« 親王さまのご誕生に思う | トップページ | 道は分かれても »

2006.09.07

事実の裏側

 私の心は毎日、揺れる。仕事から帰宅して、インターネットのニュースの記事を読むと、女子高専生を殺害したとされる男子高専生の遺体が見つかったことが報じられていた。どうやら、犯行直後に自殺したらしい。それを読んだ私は、ガンモの前で何度も何度もため息をついた。

 ガンモに、
「何でそんなに何度も大きなため息をつくの?」
と聞かれ、私は、
「やりきれない気持ちでいっぱいだから」
と答えた。

 何と言ったらいいのか。殺害した相手が異性であることと、殺害直後に自殺したであろう状況から、男子高専生は、彼女のことが好きでたまらなかったが、彼女が自分の思い通りにならなかったのではないかと想像した。もしも男子高専生が生きていて、何十年も経ってから、この事件のことを自ら語ることがあるとしたら、こんなことを口にするかもしれない。
「あなたは、人を殺したくなるほど愛したことがありますか?」
と。

 男子高専生の死の一報を受けて、ご遺族の口から、「最悪の事態」という言葉が出たそうである。しかし私は、その言葉を前に、ちょっと待てよと立ち止まりたくなった。ご遺族の方たちからすれば、娘を失った深い悲しみに加え、事件の真相が解明されないまま闇の中に葬り去られることになることを「最悪の事態」と表現されたのだろう。しかし、かなり慎重に表現しなければならないのだが、例えどんな罪を犯していようとも、命は平等だと私は思うのだ。だから、女子高専生の命が尊いなら、男子高専生の命も同じように尊い。「最悪の事態」という言葉は、男子高専生の死を無表情で通り過ぎ、女子高専生の死にだけ注目した表現だと私は思ったのである。

 そもそも、二人が同級生ならば、生前は、そこに相対的な関係が成り立っていたはずである。その相対的な関係の中で、ひょうきんだったと言われている男子高専生が女子高専生を殺めるに至った何らかの要因が存在したはずなのだ。言い方は悪いが、彼女自身が男子高専生に何らかの影響を与え、彼女自身を死に至らしめるような行動を取った可能性があるということだ。

 もしも男子高専生が生きて逃げ回っていたのであれば、彼はどこまでも加害者だったかもしれない。しかし、彼女を殺害したあと、すぐに自殺しているなら、おそらく彼は、泣きながらバイクを走らせ、自分の最期の場所を探したのではないかと思う。そして、最期の場所を見つけると、親しい人たちに別れも告げず、自ら命を絶った。私はそこに、彼の一途さを垣間見る。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m きのうの記事もそうですが、ニュースで報じられている事実だけでなく、報じられない部分からも状況を察することが、光と闇の存在への理解に繋がると思います。おそらく、ニュースで報じられるのは、光だけか、闇だけのどちらかでしょう。事実の裏側に潜んでいるものに注目することも大切ではないでしょうか。

|

« 親王さまのご誕生に思う | トップページ | 道は分かれても »