づかせるためのきっかけを与えてくれる映画でもあった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ちょっとわかりにくい部分も多いのですが、この映画のベースには陰陽の考えがあるように感じました。左巻きと右巻き、闇と光といった題材が散らばっていました。蟲師は、陰か陽か、どちらか一方に傾いてしまった人を、正反対のエネルギーを加えることによってバランスを取り戻すように持って行く人なのかもしれません。そうだとすると、西洋医学の考えとは違いますね。蟲師、現代にはいらっしゃらないのでしょうか。いらっしゃるとすれば、私の蟲も診ていただきたいのですが・・・・・・。(苦笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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