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2007.02.22

先約

 仕事がひと段落ついたので、かつての派遣仲間たちと一緒にご飯を食べに行くことになっていた。三宮で待ち合わせの予定だったのだが、体調が万全ではない私は、人と会うことに対し、かなり消極的な気持ちになっていた。今夜はあまりおしゃべりをせずに聞き役に徹することにしよう。そんなことを思いながら仕事をしていると、とてつもなくやっかいなことが起こってしまった。

 先日納品したばかりのWindows Vista対応製品に大きな欠陥があることがわかってしまったのである。幸か不幸か、その欠陥は、製品が世の中に出回る前に見つかった。しかし、そのような現象が発生する原因もまだ特定できていない。もしも原因を特定できたとしても、それと同じような現象が発生する製品が他にも存在するかどうかを調査しなければならない。しかも、OSごとに。

 私は、一緒にご飯を食べに行くことになっている派遣仲間たちに事情を話し、「もしかすると今日は行けないかもしれない。もしも行けなかったらごめんね」と連絡を入れた。それにしても、納品した製品に欠陥があることが、私が派遣仲間たちと一緒にご飯を食べに行くことに対して消極的になっていたことから引き起こしたものだとすると、この問題はあまりにも大き過ぎた。原因をつきとめ、プログラムを修正して新たに納品し直すにしても、企業のお偉いさん方たちに事情を説明し、承認をもらわなければならない。私はとても暗い気持ちになっていた。プログラム開発の細かい事情を知らないお偉いさん方に状況を理解してもらうのはかなりやっかいなことだとわかっていたからだ。

 原因不明の現象と格闘しながら、私は職場のパソコンのディスプレイに向かい、本当は自分がどうしたいのかを冷静に考えていた。かつての派遣仲間たちと一緒にご飯を食べに行くことは、滅多に実現できるものではない。それに、彼女たちとの約束のほうが仕事よりも先約だったはずだ。私は、仕事のためにこのお食事会に参加できなくなってしまって本当にいいのだろうか。派遣仲間たちとの交流よりも、仕事を選ぶのだろうか。そんなことを考えていたのだ。

 私は、みんなで一緒にご飯を食べることえを決めてから交わしたメールを通して、久しぶりの再会をみんながとても楽しみにしていることがわかっていた。久しぶりで積もる話もあるだろうと、わざわざ集合時間を繰り上げたくらいなのである。それほどみんなが楽しみにしているお食事会に、私は参加できなくていいのだろうか。そう思うと、かつての派遣仲間たちに申し訳ない気持ちでいっぱいになり、私は思い切って、一緒に仕事をしている男性に申し出た。
「実は、今日は残業にはならないだろうと思って、予定を入れてしまってるんですよ」
一緒に仕事をしている男性は、しばらく考えていたが、私の事情を理解してくださり、翌朝、少し早めに出勤することを条件に、私の帰宅を了承してくださったのである。

 仕事を終えて三宮に向かう前に、派遣仲間たちに一時間ほど遅れると連絡を入れた。三宮駅に着いて、お店のある方向に足を向けていると、後ろから私の肩をとんとんと叩く人がいた。またまた大阪のおばちゃんが私に声を掛けて来たのかと思い、振り返ってみると、かつての派遣仲間だった。彼女は、お食事会に参加するメンバーではなかった。本当に偶然に、そこで出会ったのだ。

 かつて、彼女と私は女子トイレでしばしばまじめな話をする間柄だった。しかし、八年近く勤めたであろう現在の私の職場を、彼女は突然、辞めてしまったのである。辞めて行くときの彼女は、まるで自分自身を見失ってしまったかのように、笑顔がなくなってしまっていた。女子トイレで良く話をしていたのに、辞めるときに私にあいさつもしてくれなかったので、私は少し寂しく思っていたのだ。

 その彼女と、職場近くの図書館で再会したのは、それからしばらく経ってからのことだった。私は彼女に声を掛けたが、場所が図書館だったのであまり話もできず、軽くあいさつだけして彼女から離れた。あれから二年ほど経ち、今度は彼女のほうから声を掛けてくれた。彼女はまるで、憑き物が取れたみたいに元気になっていた。以前の明るい彼女に戻っていたのである。

 私は、彼女が辞めて行くときに別人のように感じたことを素直に話した。すると彼女は、
「今更こんなことを言うのも何だけど、あの頃は、仕事がとても忙しくて、上司の人たちもみんなキリキリしていたの。有給を申請するときも、何でこんなことを言われなくちゃいけないのだろうと思うくらいひどいことを言われて、心身ともにおかしくなっていたのよ」
と話して聞かせてくれた。なるほど、そういうことだったのか。彼女は時間を掛けて、新しい環境で自分を取り戻すことができたのだ。私は、以前の彼女に戻っていたことがとてもうれしかった。

 彼女と別れて、私はかつての派遣仲間たちの待つお店へと向かった。およそ一時間の遅刻である。集まったメンバーは、いつもの四人組だ。途中でばったり出会った先ほどの彼女をお誘いしても良かったのだが、彼女のことを知らないメンバーもいるので、敢えて声を掛けなかった。お食事会の話題のほとんどが、かつての職場の人たちのことであったことは少々残念だったが、これからこの関係を発展させて行くためには、職場以外の話題で盛り上がることが必要になって来るだろう。職場という領域から話題が出て行ったときに、派遣仲間は友達に変化するのだ。

 会は二十三時頃にお開きになった。ガンモに電話を掛けてみると、ガンモはまだ仕事をしていた。ガンモがそのような時間まで仕事をしているのは珍しい。それにしても、私が遅くなるときに限って、ガンモも帰りが遅いのは面白い。私たちは、見えない何かで引き合っているに違いない。案の定、ガンモは、私が帰宅して十分も経たないうちに帰宅したのである。そのタイミングの良さに私は驚いた。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 更新が遅れてしまい、申し訳ありません。ははあ、またしても、仕事が深刻な状況に陥ってしまいました。これから一週間余り、再び気を引き締めて頑張りたいと思います。寒さが少し戻って来たようですね。皆さんも、体調管理に気をつけて、寒さを乗り切ってください。春はもう、すぐそこまで来ています。そうそう、私の体調が最近おかしいのは、どうもフローエッセンスの好転反応のようです。ここ一ヶ月ほど、仕事が忙しかったので、フローエッセンスを煎じて飲むのを止めていたのですが、それを再開したところ、現在の状況に陥りました。フローエッセンスが身体に馴染むまで、身体がだるくなったり、眠気を感じたりするようです。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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