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2006.12.26

映画『大奥』

 朝、ガンモにモーニングコールをしてから出勤した。わずかの間でも、こうして離れ離れで生活していると、遠距離恋愛期間中を思い出す。あの頃は、私が東京に住んでいて、ガンモが兵庫県に住んでいた。今の状況(と言っても、ガンモは今、東京に住んでいるわけではないが)とまるっきり逆である。妙な感じだ。

 夕方、ガンモからメールが届いた。
「ヨロバシに行って来る(^^)」
ニコニコマークなんか付いていて、ガンモはやけにうれしそうだ。「ヨロバシ」というのは、ヨドバシカメラのことである。メールが送信された時間は、まだ十七時前だった。東京で非日常を過ごしているガンモは、いつもよりも早めに仕事が終わったため、ショッピングを楽しみたいようである。私のほうは、ガンモがいなくてグレてしまいたいくらいなのに、ガンモは東京生活を満喫しているようである。何だか悔しいではないか。

 ようし、今日はせっかくのレディースディだ。私も早めに仕事を上がって映画を観て帰ろう。どうせ、家に帰ってもガンモはいないのだから。そう思って、レイトショーに間に合う時間に仕事を上がった。ガンモに電話を掛けてみると、東京は大雨なので、ヨドバシカメラに行くのは諦めたと言う。私が、
「これから映画を観て帰るから。どうせ家に帰っても誰もいないしね」
と言うと、ガンモは、
「わかった」
と言った。それからガンモは、私が映画を観ている間に一眠りしたようである。

 さて、今日観た映画は、『大奥』である。私は、子供の頃から時代劇を観るのをとことん避けて生きて来た。おそらく、時代劇の中の男性の髪型や服装があまり好きではなかったのだと思う。だから、『遠山の金さん』も、『水戸黄門』も観ることなく大人になった。そんな私が、何となくこの映画に惹かれ、「レディースディで千円で観られるなら観てもいいか」、くらいの気持ちになったのは、自分でも意外である。レイトショーの対象になっている他の映画は既に観ていたので、観たい映画の候補として消去法で残ったのがこの映画だったとも言える。実は、これが大当たりだった。

 題材になっているのは、絵島生島事件である。かなり有名な事件なので、ご存知の方も多いことだろう。私も何度か漫画で読んだことがある。しかし、漫画で読んだのとはストーリーが少々異なっている。私が漫画で読んだのは、絵島が生島を大奥に招き入れて密通していたというストーリーだった。絵島生島事件によれば、歌舞伎などではそのストーリーが使われているが、実際はそのような事実はないらしい。

 漫画のストーリーに染まっていただけに、実際に映画を観るまでは、「あの絵島の役を仲間由紀恵ちゃんが? ええっ?」という印象だった。しかし、実際に映画を観てみると、仲間由紀恵ちゃんは、単に関西でICOCAのコマーシャルをやっているだけの女優さんではないことを再認識させられた。彼女はこの映画で、絵島の役になり切っている。この役に賭けているのがわかるのだ。目線と言い、発声の仕方と言い、演出だけで、ここまで女優さんが変身できるものなのかと驚いてしまった。

 高島礼子さんの悪役もいい。『極道~』は観ていないが、あれほどの迫力はないにしても、悪役も主役もこなせる女優さんは実力があると思う。杉田かおるさんも出演されているのだが、彼女は悪役が板について来たなあと思う。彼女が涙を流しながら火を放つシーンは印象的だった。多分、私が彼女と同じことをするときも、きっと目に涙を浮かべるだろうと思ったからだ。

 ミッチーこと及川光博さんは、まだまだ役に幅が出て来ない役者さんではあるが、それは彼の容姿が邪魔しているのだろうと思う。何を隠そう、私はかつてミッチーのファンクラブに入っていて、彼のライブに何度か足を運んだことがある。彼に対する音楽的なコメントは控えたいが、彼のライブは思い切りユニークだった。彼は、ファンを楽しませる方法を知っているアーチストの一人だ。だから、音楽を聴きに行くというよりも、ライブを楽しみに足を運んでいた。

 さて、話を映画に戻そう。豪華で個性的なキャストに加え、この映画は音楽がまたいいのだ。映画のオープニングから、とても心地良い音楽が流れている。時代劇など苦手だと思っていた私が、もう、それだけでこの映画に引き込まれてしまったのである。

 それだけではない。この映画は、立派な恋愛映画でもある。大奥という、男性とはほとんど縁のない場所で働く女性たちが繰り広げる名誉欲と嫉妬の入り混じった人間模様と、二組の相思相愛の男女が描かれているのである。

 何が本当で何が嘘かわからない策略の中で、真実の愛を見つける絵島と生島。「それだけで満足だった」。二人を説明するのに、この一言に尽きる。恋を知る前の女性と恋を知ったあとの女性の表情の違いも良く描かれていた。恋を知ると、女性は表情が柔らかくなる。また、恋多き男性は、真実の愛を見つけると、One of themではなく、Oneになる。そういうことを感じさせてくれる素晴らしい映画だった。口の固い生島に、生島の最後の笑顔に、誰もが泣けるだろう。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 私がグレるとは、せいぜい映画を観て帰ることくらいです。この映画は、『ラ・マン(愛人)』にも通じるところがあると思いました。それから、記事には書いていませんが、『エラゴン』、『シャーロットのおくりもの』も良かったです。『シャーロットのおくりもの』は、友情とは何か、子供を産んで世代交代するということを教えてくれた映画でもありました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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