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2006.08.14

夏休みをガタンゴトンで締めくくる

 いよいよ明日、関西に向けて帰ろうかというとき、 
「帰りはガタンゴトンだから」
とガンモがボソっと言った。
「えっ?!」
私は、またしても驚きのあまり、しばらくの間、あっけに取られていた。長い間、「ガンまる日記」を読んでくださっている方にはおわかりのことと思うが、ガタンゴトンというのは、青春18きっぷを利用した普通列車の旅である。青春18きっぷとは、二千三百円で普通列車が一日乗り放題できる切符のことである。五枚セットになっていて、グループで利用することもできれば、一人で五回利用しても良い。青春18きっぷなどという名前が付いているが、大人でも利用できる。関東地方から関西までガタンゴトンで帰宅するのは、これまでにも何度か経験済みだが、まっすぐ帰ったとしても、片道八時間はかかってしまう。旅も終盤にさしかかり、帰りは新幹線の中でのんびり睡眠をとりながら帰宅できるものとばかり思い込んでいたのは間違いだったようだ。
「えーーーーっ? 何だってえ?」
ようやく声を出すことができた私は、ガンモに抗議をしようとしたが、ガンモは、
「だって仕方ないじゃん。18きっぷがあるんだもん」
と言いながら、赤きっぷ(昔の赤い台紙に印刷された青春18きっぷ仕様の切符)をちらつかせた。
「18きっぷがあるって言ったって、それはアンタが買ったんでしょうが!」

 ガンモは、そんな私の態度を見ながら、ニヤニヤ笑っていた。ガンモのことだから、まっすぐ帰るつもりはないのだろう。きっと、どこかで途中下車して、まだ乗り潰していない沿線の私鉄を乗り潰そうとするに違いない。

 夏休み最後の日、ホテルをチェックアウトしたあと、私たちが最初に向かったのは藤沢だった。藤沢駅のホームにある、湘南電車型のKIOSKを見学するためである。ガンモが交流している鉄道関係のブログを書いている人の記事に登場したときからとても気になっていたのだ。

 藤沢駅に降り立つと、すぐにそのKIOSKを見つけることができた。緑とオレンジで構成された湘南電車の車両の中に、KIOSKがすっぽりと収まっている。と言っても、車両を改造しているわけではない。KIOSKの外観を湘南電車に仕立てた建物である。これがまた、鉄道ファンにはたまらない売店なのである。ガンモが交流している鉄道関係のブログを書いている人が、お店の周りを三周したと言うので、私も負けずに三周しておいた。

 待望の湘南電車型KIOSKを見学した私たちは、再び電車に乗り、熱海まで向かった。そこから今度は豊橋行きの電車に乗り換えた。青春18きっぷのシーズンだからだろうか。やけに若者が多い。しかも、何やらコミック系の手提げ袋をたくさん手に抱えているいる。どうやら、東京ビッグサイトでコミケ(コミックマーケット)が行われていたらしい。

 コミケ帰りと思われる中年男性が二人、私たちの座っている席のすぐ近くに立った。私たちも人のことは言えないが、見るからにオタク系の二人だった。一人はやたら声が大きくて、もう一人は、男性でありながら、自分のことを「あたし」と言っていた。二人で完全にコミケの余韻に浸り切っている。彼らは、都内で発生した停電のことを話題にしていた。停電のため、東京ビッグサイトに通じる鉄道が止まっていたらしい。あの停電が一日遅れていたら、大変なことになっていたなどと話している。自分のことを「あたし」と呼ぶ男性が、
「オタクを殺すには刃物なんかいらないんだよね。ビッグサイトに行けなくすればいい」
などと言った。これは、コミケが行われる日程に、仕事などののっぴきならない用事が入ってしまい、ビッグサイトに足を運べない苦しさを表現していると思われる。交通事情による足止めも然りである。声の大きい男性がそれに反応し、とにかく、停電が」一日遅れで良かったと言っていた。私は、電車の中で「ガンまる日記」を書いていたのだが、彼らの話し声が気になって気になって、なかなか集中できなかった。

 私たちは、豊橋で降りて少々遅い昼食を取った。本来ならば、静岡で降りて昼食のはずだったのだが、静岡で降りてしまうと、ひどくにぎやかな二人が私たちの座っていた席に喜んで座るに違いないと思い、なかなか立つ気にならなかったのだ。昼食にありつける時間を遅らせてでも、ちょっと意地悪をしたくなってしまうような、そんな二人だった。

 そんな意地悪が自分たちの元へ返って来たのか、その後、米原行きの新快速電車に乗車して席を確保することができたものの、信号故障のため、ダイヤに大きな乱れが発生し、途中の大垣で降ろされてしまった。大幅なダイヤの乱れのため、大垣駅は、たくさんの人たちでごった返していた。この時期は、青春18きっぷを利用して遠出をする人が多いのだ。

 私たちは次の列車を待ち、終点の米原で降りた。そこから更に新快速電車に乗り換え、新大阪駅で快速電車に乗り換えて、二十二時過ぎに帰宅した。ホテルを出たのが十時過ぎだったので、昼食のために途中下車した時間も含めると、十二時間かけて帰宅したことになる。私たちの夏休みの終わりは、このような感じで幕を閉じた。夏休みよ、たくさんの楽しい思い出をありがとう。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 座席を確保することができれば、青春18きっぷの旅は、なかなか楽しいものです。周りが静かであれば、なおよろしいです。夏休み最後の一日のほとんどを、電車の中で過ごすというのも、考え方によっては贅沢なことかもしれませんね。終点に着いて、次の電車に乗り換える度に方言が違って来るのも、また奥ゆかしいものです。

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