« 手術後の訪問 | トップページ | 映画『トリスタンとイゾルデ』 »

2006.11.03

主人在宅ストレス症候群

 無料のサイトにはいろいろな広告が掲載されている。それが広告だとわかっていても、その内容に好奇心をそそられて、思わずクリックしてしまうことがある。あるとき、気になる広告が目に留まり、クリックしてみた。その広告とは、以下のようなものである。

定年夫は何故じゃまなの?
妻の居場所を占拠してごろ寝の定年夫 ‘主人在宅ストレス,の予防策を公開

 クリックして辿り着いたのは、以下のサイトだった。

収納講座【4】 定年前リフォームのすすめ

 このサイトに書かれていることは、夫が定年になってずっと家に居るようになり、これまで一人で自由な時間を過ごしていた妻が次第にストレスを感じるようになるというものである。妻がストレスを感じなくていいように、夫の定年前に家をリフォームをして、夫の居場所を作っておきましょうという内容だった。

 以前から、「亭主元気で留守がいい」という表現があることには驚いていたが、このサイトに書かれていることは、その表現を更に上回っている。元々広告に載せているくらいのサイトなので、無断ではあるが、その内容を少し引用させていただくことにしよう。

ここで、収納コーディネーターという立場から、ひとつの解決策を提案します。
それは、ご主人がリビングや、奥さんのお気に入りの場所を占拠してごろごろしないよう、上手に「収納」してしまおうという方法です。

 これにはとにかく驚いた。「夫を収納する」などという表現が出て来ていることにも驚いたが、そもそも、定年を迎えた夫が家に居ることがストレスになるという実情にも驚いている。二人は愛し合って結婚したはずではなかったのか。長年寄り添うと、夫がいない間、寂しいとは思わなくなってしまうのだろうか。

 私は、自分の新婚時代を思い出す。結婚直後に私がまだ仕事をしていなかった頃、仕事に出掛けて行くガンモを送り出さなければならない辛さを感じていたことを。「二人はこんなに愛し合っているのに、何故、ガンモが仕事に出掛けて行って、離れ離れにならなければならないの?」と、目に涙をいっぱい浮かべながらガンモを送り出していたものだった。また、ガンモが東京に出張に出掛けて行くときも、新神戸駅で見送りながら、二人で泣いていた。そのときガンモは、新大阪駅で降りようと思ったらしい。

 あれから十年経ち、私がホットヨガを始めたりして、仕事以外で別行動も取れるようになって来た。それでも、予定のない日は、仕事帰りに待ち合わせて一緒に帰宅する姿勢は変わらない。何故そうするかは、やはり、一緒に居たいからである。それが、夫婦の基本形なのではないだろうか。

 妻にとって、定年退職した夫が家に居ることは、喜びにはならないのだろうか。愛する人と毎日一緒に居られるわけである。夫が定年退職すれば、離れ離れになるのが嫌だと涙を流しながら、夫を送り出さなくても良いわけである。そんな素晴らしいチャンスに恵まれているというのに、妻は何故、夫が家に居るとストレスを感じてしまうのだろうか。

 私なりの解釈だが、これは、遠距離恋愛と似ているのではないかと思う。遠距離恋愛と言っても、強烈に引き合いながら、お互いの休みとお金が許す限り、デートを重ねているような遠距離恋愛ではない。そのような二人の愛を綴ったブログをしばしば見かけることがあるが、引き合う二人の愛がとても微笑ましく、思わず応援したくなるものである。しかし、ここで引き合いに出した遠距離恋愛とは、お互いにもっと歩み寄れば一緒になることができるのに、強烈に引き合うことなしに、何となく現状を変えないまま続いている遠距離恋愛のことである。そのような恋愛は、付き合いが長くなっても、なかなか距離は縮まらない。何故なら、その距離が、二人にとって一番いい距離だからだ。

 定年を迎えた夫が家に居ることがストレスになってしまう夫婦は、夫が外で働き、妻が家で自分の時間を持つという距離が、お互いにとって最も心地良い距離になっているのだろうと思う。しかし、夫が定年を迎え、夫が家に居るようになり、二人の物理的な距離が縮まることによって、これまでのバランスが崩れてしまうのだろう。ご紹介したサイトで提示されている解決策は、夫との心地良い距離を取り戻す方法なのだと思う。

 もしもこのような状況が、多くの夫婦に起こり得るなら、夫ががむしゃらに働く時期を逆転させればいいのではないだろうか。すなわち、定年と働き盛りを逆行させるのである。

 新婚のときは、二人で一緒に過ごす時間を作るために、夫は働かずに家に居る。そして、年を重ねて定年を迎える頃に働き始める。そうなると、主人在宅ストレス症候群を抱えている人たちも、いつまでも夫婦円満でいられることになるのではないだろうか。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ハワイの出来事・タイムシェア・コンドミニアム編に書いた説明会で聞いたのですが、アメリカではリタイア後の夫婦関係を良くするために、タイムシェア・コンドミニアムなどの制度を利用して、夫婦で過ごす時間を大切にしようと努めているようです。この説明会を受けたとき、私は、わざわざ夫婦の時間を持つために別荘のようなものを買わなくても、ただ一緒に居るだけでいいのではないかと違和感を感じました。このように、アメリカでは、夫婦の時間を大切にしようという動きがありますが、日本では、「夫を収納する」というアメリカとは反対の方向に行き着いているのですね。愛を思い出そうとしているか、愛を封印してしまうかで、国民性の違いを感じました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 手術後の訪問 | トップページ | 映画『トリスタンとイゾルデ』 »