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2006.06.29

続・新しい席

 さて、ここまで綴ったところで、先週行われた席替えのはなしに戻そう。上司から、選んでもいいと言われていた席は、わずか四席だった。その中から、空調の吹き出し口からの冷風の影響を最も受けないであろう場所を選ばせてもらったはずだったのだが、月曜日に出勤してみると、やはり寒くかった。当初の計画とは違って、空調の真上に机が移動したわけではなかったからだ。空調の吹き出し口が背後にあるため、そこから降りて来る冷気で足元がひどく冷えた。むしろ、以前の席よりも寒く感じられたのだった。私は、隣の席の人にお願いして、席を変わってもらうことにした。しかし、実際に移ってみると、その席も、空調の吹き出し口から冷たい風が降りて来て、とても寒かったのだ。

 席替えを行った直後に、派遣会社の営業担当がやって来た。七月から新しい営業担当と入れ替わるので、席替えのあった先週の金曜日、新しい営業担当を連れて、企業にあいさつにやって来たらしい。そのときに、私の席のことを、改めてお願いしてくれたそうだ。私のプロジェクトの上司のまた上司はその席には居なかったが、部長と部長の次に偉い人が対応してくださり、
「席のことなら、遠慮なく、どんどん言ってください。むしろ、空調のせいで仕事を辞めると言われるほうが、我々にとっては大きなダメージですので」
と、ざっくばらんな感じで言ってくださったそうだ。私が冷風を防御しながら仕事をしているのを既にご存じだったようだ。それを聞いたとき、私はへなへなと力が抜け、営業担当を拝みたくなるほど何度もお礼を言った。営業担当との面談が終わったあと、私はうれしさの余り、トイレにこもってひとしきり泣いた。人間的なあたたかさに触れたと感じたからだ。実際、派遣会社の営業担当は、もっとうれしくなるようなことを言ってくれたのだが、それらの言葉を実際に部長が言ってくれたにしても、営業担当の中でいったん飲み込まれた言葉であるため、舞い上がるのはほどほどにしておこうと思う。それでも、トイレにこもって泣きたくなるくらいの価値は十分にあった。

 しかし、実際は、席を選んでいいと言われても、上司から言われていた席以外の場所を選んでいいものかどうか、判断がつかなかった。指定された四列はどこに座っても寒いことが確定している。そこで私は、後ろから吹き付ける冷風をアルミシートで遮るようにセッティングした。その様子をプロジェクトの上司のまた上司が見ていて、
「この列が寒いなら、あっちの席に移ったら?」
と言ってくださったのだ。その席は、私が最初、上司から指示された四つの席とは別の列にある席で、七月から新しく入って来る派遣社員のために用意されていた席だった。職場の席は、仕事の担当ごとに分かれて座っているが、その席は、別の仕事を担当している人たちの領域だった。
「いいんですか?」
と、私はうれしさいっぱいの表情で上司のまた上司に尋ねた。すると、上司のまた上司は、
「いいよ。許可しましょう」
と言ってくださったのだ。それから私は、すぐにその席に座り、冷風の当たり具合をじっくりと体験した。ありがたいことに、その席は、冷たい風がほとんど降りて来なかった。私は、膝掛けもなしに、十分くらい、その席に座って様子を見ていた。同じフロアで、これほどまで暖かい席があるのかと、逆に驚いたくらいだ。私はこれまで、寒い席ばかりに当たっていたのだ。

 上司のまた上司は、私がこの席に決めたいと申し出ると、私の直属の上司と、七月から入って来る派遣社員の上司にも相談してくれて、私の席をその人の席と入れ替えてもいいかどうかを交渉してくれた。その結果、それぞれの上司も、私が席を移ることを承諾してくれたのだった。本当にありがたい。何人もの人たちが、私が暖かい席に座れることに力を貸してくださったことに感謝している。

 こうして、私の快適なオフィス生活が始まったのだった。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、ありがとうございます。ようやく予告編にたどり着くことができました。(苦笑)ここまで長々と述べて来たのは、派遣先の企業と双方向の関係にあることを、どうしても示しておきたかったからです。確かに、ネガティヴな一面もあるのですが、そうしたものを一時的な出来事として水に流せるだけの関係を、この四年間で築いて来たように思います。まだまだ「もっとソウルメイト! 掲示板」で語っている内容には追いつけていませんが、双方向の関係は絶ちにくいということを伝えておきたかったのです。また、ツインソウルのナンバープレートに導かれてやって来たのなら、無理に辞めるのではなく、始まりと同じく流れるような終わりがやって来るのではないかと思っているのです。まるで導かれるような始まり方を知っているのは私だけですから。

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