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2007.02.07

あるある大臣伝

 今日は、柳沢伯夫厚生労働大臣の発言をネタに、ショートショートをお送りしよう。

 これからお届けするのは、テレビのトーク番組に、柳沢伯夫厚生労働大臣がゲスト出演されたときの模様である。

司  会  者 :「さて、今日も『あるある大臣伝』の時間がやって参りました。わたくし、司会のまるみと申します。『あるある大臣伝』では、毎回、日本の大臣をゲストにお迎えしていますが、偽りなく真実をお伝えして参りたいと思いますので、最後までどうぞよろしくお願い致します。今日は、『女性は産む機械』で見事に二〇〇七年流行語大賞に輝いた柳沢伯夫厚生労働大臣にお越しいただいてます。柳沢厚生労働大臣、どうぞよろしくお願い致します。」

柳沢厚生労働大臣:「こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します」

司  会  者 :「では早速ですが、柳沢厚生労働大臣の発言がきっかけとなり、『産む機械』、更には『育てる機械』が実際に製造され、少子化社会に大きく貢献されたばかりでなく、大変な経済効果をもたらされました。まず最初に、そのあたりの状況やご感想などをお話しいただけたらと思います」

柳沢厚生労働大臣:「そうですね。最初のうちは皆さんもご存知の通り、非難囂囂(ひなんごうごう)だったわけですが、災い転じて福となすと申しましょうか。N社さんが『産む機械』や『育てる機械』を実際に製造してくださり、無事に少子化問題は解決され、経済効果も高まりました。N社さんにはとても感謝しています。」

司  会  者 :「この『産む機械』や『育てる機械』なんですけれども、どういった機械なんでしょうか」

柳沢厚生労働大臣:「一言で言いますと、女性の形をしたロボットですね。『産む機械』に対し、男性が働きかけることによって、『産む機械』は身ごもることができます。人間よりも早く子供が生まれるのが特徴です。『産む機械』によって子供がどんどん増えて行くものですから、今度は『育てる機械』が開発されたわけです」

司  会  者 :「そう言えば、柳沢厚生労働大臣も、実際に『産む機械』や『育てる機械』を購入されたそうですね」

柳沢厚生労働大臣:「はい。『産む機械』と『育てる機械』、それぞれ五台ずつ購入させていただきました。『産む機械』から生まれた子供たちを、『育てる機械』が引き取り、実に良く面倒をみてくれています」

司  会  者 :「なるほど。噂によりますと、機械のお手入れなどもご自分でなさっているとか」

柳沢厚生労働大臣:「はい。その通りです。どういうわけか、家内は機械に対してやきもちを妬いてますのでね。ただの機械のなのに、女性の心理はずいぶん複雑なようです。機械の世話は全部私が行っています。まあ、ときどき油を挿したり、なでてやったりする程度ですけども。『産む機械』と『育てる機械』、それぞれ五台ずつありますので、それなりに手入れも大変ですが、子供を十二人も産んでくれたので、国としてもとても助かっています」

司  会  者 :「そうですか。ところで、これは私の女性としての単純な疑問なんですけれども、『産む機械』と『育てる機械』を製作したN社は、どうして『子種を植えつける機械』も一緒に作らなかったのでしょうか?」

柳沢厚生労働大臣:「それは・・・・・・。N社の開発担当が男性だったからでしょう。男性が自ら、自分たちの愉しみを奪ってしまうとは思えませんからね」

司  会  者 :「とおっしゃいますと、男性たちは、『産む機械』に対して性行為を行うことを愉しみとされているわけですね。でも、それではずいぶん不公平ですね。今や、多くの女性たちは、出産を『産む機械』に任せっぱなしです。おそらくですが、女性の社会的な地位が向上したおかげで、男性に従順な女性が減って来たのでしょうね。それに対し、男性に従順な『産む機械』は、男性たちに広く受け入れられているのでしょう。その結果、もはや、生身の女性たちは、出産に関して出る幕がなくなってしまったと言っても過言ではありません。出産には、産む苦しみもあれば、苦労して生んだという大きな喜びもあろうかと思います。生身の女性たちは、それらの苦しみや喜びを『産む機械』に横取りされてしまっているのに、男性たちは自分たちの愉しみだけは取っているのですね」

柳沢厚生労働大臣:「おやおや、そういうご意見はおだやかではないですね」

司  会  者 :「おかしいとは思われませんか? 『産む機械』や『育てる機械』が存在するならば、『子種を植えつける機械』も同時に存在すべきです。しかし、実際はそうではありません。つまり、今の世の中は、男性と女性が対等ではないのです。日本はまだまだ男社会ということです。」

柳沢厚生労働大臣:「・・・・・・」

司  会  者 :「ところで、柳沢厚生労働大臣は、映画『マリーアントワネット』をご覧になりましたか?」

柳沢厚生労働大臣:「いえ、観てません」

司  会  者 :「そうですか。日本に限らず、海外においても、昔から、子供を産まない女性は虐げられて来ました。しかも、跡継ぎには男の子を産まなければなりませんでした。日本の皇室にも、かつては側室制度が存在していましたよね。権力者は、健康な男の子を産んでもらうために、たくさんの妾たちを囲っていました。それこそ『産む機械』だったのかもしれません」

柳沢厚生労働大臣:「ちょっと待ってください。私は少子化の話をしていたのです」

司  会  者 :「映画『マリーアントワネット』では、子供が誕生しないことに対し、マリーアントワネット自身が周りからとやかく言われます。でも、当時のフランス王室になかなか子供が誕生しなかったのには、それなりの理由がありました。マリーアントワネットは夫に対して彼女なりにアプローチしていたようですが、夫はいざという段階になると夫婦の営みから逃げてしまっていたようです。しかし、子供が生まれない理由が何であろうと、虐げられるのはいつも女性です。それもやはり、『産む機械』だからでしょうか」

柳沢厚生労働大臣:「あなたは一体何をおっしゃりたいのだ。少子化の話はどうなったんだ」

司  会  者 :「少子化ですか。ではおうかがいしましょう。柳沢厚生労働大臣は何故、そこまで少子化にこだわるのですか?」

柳沢厚生労働大臣:「それは、これから高齢化社会を迎えようとしているのに、今、子供が生まれていないと、やがて働き盛りの若者たちがいなくなってしまうからです」

司  会  者 :「なるほど、つまりは税金を納める対象の人たちが少なくなるために、日本の財政が赤字になることを懸念されていらっしゃるのですね。少子化に対し、命の尊さとか、次の世代に何か大切なことを伝えて行きたいという熱い想いはないのですか?」

柳沢厚生労働大臣:「もちろん、ありますとも。実際に、生まれたばかりの赤ん坊を見ていると、命の尊さを実感せずにはいられません。命の尊さよりも前に、生命の不思議とでも申しましょうか。この子たちを守って行きたい。そんな気持ちを強く抱きます」

司  会  者 :「柳沢厚生労働大臣。命の尊さを実感していらっしゃるのなら、新しい生命を望むことも積極的な行動の一つですが、政治家として、他にも実践すべきことがあるのではないでしょうか」

柳沢厚生労働大臣:「とおっしゃいますと?」

司  会  者 :「今でも世界のあちらこちらでは殺し合いが絶えません。新しく生まれて来る命も大切ですが、既に存在している命を守って行くことも大切ではないでしょうか」

柳沢厚生労働大臣:「むむむ・・・・・・」

司  会  者 :「もしご覧になっていなければ、『トゥモロー・ワールド』という映画をご覧になってください。『トゥモロー・ワールド』では、この世に子供たちが一人も誕生しなくなってしまう世界が描かれているのですが、それでもなお、人々は戦争を辞めようとしないという皮肉が表現されています。もしも命の尊さを実感していらっしゃるならば、どうか殺し合いを止めさせてください」

柳沢厚生労働大臣:「わかりました」

司  会  者 :「それから、さきほどの税金のことですが、昔と比べて、多くの女性たちが社会に進出して来ました。その社会で、男性たちと対等に働いている女性たちもいます。例えばその人たちは、国に対して、男性たちと同じように税金を納めています。その分を、その人たちの老後まで貯金していただくことはできないのでしょうか?」

柳沢厚生労働大臣:「それは・・・・・・」

司  会  者 :「つまりは、国の財政難を少子化の問題に摩り替えているだけなのではないですか?」

柳沢厚生労働大臣:「・・・・・・」

司  会  者 :「少子化問題は、様々な要因が重なって生じた課題だと思います。昔は、女性が外に出て働くということはあまりありませんでした。だから、育児に専念することができたんです。でも、今は違います。少子化の要因を女性にだけ求めずに、もっと広い視野で考えていただけないでしょうか。例えば、環境ホルモンにも目を向けるとか」

柳沢厚生労働大臣:「今度は環境ホルモンのお話しですか」

司  会  者 :「はい。環境ホルモンの中でも、特に環境エストロゲンと言われているものを生活中から排除できるよう、世の中に働きかけてください。環境エストロゲンは、男性の精子にも、女性の子宮にもよろしくない影響を与えているようです。具体的には、プラスチックの改良を進めてください。温められたペットボトルや、電子レンジで温められたプラスチックに入ったお弁当を飲食しても、私たちの身体に害がないようにしてください」

柳沢厚生労働大臣:「わかりました。環境問題を担当している大臣に相談しておきます」

司  会  者 :「ありがとうございます。それではお時間になりましたので、そろそろお別れの時間となりました。柳沢厚生労働大臣、本日はどうもありがとうございました」

※登場人物は実在の人物と大いに関係がありますが、会話の内容と実在の人物は必ずしも一致しません。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 更新が遅くなり、申し訳ありません。いつの間にか、昼休みには書き切れないボリュームになってしまいました。この記事を書きながら、『シャーロットのおくりもの』という映画の中で、シャーロットという名前のクモが、たくさんの卵を産み落として亡くなってしまうシーンを思い出していました。そのシーンを観たとき、クモのシャーロットが自分の世代から次の世代に自分の持っているすべてを伝えて行くという重要な役割を果たしていると感じました。子供のいない私が言うのも何ですが、これが本来の動物のあるべき姿なのではないかと感じました。子供のいない私にも、そういうことを感じさせてくれるくらい、とても素敵な映画でした。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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