どろどろ
公開中の映画『どろろ』を観に行きたい。私は公開前から派遣会社の福利厚生を利用して映画の前売券を購入している。購入するとき、ガンモも一緒に観に行くかどうかを確認したのだが、ガンモは面倒臭そうに、
「観に行かない」
と言った。
ガンモが映画『どろろ』に柴咲コウが出演していることを知ったのは、ずっと後になってからのことだった。そのことを知ったガンモは、
「面白そうだから、やっぱり観に行きたい」
と言い出した。しかし、私は千百円で鑑賞できる前売券を持っているのに、一緒に観るガンモが定価の千八百円で鑑賞することになってしまうのもまた悔しい。同じ前売券を購入しようにも、既に派遣会社の福利厚生のページでは、映画『どろろ』の前売券は売り切れになってしまっている。
そこで思いついたのが、火曜日のレディースディを利用することだった。レディースディなら、私は千円で映画を観ることができる。そして、私が既に購入している前売券でガンモが鑑賞すれば、すべてが丸く収まるのではないか。そう思い、私は仕事を終えてガンモに電話を掛けた。Windows Vista対応がようやく落ち着いたので、仕事帰りにガンモと三宮で待ち合わせできると思ったのだ。
ところが、ガンモは何と、自宅近くの顧客のところで仕事をしている言う。しかも、仕事はまだまだ終わりそうもないらしい。ガンモの様子では、移動時間も考えると、映画の上映時間にはとても間に合いそうになかった。がっかりである。映画『どろろ』だけでなく、私の手元には映画の前売券が三枚あるのだが、なかなか映画館に足を運ぶタイミングを掴めないでいる。それらの映画に導かれるのはいつのことなのか。
ところで、先日出掛けたラジオの公開録音のときに、ラジオ番組のスポンサーであるTOYOTAから、BLADEという新製品の販促ツールと思われるいくつかの景品をいただいた。その中に、BLADEのロゴ入りのチョコレートが入っていた。コンピュータ業界で働いている私たちにとって、BLADEと言えば、すぐさまBLADEサーバーのことが頭に浮かぶ。ガンモは、
「TOYOTA VISTAにBLADE」
などと言いながら、私を笑わせてくれた。
BLADEのロゴ入りチョコレートは、全部で三粒あった。三粒と言っても、メリーチョコレートにより製造された、立派なチョコレートである。私は、自分も一粒食べて、ガンモにも一粒分けてあげた。そして、ガンモがトイレに行っている間に、もう一粒残っていたチョコレートをペロリとたいらげてしまった。というのも、ガンモの血縁には糖尿病の人が多いので、ガンモ自身も甘いものを控える必要があると思ったからだ。それでなくても、ガンモはいつもスーパーで買った甘いお菓子をおいしそうにほおばっているので、糖分を取り過ぎないように注意を呼び掛けていたのである。また、私自身が参加したラジオの公開録音でいただいた景品であることも、私に優先権がある理由の一つだった。
トイレから出て来たガンモは、
「チョコレート、あと一つ残ってたでしょ?」
と聞いて来た。私はあっさりと、
「うん、食べたよ」
と答えた。ガンモは驚いて、
「ええっ? 半分くれるんじゃなかったの?」
と残念そうに言った。そう、いつも私たちは食べ物を半分こして食べて来たからだ。
「いやいや、糖尿病になるといけないし」
と言い訳したものの、おいしいメリーチョコレートを一粒しか食べられなかったガンモが少しかわいそうに思えて来た。よし、バレンタインにはメリーチョコレートを買って来よう。私はそう決心したのだった。
私は、仕事帰りにデパートのお菓子売り場に立ち寄り、メリーチョコレートを探した。時期が時期なだけに、デパートのお菓子売り場はたくさんの女性たちで賑わっていた。メリーチョコレート、メリーチョコレート・・・・・・。おお、あったあった! 私はメリーチョコレートのショーウィンドウを覗き込んだ。そして、つい先日、食べたばかりのBLADEチョコレートにそっくりのチョコレートを探し当てることに成功したのだ。同じものはなかったが、BLADEチョコレートにできるだけ近い商品を選び、二人で一緒に食べられるようにと、少し大きめのチョコレートを買った。それを、ガンモに見つからないように、玄関の茂みにそっとしまっておいた。
帰宅してゆったりとくつろいでいるうちに、零時を回った。ガンモは私の顔を見ながら、
「バレンタインデーだけど?」
と言った。私は、
「そうだね」
と言った。
我が家は、零時を回ってからお風呂に入ることが多い。お風呂と玄関はすぐ近所にある。トイレに立ったついでに、私は玄関の茂みの中から買っておいたチョコレートを取り出して、ガンモがお風呂にやって来るのを密かに待った。そして、お風呂に入るためにやって来たガンモに、さっと差し出したのだ。
「はい、これ。メリーチョコレート」
意外な展開にガンモはとても驚き、そして喜んでいた。ガンモが先日食べそびれたメリーチョコレートが、ちゃんとした紙袋に入って、ちゃんとした包装紙に包まれていたからだ。私は、
「二人で食べるんだから、一人で全部食べてしまわないようにね」
と釘をさしておいた。
バレンタインデーの当日、ガンモは仕事が休みである。暖冬のためにチョコレートがどろどろにならないうちに、いや、私の分のチョコレートがなくなってしまわないうちに、いやいや、ガンモがチョコレートを食べ過ぎて糖尿病にならないように、早めに帰宅しなければ。
※一日一日記のため、日付と時間を変更してしまいますが、この日記は零時を過ぎたバレンタインデーの前夜の出来事です。
※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ガンモの喜びぶりを見て気がついたのですが、結婚してからというもの、バレンタインデーにちゃんとしたデパートのお菓子売り場でチョコレートを買ったのは久しぶりだったかもしれません。何しろ、我が家は「毎日がバレンタインデー」でしたので。年に一度のバレンタインデーを受け入れるということは、バレンタインデー以外の日はバレンタインデーではないのですよね。ちょっと複雑な気持ちです。(^^;
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