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2006.08.13

完全燃焼

 朝、目覚めたとき、ひどく身体が重かった。夏休みの間ずっと旅を続けて来て、さすがに疲れが出て来たのだろうか。それでも、トイレに行き、もうひと眠りすると、身体はもう軽くなっていた。ホテルの窓から空を見上げると、多少の雲が広がってはいるものの、傘を持ち歩かなくても良さそうな天気だった。どうか今夜のライブも天候に恵まれますように。

 ホテルで朝食を取っていると、ほとんどの宿泊客が私たちと同じ目的を持っているということがわかった。友人同士で宿泊しているグループもいれば、一人で宿泊している人もいる。彼女たちは、好きなアーチストを象徴する何らかのグッズを身につけている。驚いたのは、年配のご両親と一緒に家族でやって来ている人たちが居たことだ。おそらく、娘さんが熱烈なファンなのだろう。ガンモの出身の香川県の方言と思われる言葉を話していた。今回の野外イベントの他にも、六月に行われた大阪でのライブにも家族で一緒に出掛けていたらしい。娘さんの出掛けて行きたい気持ちに合わせて家族で旅行するとは、何と優雅で素晴らしい旅行なのだろう。

 朝食を終えて部屋に戻り、インターネットで野外ライブに関する情報を集めていると、私たちの参加した野外ライブと、野外ライブ会場の沿線を走る鉄道会社がタイアップして、私の好きなアーチストのヘッドマークを付けた列車が運行されていることがわかった。鉄道好きにはたまらない情報だ。ヘッドマークというのは、その列車の名札である。例えば、SMAP好きの人がいるとしよう。その人が、SMAPの名札を付けた列車に乗車できるとしたら、とてもわくわくするに違いない。私は、
「○○列車(好きなアーチストのヘッドマーク付き列車)に乗る!」
とガンモに宣言した。その鉄道会社のホームページを見てみると、私の好きなアーチストのヘッドマーク付き列車の運行スケジュールが掲載されていた。私たちはそれを確認してから、ホテルを出発した。

 お昼ご飯を食べるために私たちが向かったのは、横浜の中華街だった。神戸・元町、長崎、ハワイと中華街を歩いて来た私たちだが、横浜の中華街は日本最大級だ。私はガンモに言った。
「『チャイナタウンのはなし』というサイトでも立ち上げようかな」
私がホームページを作り過ぎているのを知っているガンモは、それを聞いて苦笑いした。

 横浜の中華街は、たくさんの人たちで賑わっていた。中華街の入口を象徴する立派な門がいくつもあり、横浜の中華街が本格的なものであることを物語っていた。ガンモが肉まんを食べたそうにしていたので、私たちは昼食を軽い定食で済ませたあと、肉まんをほおばった。

 それから私たちは横浜に向かい、ショッピングを楽しんだ。その後、待望の好きなアーチストのヘッドマーク付き列車に乗るために駅のホームで待っていたが、入線して来た列車は、ヘッドマークの付いていない普通の列車だった。一体どうしたのだろうと思っていると、どうやら車両故障のため、その列車を運行できない状況に陥っていたらしい。せっかく楽しみにしていたのに、乗車することができなくてとても残念だった。私たちは気を取り直して、野外イベントの会場へと向かった。

 この野外イベントが終われば、楽しかった私たちの夏休みが終わってしまう。とびきりの非日常で私たちを魅惑したハワイ。ハワイの素晴らしさは、ハワイを離れてしばらくしてからじわじわと実感することになる。ハワイの雰囲気をいつまでも忘れたくない私たちは、片言の英語で会話していた。しかし、ときどき日本語と入り混じって、英語なのか日本語なのかわからなくなってしまう。例えば、こんな感じだ。
「ガンモ、○○するの」
「いやあ」
「えっ? しないの?」
このとき、ガンモは日本語で否定を意味する「いやあ」ではなく、英語で肯定を意味する「イヤア」を使っているのだった。

 野外イベントはほぼ定刻に開始された。きのうよりは多少蒸し暑いものの、とても心地良い風が吹いていた。演奏する彼らは、開演直後から、とにかく爆走している。まるで、明日のことなど考えたくないかのように、乗りのいい曲ばかりを何曲も休みなく演奏し続けている。観客は、曲のリズムに合わせて体を揺らせながら、拳を大きく振り上げている。雨が降らなかったせいか、きのうよりは音質がいい。回りを見渡すと、周辺の建物からライブの様子をうかがっている人たちがいる。私は、会場の中に居られることに対し、誇り高い気持ちになった。

 演奏中、メンバーの一人の声があまり伸びていないのを感じた。ところどころ、歌詞も間違えている。息もピッタリ合っていない。ロックバンドとしては高齢の彼らも、二日間連続の野外ライブとあって、疲れが出ているのだろうか。しかし、長年のファンは、そんな彼らを厳しくチェックはするが、ライブが完璧でないからと言って、決して彼らから遠ざかったりはしない。むしろ、人間臭ささえ感じてしまうのだ。

 二回のアンコールに応え、三時間余りの公演はとうとう幕を閉じた。例年通り、終演にともなって、いくつもの美しい花火が打ち上げられた。私たちは、その花火を見上げながら、夏の終わりを予感した。私たちの夏休みがとうとう終わってしまう。それでも、ハワイを去るときのような寂しさはなかった。夏休みを満喫したという満足感が、私たちの心を豊かなものにしていた。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 十日間の夏休みも、とうとう終わりを迎えようとしています。ガンモとずっと一緒に過ごした十日間。夫婦で夏休みを一緒に過ごせる幸せをかみしめています。思い切り遊び回ったせいでしょうか。夏休みが終わることへの抵抗がありません。完全燃焼できて、とても満足しています。

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