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2006.12.28

ガンモの帰宅と仕事納め

 朝、玄関のドアが開いて、ガンモが東京出張から帰って来た。およそ三日ぶりの再会を果たした私たちは、喜びに打ち震えながら、抱き合ってキスをした。毎回、私はガンモと再会すると、まるで堤防が決壊したかのようにわんわん泣くのだが、今回は泣かずに済んだ。ガンモの顔を見た途端、ガンモ不在の非日常からガンモのいる日常に戻ることができたからである。

 三泊四日の出張のうち、ホテルに二泊したガンモだったが、ホテルでも帰りの急行銀河でも、ほとんど眠れなかったと言う。ホテルで眠れなかったのは、決して周りの音がうるさいとか、部屋の明かりを消してもネオンが明る過ぎるとか、そういう理由ではないらしい。何となく、なかなか寝付けない部屋だったのだそうだ。

 すぐに仕事に出掛けなければならなかったガンモは、素早くシャワーを浴びて、寝不足でだるそうな身体のまま出掛けて行った。そのあと、私も支度を整えて、仕事に出掛けた。とても慌しい再会だった。私は今日が仕事納めだったが、ハード屋さんのガンモの仕事納めはまだまだ先のことらしい。

 私は、明日から始まる年末年始の休暇のことを思うと、うきうきした気持ちでいっぱいだった。職場では、本日付けで、同じプロジェクトの派遣社員の女性(話の長い女性)が退職されることになっていたので、プロジェクトのみんなで彼女に花束を贈った。私の職場では、派遣社員が退職するときは、プロジェクトのみんなでお金を出し合って、花束を贈呈するしきたりがあるのだ。その花束は、同じプロジェクトの別の派遣仲間の女性が昼休みに買いに行ってくれたものだ。花束を受け取った彼女はとても感動していた。

 それに対し、退職して行く派遣社員の多くは、高級なお菓子を買って来て、お世話になった人たちに配りながら最後のあいさつをする。派遣社員をどんどん使い捨てて行く企業と違って、私の派遣先は、派遣社員をとても大事にしてくれていると思う。だから、辞めて行く人も、「はい、さよなら」では終わらないのだ。今日退職して行った彼女も、同じプロジェクトの人たちを中心に、高級なお菓子を配っていた。

 仕事納めということで、定時になると、会議室で納会が行われた。納会では、ビールにおつまみ、お寿司やピザなどが出され、普段、話す機会のない人たちとの会話を楽しむことができる。私たち派遣社員も納会に参加していいことになっているので、私も少しだけ参加した。

 私は、九月末に退職した直径十二センチの彼女の後任の派遣仲間のことが気にかかっていた。彼女の後任の派遣仲間は男性なのだが、彼が上司とやりとりをしている様子が、私の席からとても良く聞こえて来るのである。その上司は、私の元上司でもある。とても頭の回転の速い、実に切れ者の上司だ。私の上司だった頃の彼は、プロジェクト全体のとりまとめとプログラムの開発を担当していた。しかし、プロジェクトで新たな仕事を請け負うようになり、彼はその新たな仕事のリーダーを担当するようになった。そこに投入されたのが、直径十二センチの彼女だったのである。

 直径十二センチの彼女は、その上司に追い込まれ、仕事のプレッシャーに耐え切れずに仕事を辞めた。切れ者の上司は、自分のペースでことを進めるので、そのペースについて行けない人は、かなりのプレッシャーを感じてしまうことになる。例えば、過去事例の検索方法が妥当であるかどうかを、クイズ形式で尋ねられる。その問いかけ方には逃げ道がなく、問いかけに答えられないでいると、コンプレックスを感じてしまうほど追い込まれて行くのだ。

 かつて、私がその上司と一緒に仕事をしていたとき、私は元上司に限りなく反発していた。元上司に対し、私は言いたいことをストレートに言っていたと思う。時には、周りの人を冷や冷やさせることもあったくらいだ。それは、私が技術者だから実現できたことである。自分の中にある技術力で上司に対抗できたのだ。しかし、すべての人が私と同じように反論できる立場にあるとは限らない。実際、直径十二センチの彼女も元上司にはほとんど反論できなかったし、後任の彼も、元上司に追い詰められると黙り込んでしまう。私は、そうしたやりとりが心配でたまらない。この先、直径十二センチの彼女の二の舞になってしまうのではないかと心配なのだ。

 私は、納会の席でこっそりと、後任の彼に言ったのだ。
「○○さん(元上司の名前)に、もっと反論してもいいんですよ。なるべく言いたいことを溜めないようにしてくださいね」
と。彼はにっこり笑っていたが、元上司に対し、心の中でどのように感じているか、読み取れなかった。

 直径十二センチの彼女と私は、毎日のようにメールのやりとりをしている。彼女に後任の彼と元上司のやりとりのことを伝えたところ、彼の気持ちが良くわかると言っていた。私が、彼の気持ちを聞くために飲み会を開くかもしれないと言うと、その飲み会に参加してもいいと言ってくれた。私が今の職場で得たものは、こうした派遣仲間たちとの交流かもしれない。これまでの派遣先では、同じ派遣会社からの派遣仲間の数はとても少なかったのだ。時には、派遣社員は私一人だけということもあった。だから、派遣社員特有の悩みがあっても、同じ職場の誰かに相談できる状況になかった。ところが、現在の職場には、八人もの派遣仲間がいる。そのため、時には営業を通して解決するような問題も、たいてい派遣仲間同士で解決できている。

 私は、納会が一時間程度でお開きになるのを知っていたので、それよりも少し早めに失礼して、途中の駅でガンモと待ち合わせをして帰宅した。まだ仕事納めにもならず、寝不足のガンモはどことなく元気がなかったが、私は一人で浮かれていた。そして、自分自身に「一年間、お疲れ様」と言った。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 皆さんも仕事納めをされましたでしょうか。一年間お疲れ様でした。私も、ようやくこの一年の仕事を終えました。この一年間、仕事と言うよりも、職場の人間関係でいろいろあったように思います。私が今の職場に派遣されてから、既に四年半が経過していますが、これまで当たり障りのない付き合いを続けていたために、何も起こらなかったということがわかりました。私よりも派遣期間の長い女性(以前、私と大喧嘩をした派遣仲間)がいるのですが、現在の職場の状況をずっと見守って来た彼女と話していたところ、「これまで平和だった派遣仲間の間にいろいろあったね」と言っていました。確かにその通りでした。でも、それは、これまで当たり障りのない付き合いをしていたために、摩擦までたどり着かなかったのだと思います。もっと交流を深めようとすると、摩擦が起こる場合もありますね。心の中では合わないと感じているのに、密に関わろうとすると、どんどん歪が出て来るようです。その歪を矯正できるのが愛のある関係で、矯正できないまま離れてしまうのが社会的な関係なのかもしれませんね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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