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2006.10.12

マルチポスト

 技術者同士が知識や経験を共有するために集う掲示板がある。そうした掲示板では、誰かが「○○の実現方法についてわかりますか?」という書き込みをすると、それについて詳しい人が、「それは××のようにして行います」といったようなアドバイスのコメントを書き込む。

 私も、仕事でわからないことがあるときは、ときどき利用している。いや、利用していると言っても、職場のお約束により、掲示板に書き込みをすることは禁止されているので、書き込みはしない。何故、掲示板に書き込みをしてはいけないかと言うと、業務の内容をむやみやたらと漏らしてはいけないのと、掲示板に書き込みをすると、会社情報が流れてしまう(どこどこの会社の人がこのような書き込みをしたというのが記録として残り、掲示板の管理者にはわかってしまう)ためである。しかし、掲示板を参照することは許可されているので、ノウハウを蓄積するために参考にさせていただいている。

 ところで、そうした掲示板の一部に、「マルチポスト禁止」というお約束が掲げられているところがある。マルチポストとは、その名の通り、インターネット上の複数の掲示板やMLに同じ内容の書き込みをすることである。早急に解決したい問題を抱えている人からすれば、例えそれが広告のような方法であったとしても、藁をもすがる思いであちこちの掲示板に種を蒔いておきたい気持ちになってしまうものなのだろう。実際、そうしたほうが、解決の時期が早まる可能性は高い。

 しかし、技術者の多くは、類似した複数の掲示板に目を通している。そうなると、あちこちで同じ質問者からの質問を目にすることになり、マルチポストされた投稿は、新たな技術を習得するために複数の掲示板を参照している技術者によって、いち早く見つけ出されることになるのである。そのときに、マルチポストを見つけた技術者がどのように思うかだが、たいていの場合、マルチポストに対し、あまりいい印象は持たないようである。実際のところ、マルチポストを嫌う掲示板が多いのは確かだ。それは一体何故なのか。

 答えは、その質問をした人が、よその掲示板で解決策を得られたにもかかわらず、問いかけをしたすべての掲示板でフィードバックを行わないまま、その問いかけが放置されてしまう場合が多いからである。解決されたことが知らされないままでいると、掲示板を見ている人たちは、その問題が質問者にとってまだ解決されないものとして、質問者のためにわざわざ調べを進めていたりする。何故なら、そうした質問は、技術者としてとても気にかかるからだ。

 中には、「別の掲示板で回答が得られましたので、この質問スレッドは終了させていただきます」という書き込みだけをして去って行く人もいる。しかし、単に「解決しました」というだけの情報では、その掲示板の書き込みを読んだ人の技術として蓄積されて行くものが何もない。詳しく調べて答えようとしていたのに、その努力が実らない可能性があるのだ。だから、別の掲示板で解決したのなら、掲示板を見ている人たちのために、どのような経緯で解決に至ったのかを、解決した掲示板のリンクを貼るなどして知らせて欲しいと、技術系の掲示板を管理している人たちは願っているようだ。

 なるほど、言われてみれば確かにその通りである。実は、技術職の人たちに宿る技術者魂というものは、そういうところにある。トラブルがあったなら、その原因を徹底的に知りたい。一度乗りかかった船には乗ってしまいたい。そうした探究心がなければ、コンピュータ業界の仕事はつとまらないのである。だから、問いかけをしておいて、「別の掲示板で解決したのでこのスレッドは終了させていただきます」という一方的な書き込みに対し、掲示板を読んでいた人たちは、いきなり外に放り出されて宙ぶらりんになってしまったような感覚を覚えてしまうようである。

 技術者魂の話ではなく、もっと身近な話に例えてみよう。あなたの手元にコンサートのチケットが余っていたとする。あなたは、思いつく限りの友人に、
「コンサートのチケットが余っているので、誰か欲しい人がいたら紹介してね」
と言っておく。あなたの友人たちは、メールや電話という通信手段を駆使して、コンサートのチケットを欲しがっている人を探す。そうしているうちに、友人の一人が、コンサートのチケットを欲しがっている人を見つけてくれたとしよう。チケットは、無事に欲しがっている人の手に渡った。しかし、あなたがしなければならないのは、チケットを買ってくれる人を探してくれた友人にお礼を言うだけでなく、チケットを欲しい人がいたら教えてと声を掛けたすべての友人たちに、
「コンサートのチケットはもう買い手が付きました。ありがとう」
という連絡をすることである。それを怠ってしまったら、あなたの友人たちは、既に買い手が付いてしまっているコンサートのチケットを延々と探し続けてしまうことになる。これに技術者魂のエッセンスを加えるとなると、ちょっと難しい。かなり強引に関連付けるとするならば、チケットを買ってくれた人から、コンサートの感想を聞くところまで求めていることになるのかもしれない。

 この記事で何が言いたかったかと言うと、問題が解決したときの「後処理」の大切さである。情報化時代と言われている昨今、情報を広めるための効果的な方法がいくつも存在しているために、一度に広範囲に渡って問いかけることができる。しかし、その問いかけをクローズすることを怠ったり、話がよそで繋がっているのに非公開になってしまう場合が多いのではないかということである。

参考URL:マルチポスト

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m このような話は、何も技術者魂と結びつく内容でなくても、もっと身近なところであちこちに転がっているように思います。例えば、私がいつも意識しているのが、掲示板に書き込んでくださったコメントのお返事を、「ガンまる日記」に書かせていただくときです。「ガンまる日記」に書かせていただいても、掲示板として、話が繋がって行くように、「ガンまる日記」の記事をあとから貼り付けるようにしています。これは、話の繋がりを意識してのことだったのです。

ただ、こうした価値観は、掲示板の管理者であったり、また、掲示板にいつも目を通してくださっている方たち特有のものかもしれません。初めて訪問された方や、とにかく急ぎで何かを知りたいという場合は、その方なりの事情があるのかもしれません。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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