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2006.11.10

着メロのおかず

 今日は、昨日書いた耳コピーに思うをショートショートでお届けしよう。

 ある男女がお見合いの席で出会った。最初はもじもじして接点を見つけられなかった二人だったが、話が趣味の話題に及んだとき、二人の会話は一気に弾んだ。

男:「ところで、ご趣味は何ですか?」
女:「とても恥ずかしいのですが、着メロ作りでございます」
男:「えっ? 着メロ作り・・・・・・? それは意外ですね。どのようにして着メロを作っているのですか?」
女:「はい。好きな音楽や気になる音楽を耳で聴いて覚えては楽譜に起こして、着メロに変換するのでございます」
男:「なるほど。でも、着メロと言っても、携帯電話の会社や機種によって、ファイル形式が異なると思うのですが・・・・・・」
女:「はい。作るときは、MIDIシーケンサに向かって音符を打ち込みます。そのようにして出来上がったMIDIファイルを着メロ用のファイルに変換するのです」
男:「なるほど。それならわかります」
女:「そう言えば、お勤めは○○電機だということですが、十五時になると、こんな音楽が流れませんか?」

 女はそう言って、おもむろに自分の携帯電話を開き、着メロを聞かせた。

男:「おおっ! これは驚いた。私の会社の体操の音楽ですよ。もしや、あなたがこれを着メロにされたのですか?」
女:「はい、そうです。以前、○○電機に派遣されていたことがありますので」
男:「なるほど、これは愉快だ。よろしければ、その着メロファイルをいただけませんかな?」
女:「おやすいご用です。では、こちらのサイトにアクセスして、ダウンロードしてください」

 自然な流れの中で、男と女はメールアドレスを交換し合い、男は女が手作りしたという着メロの体操の音楽をダウンロードして自分の携帯電話に取り込み、会社の人気者になった。中には、男の携帯電話が鳴ると、体操を始めてしまう同僚もいた。

 男と女は体操の音楽の着メロをきっかけに急接近し、やがて二人は愛し合うようになり、結婚した。プロポーズの言葉は、「着メロのように、二人で人生の和音を奏でよう」だった。

 結婚して家庭に入った妻は、やがて自分が作った着メロを食卓に並べるようになった。おかずを作るよりも、着メロを作るほうが好きなのである。食卓に並べられた着メロは、口に含む度に、美しい音色を奏でた。

夫:「おや、この着メロは、少し辛いみたいだね」
妻:「あら、そう? ちょっと待っててね。作り直して来るから」

妻はそう言うと、パソコンの前に座り、真剣な顔つきでMIDIシーケンサを操作した。

妻:「ええと、ここをこうしてと・・・・・・」

しばらくMIDIシーケンサと格闘していた妻は、再び食卓に戻り、お皿の上に作り直した着メロを盛り付けた。

妻:「これでどうかしら。第二十三小節からのトランペットのボリュームが大きかったので、少し絞ってみたの」
夫:「うん、なかなかいいよ。これならいける」

 夫はそう言って、お皿に盛り付けられた着メロをもぐもぐとおいしそうにたいらげた。

 妻は着メロを作り、毎日食卓に並べる。仕事から帰宅した夫は、妻の作った着メロをおかずにして、おいしそうにご飯を食べる。しかし、料理に得意分野があるのと同じように、妻には着メロ作りの得意分野と不得意分野があった。

夫:「おや、今日もロックかい」
妻:「そうよ。たまには水割りにする?」
夫:「いや、そうじゃなくて、着メロの分野。日本のフォークソングもなかなかいいぞ」
妻:「そうね。私も日本のフォークソングは大好きよ。熱いエネルギーを感じさせてくれるから」
夫:「そう言えば、クラシックの着メロはビタミンやミネラルが豊富らしいね」
妻:「噂にはそう聞いているけど、私にはクラシックは難しいわ」
夫:「まあ、人には向き、不向きってものがあるからね」
妻:「ロックばかりだと、栄養が偏っちゃうかしら」
夫:「まあ、栄養が偏ったとしても、個性だと思えばいいさ」
妻:「ありがとう。愛しているわ、あなた」
夫:「僕も愛しているよ。これからも、同僚があっと驚くような着メロを作り続けておくれ」

 着メロをきっかけに結ばれた二人は、いつまでも幸せに暮らしたという。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ようやく週末になりました。急に寒くなって来たので、体調管理には充分気をつけましょう。私は、手洗いやうがいを心がけているせいか、年間を通してほとんど風邪を引かないのですが、先日、オフィスで喉が痛いと言っている人に、「うがいをしたら?」と言ったところ、驚かれてしまいました。彼女にはうがいをする習慣がないようです。少し喉がイガイガする程度のときは、うがいをするだけでウィルスを追い出すことができますので、皆さんもどうかお試しくださいませ。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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