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2007.01.02

小さな国家

 朝早くから起き出して、せっせと出掛ける準備を整えた。四国にあるガンモの実家に帰省するのである。

 三宮からフェリー乗り場までバスに乗り、高松行きのフェリーに乗り込んだ。高松までの所要時間はおよそ四時間である。フェリーの魅力は、列車に比べて占有できる面積が広いことだろうか。もちろん、列車のように、椅子だけの席もあるのだが、私たちが昼間のうちにフェリーを利用するときはいつも、広々とした和室に落ち着く。何故なら和室では、思い思いに寝転がることもできるし、運が良ければコンセントを利用することもできるからだ。ノートパソコンを持ち歩いている私たちにとって、四時間もの長旅でコンセントを利用できることはとてもありがたいことなのである。

 しかし、いざ私たちが和室に入ってみると、既にコンセント近くの席は埋まってしまっていた。もう少し早く乗船できていれば、コンセント近くの席を確保できたのにと思うと、少し残念だった。

 回りを見渡してみると、マットを借りて気持ち良さそうに寝転がっている人がいた。暖かい船内で、上着を脱ぎ、その上着を布団代わりに自分の身体の上に掛けて寝ている人もいた。最初から船の中で眠る計画を立てていたのか、自前の毛布を持参している人もいた。本を読んでいる人もいた。また、自宅から持ち込んだ食べ物を家族みんなで分け合って食べている人たちもいた。広い和室のスペースは、人々が家族単位で寄り合い、思い思いの時間を過ごしていた。

船内の和室

 こういう光景は、いいなあと思う。まるで、座席指定のない野外ライブで、のんびりと演奏に聴き入っているかのようだ。何かに対してがむしゃらになることもなく、ただ平らな時間が過ぎて行く。四時間という時間を、それぞれが自分の好きなことに費やしている。

 フェリーの和室の光景を見ているだけで、それぞれが、家族という単位で小さな国家を作っていることがわかった。お父さんがいて、お母さんがいて、子供がいる。寄り添う家族の間に暗黙の了解がある。誰かが家族の暗黙の了解からはみ出ようとすると、年長者が注意を促す。ほとんどの場合、そこで争いにはならず、年長者の意見に従うことになる。

 また、自分たちが陣取った周辺は、小さな国家の領域となる。そこに、他の小さな国家の人たちが立ち入って来ることを不快に思ったりもする。

 私はこれまでしばしば、国家の縮小形を家族に例えて来たが、もしもこの例えを続けるなら、いつまで経っても戦争はなくならないのではないかと思えて来た。仮に、家族という小さな結束集団があり、その結束集団と敵対する別の結束集団が存在するとしたら、ロミオとジュリエットを取り巻く家族のように、いつまでも敵対し続けることだろう。何故なら、敵対する結束集団は、内側の結束集団の絆を深めるために必要な存在だからだ。敵対する存在に出会うことで、内側の結束集団の絆がどんどん深まって行くからである。ロミオとジュリエットに例えて言うならば、互いに敵対する結束集団が存在しているために、ロミオファミリーの結束は固まり、ジュリエットファミリーの結束も固まるということである。

 反対に、敵対ではなく友好に向かうとしても、例えば複数の家族が一緒に住むなどして、友好的な家族同士がその単位を大きく広げるとは思えない。例えば、ロミオファミリーとジュリエットファミリーが家族同士の付き合いを深め、お互いに相手の家族を心地よい存在だと認識し合ったとしても、ロミオファミリーとジュリエットファミリーが同じ家に住むようにはならず、あくまでロミオファミリーとジュリエットファミリーという家族の最小単位をり抜くだろうと思われる。

 だとすると、いつまで経っても小さな国家が大きな国家に発展することはなく、大きな国家は、あくまでも小さな国家の集合体に過ぎないことになってしまう。それに、もともと大きな国家というものは、家族のように愛情や血縁で結ばれた関係ではなく、同じ人種や宗教で結ばれた人たちだ。だから、異質なものが自分たちの存在を脅かそうとすると、国家の内側で結束して国家を守り抜こうとする。それが戦争に発展しているのではないだろうか。すなわち、戦争をなくそうと思ったら、国家の内側の結束を固めることを必要としない世界を作り上げること、ということになってしまうのではないか。フェリーの和室の中で、新春早々、そんなことを考えていた私であった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m お正月をいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。私たちは、二人でガンモの実家に帰って参りました。毎年そうですが、普段、マンション暮らしをしている私たちが木造の実家に寝泊りすると、寒さのために風邪を引き易くなります。気密性の高いマンションでは、隙間風が入って来ることがあまりないために、外の冷たい空気から守られている部分が大きく、ついついマンションモードで動き回ってしまうのだと思います。普段、マンション暮らしをされている皆さんで、木造の実家に帰省される方は、どうか気を抜かないようにご注意くださいませ。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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