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2006.08.02

一寸の虫にも五分の魂

 仕事中、一匹の蟻がディスプレイの上を這っていた。二階にある私たちのオフィスに、蟻が迷い込んで来るなんて珍しい。私は、仕事の忙しさにかまけて、蟻の姿を確認したあと、そのまま仕事を続けていた。蟻は、どうやら私の向かい側の席の派遣社員の女性のところまで歩いて行ったらしい。彼女は、突然の蟻の登場に驚いていた。その後、彼女は立ち上がり、蟻を団扇に乗せて、一階まで降りて行き、解放したのだ。私は、彼女と気が合うと思った。

 その様子を見ていた日本一の女性が、
「凄い。わざわざ一階まで行ったんですか?」
と感激しながら彼女に尋ねた。
「一階のアスファルトに放して来た」
と彼女が答えると、日本一の女性が、
「じゃあ、蚊も殺さない?」
と彼女に尋ねた。彼女は、
「(殺さずに)手で払う」
と答えた。日本一の女性はますます感動していた。それを横で聞いていた私は、
「私もそうだよ」
と口を開いた。日本一の女性は驚いて、
「じゃあ、ゴキブリも殺しませんか?」
と私に尋ねて来た。私は、
「ウチにはゴキブリがいないからわからないけど、よそでゴキブリを見掛けても何もしないよ。一寸の虫にも五分の魂って言うじゃない?」
と答えた。

 日本一の女性は、虫が怖いと言う。だから、虫を見ると無視できないらしい。私は、
「虫を殺すから怖いんじゃないの?」
と言ってみた。すると彼女は一瞬考えて、
「深いですねえ、それ」
と言った。
「ありがとう。実は私、こういう話が好きなんだよね」
と自分の正体をばらしておいた。日本一の女性は、
「仕事が落ち着いたら、いろいろお話ししましょう」
と言ってくれた。

 同じ日に耳にした、人間以外の生き物にちなんだ話をもう一つ書いておこう。一緒に仕事をしている男性社員が、自宅近くの夏祭りで金魚すくいをしたらしい。夏祭りがお開きになる頃、金魚すくいを主催していたお店は、売れ残った金魚を、夏祭りに来ていた子供たちに無料で配ったらしい。そのとき、主催者は、売れ残った金魚を無理にさばこうとして、小さなビニール袋に、およそ二十匹もの金魚を詰め込んでいたと言う。そんなに詰めてしまっては、金魚が酸素不足で死んでしまう。その光景を目にした男性社員は、「動物に対する愛がない」と嘆いていたのだった。

 私たちは、誰かの生き様を観察しながら、様々な感情を刻んで行く。何が正しいとか正しくないといった感情ではない。あらゆ出来事は、自分が何を選択したいかを思い出させてくれるだめに存在しているのかもしれない。この日の出来事も、いろいろな立場の人たちに、経験として取り込まれて行った。蟻は、彼女の元に歩いて行って、正解だった。きっと、蟻にとっても、アリがたい一日だったことだろう。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻蟻(蟻が十)ございます。m(__)m 感謝、感謝であります! 忙殺されつつある日々の中で、心温まる出来事でした。小さな心の動きを見逃さずに生きて行きたいですね。

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