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2007.01.23

笑点もどき

 今日は、久しぶりにショートショートをお届けしよう。いつものように、前日の記事を題材にしてみたのだが、何しろ仕事が忙しくて頭の中がぐちゃぐちゃなので、とんでもないストーリーになってしまうかもしれない。

 ホットヨガのレッスンには、六十分のビギナーコース、七十五分のベーシックコース、九十分のベーシックコース、七十五分と九十分のアクティヴコース、六十分の脂肪燃焼コースがある。支店によっては他のコースも用意されているのだが、だいたいこのようなコースとなっている。実は、これらのコースは、レッスンを受ける人たちだけのものではなかった。スタッフの方たちも、これらのコースに参加していたのだ。と言っても、同じであるのはコースの名前だけで、コースの内容はまったく異なっている。あるとき私は、それらのコースを見学する機会に恵まれた。そのときの様子をお伝えしようと思う。

 私たちがいつもレッスンを受けているスタジオの中に、スタッフの方たちが勢ぞろいしていた。ヨガマットを床に並べ、その上にバスタオルを敷き、胡坐(あぐら)をかいて座っている。いつもインストラクターが使っている正面のマットには、年配の女性がスタッフの方たちに顔を向けて座っていた。手には、大きなパネルのようなものを持っている。
「はい、それでは次の会員さんです。この方はどなたでしょう? はい、わかる人?」
年配の女性はそう言って、大きなパネルをスタッフの方たちに見えるよう、上に掲げた。すると、後列で胡坐をかいていたスタッフの一人が手を挙げて、
「その方は、A山B子さんです」
と言った。年配の女性は、パネルの裏側に書かれている情報を確認し、
「はい、正解です」
と言った。すると、スタジオの隅の方からヨガマットを手に持った人が歩いて来て、さきほど正解したスタッフのヨガマットの上にもう一枚、ヨガマットを重ねた。ヨガマットを重ねてもらったスタッフは、新たに重ねられたヨガマットの上にバスタオルを敷き直して再び胡坐をかいた。
「では次。この方はどなたでしょう? はい、わかる人?」
再び、年配の女性が大きなパネルを上に掲げながらスタッフに問いかけると、今度は別のスタッフが手を挙げて、
「C川D美さんです」
と答えた。年配の女性は、パネルの裏側に書かれている情報を確認したが、間違っていたのか、答えたスタッフを軽く睨みつけた。
「残念、違います。はい、彼女のマットを持ってって」
年配の女性がそう言うと、さきほどヨガマットを運んで来たスタッフが、今度は間違って回答したスタッフのマットを取り上げに行った。間違って回答したスタッフは、ヨガマットを取り上げられて、マットなしの状態になってしまった。そう、スタッフの方たちは、テレビ番組の「笑点」のルールで、ホットヨガの会員の人たちの顔と名前を覚えていたのである。

 「では、ここで汗をふいて、水分補給を行いましょう」
年配の女性がそう言うと、レッスンに参加しているスタッフの方たちは、タオルでそれぞれ自分の身体の汗をふき取り、持っていたペットボトルの水を飲んだ。会員の顔と名前を覚えるレッスンといえども、ホットヨガのレッスンらしく、三十八度の室温、六十五パーセントの湿度の環境で行われているのである。

 スタジオ内を見渡すと、既に何枚もヨガマットを獲得しているスタッフがいた。このレッスンは、決められた時間内にどれだけたくさんのヨガマットを集められるかを競い合うものだった。六十分のビギナーコースでは、入会年数が二年以上の会員の写真が使われる。つまり、ビギナーコースは、既に馴染みの会員の写真ばかりなので、答え易くなっているのだ。七十五分のベーシックコースでは、入会年数が一年以上の会員の写真、九十分のベーシックコースでは、入会年数が半年以上の会員の写真がそれぞれ使われている。七十五分と九十分のアクティヴコースでは、入会年数がそれぞれ半年以上と三ヶ月以上の会員の写真が使われのだが、写真が掲げられる時間が超ウルトライントロクイズ並に短い。そのため、レッスンを受けているスタッフは、瞬間的に掲げられる写真を決して見逃すまいと、じっと目を凝らして見つめているのだった。

 どのコースも、レッスンが終わる頃には全身が汗でびっしょりになる。中でも、六十分の脂肪燃焼コースは、スタジオ内の高い場所に掲げられた写真を何度もジャンプして確認しなければならないので、かなり激しいレッスンとなっている。しかも、高い場所に掲げられる写真の中には入会したての会員の写真もある。運動量の激しい脂肪燃焼コースのレッスンは、脂肪燃焼に高い効果をもたらしているのである。

 現在は、脂肪燃焼コースよりも激しいコースはないのだが、あまりにも優秀なスタッフが多いために、近々、脂肪燃焼コースよりももっと厳しいコースが開設されることになっているそうだ。そのコースは、自分たちの勤務している支店だけでなく、他の支店の会員の顔と名前も覚えるというものだという。

 このようにして、ホットヨガのスタッフの方たちが、自分たちの勤務する支店に登録されている会員の顔と名前を一生懸命覚えていることは、会員の皆さんにはあまり知られていないことだろう。今度、少し早めにレッスンに出掛けて行って、使われていないスタジオの中をそっとのぞいてみるといい。もしかすると、ヨガマットを使って、笑点もどきのレッスンをしているスタッフの方たちに出会えるかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m このショートショートは、神戸店のスタッフの方が、私の名前と顔をちゃんと覚えてくださっていることから想像してみました。実際は、どのようにして覚えていらっしゃるのでしょう。顔写真を提出しているので、それが手がかりになっていることは確かだと思います。ちなみに、私はスタッフの方たちの名前をなかなか覚えられません。(^^; インストラクターの方は、いつもレッスンの前に口頭で名乗ってくださるのですが、耳で聞くだけなので、時間が経つと頭の中から離れて行きます。名札をつけてくださっていたら、ちゃんと覚えられると思うのですが・・・・・・。名札と言えば、以前、カメラ関係のオフなどで、名札を付けて参加していたことがありました。名前を覚えてもらえるので、このアイディアはとても効果的でした。私が参加しているカメラ関係のサークルでも、名札を付けて参加するパーティーがあります。名札があると、話しかけるきっかけにもなります。お互いの名前を示し合うことは、コミュニケーションの第一歩だったのですね。ホットヨガのレッスンで、他の会員の方とのコミュニケーションがなかなか始まらない原因がわかったような気もします。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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