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2006.08.12

雨天決行

 寝台特急北陸は、六時過ぎに上野に着いた。走行中、かなりの揺れを感じた割には、比較的良く眠ることができた。目覚めた直後は少々眠気を感じていたものの、上野に着く頃にはすっきりと頭が冴えていた。

 上野駅構内のコインロッカーに荷物を預け、朝食を取ったあと、喫茶店に入り、「ガンまる日記」を更新した。そして、ガンモの提案により、上野駅近くの映画館の朝一番の上映で、待望の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』を観た。金沢でも時間があったので、金沢で観ても良かったのだが、金沢の映画館は郊外型らしく、金沢駅周辺には映画館がなかった。それに、せっかく金沢に来ているのに、映画を観るのはもったいないという気持ちもあった。そのため、遊び慣れた東京で観ようということになったのである。

 映画の感想は、また別の機会に触れることにしよう。一言で述べると、余韻の残る映画だった。私は、一日中、この映画の余韻を引きずることになる。

 映画を観たあと、ガンモとアメ横を散策した。途中でガンモとはぐれてしまい、ガンモの携帯電話に電話を掛けてみると、
「駅に居る」
と言うので、私は上野駅まで歩いて行った。そこでもう一度電話を掛けてみると、今度は
「二木(にき)に居る」
と言う。二木(にき)というのは、お菓子のデパートである。ガンモは、駅(えき)ではなく、二木(にき)に居たのだ。二木と駅を間違えて、大笑いになった。

 十四時過ぎに、上野駅のコインロッカーから荷物を取り出して、宿泊先のホテルに向かった。今夜は野外イベントなのに、どうも天候が芳しくない。上野に居る間も、小雨が降ったり止んだりしていたが、私たちが上野を離れる頃には、いつの間にか大雨に変わっていた。しかも、雨ばかりでなく、雷までゴロゴロ鳴り始めた。

 これまでの経験からすると、激しい雨の中でも、野外イベントは決行される。そうなれば、カッパを着込んでライブにのぞんでも、やがて全身ビショビショになってしまう。雨で身体が濡れて体温を奪われるために、寒さでブルブル震えながらライブを鑑賞したことも何度かあった。カバン類もビニール袋に包んで防水しておかなければ、ライブが終わる頃には、カバンの中身まで間違いなくビショビショになってしまう。また、ステージが滑り易くなっているので、演奏する彼らも大変だ。ステージで転んでしまうこともあれば、機材が雨に濡れて感電する危険性も高い。とにかく、雨の日のライブは、観る側も演奏する側も必死なのである。長い野外イベントの歴史の中で、またしても伝説に残るライブになるのだろうか。

 あと少しで宿泊先のホテルの最寄駅に着くというとき、私たちの乗っていた電車に車内アナウンスが流れた。
「現在、秋葉原と神田間で停電が発生しているため、この電車も運転を見合わせています」
どうやら、停電が発生するほどの大雨になってしまったらしい。
「現在のところ、復旧の見込みは立っておりません。振替輸送を行っておりますので、そちらをご利用ください」
参った。時計を見ると、十五時過ぎである。開演にはまだまだ時間があるが、電車を止めるほどの威力を持った雨に支配されてしまっている。果たして、これから一体どうなるのだろう。

 私たちは、乗っていた電車を降りて、振替輸送が行われている別の路線に乗り換えた。駅の外に出てみると、小降りになってはいたものの、宿泊先のホテルまで歩く間、時折雷が鳴っていた。

 ホテルにチェックインして、着替えを済ませてから部屋を出た。同じホテルには、私たちと同じ目的を持った人たちがたくさん宿泊していた。彼女たちが持っている独特の雰囲気と、身につけているグッズですぐにわかるのだ。彼女たちに混じって、野外イベント会場までガンモと歩いた。そう、私たちの宿泊するホテルから、野外イベントが行われる会場まで、歩いて行ける距離だった。

 会場まで歩いて行く途中で、ファンの一人が話しているのが聞こえて来る。
「ずっと暑い日が続いていたから、考え方によっては恵みの雨だし、何よりも涼しいよね」
確かにそうだ。うだるような暑さに比べれば、確かに涼しい。ライブ中に雨が降らなければ最高なのに。私はそう思っていた。

 会場に着き、いつもの夏のイベントの開始前の希望に満ちた雰囲気を味わう。全国から、この日を楽しみに集まって来たたくさんのファンが、思い思いの格好をして、再会の喜びを確認し合っている。私たちにとっては、年に一度のお祭りなのだ。

 不思議なことに、いつの間にか、雨は止んでいた。空を見上げると、少し晴れ間も見えている。ありがたいことに、天候はすっかり回復し、ライブの間中、一滴の雨も降らなかった。まるで、膿を出してしまうかのように、開演時間の数時間前に、集中的に雨を降らせた。その雨のおかげで、涼しい夜になった。電車を止めたほどの豪雨からの奇跡的な回復である。

 MCで、メンバーの一人が、雨が降っていたので、一九八四年のライブを思い出したと言った。そのライブは、今回のライブ会場の近所にある球場で行われた。確か、そのときも雨が降っていた。彼は、
「あのときのライブに来ていた人!?」
と、会場に向かって問いかけた。私は、
「はあい」
と言いながら手を上げた。私の他にも、手を上げた人たちがたくさん居た。
「それだけ年を取ったということですね」
とメンバーの一人が言った。いつの間にか、あれから二十二年も経っていた。あのときの私は、ちょうど広島で浪人中で、チケットも持たずに一人でコンサート会場まで出て来た。当日券が発売されると聞いたからである。前日の昼間に会場に着いて、そのままチケット売り場に並んだ。夜は、チケット売り場の近くに寝転がって休んだ。私と同じように、当日券を求めてやって来た人たちが何人か居て、彼女たちとすぐに打ち解けて友達になった。昔から、そんなはちゃめちゃなことを経験して来た私だった。あの頃知り合った友達とは、既に交流がなくなってしまったが、彼女たちは今でも彼らのライブに足を運び続けているのだろうか。

 涼しい夜に思う存分浴びたサウンドシャワー。雨上がりだったせいか、音質は少し悪かったが、天候にも恵まれ、美しい花火を見ることもできた。年齢にもかかわらず、素敵な夜をありがとう。そして、明日もよろしく。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 関東地方の皆さん、こんにちは。雷と雨が凄かったですね。あまりにも凄い雨で、一時はどうなることかと思いましたが、何とか天候にも恵まれ、一日目の夜が無事に終わりました。雨を恵みだと思えるかどうかは、雨をとらえる人の傾き方によるのかもしれませんね。ライブの間、雨が降っていたとしても、思い出に残るライブになることは間違いありません。そんなライブも、これまでに何度か体験して来ました。何かを本当に好きというのは、楽しいか楽しくないかを、他の要因に左右されない状態のことをさすのかもしれません。

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