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2006.05.23

続・"SONGBOOK"に思うこと

 かつて私は、"SONGBOOK"に思うことという記事を書いた。今日は、その記事の続編である。

 私は、帰宅してから、以前、友人からもらったポール・サイモンの"SONGBOOK"に耳を傾けた。この中に収録されている『木の葉は緑』を聴きたいと思ったのだ。古くても、まるで心が洗われるようなサウンドだ。最近はあまり耳にすることのないスリーフィンガーピッキング。ドラムがなくても、ポール・サイモンがギター一本で正確なリズムを刻んでいる。歌と生ギターだけで構成された音は、ごまかしがきかない。

 この"SONGBOOK"は、送り主である友人自身が、青春時代に何度も何度も聴き込んだアナログのアルバムを、オーディオCDに起こしたものである。何度も何度も聞き込んでいる証に、再生すると、カサカサという音が聞こえて来る。既にレコードがすり減っているのだ。彼は、そこまで熱心に聴き込んだアルバムを、ある日ふと聴きたくなって、オーディオCDに変換することを思いついたのだそうだ。

 LPレコードやカセットテープなどのアナログ音源をオーディオCDにするには、オーディオインターフェースを持った機器とパソコンを接続した上で、オーディオ機器から再生して、パソコン上にWaveファイルとして取り込む。Waveファイルはアナログ音声なので、CDからMP3に変換するときのように、自動的に曲のタイトルをファイル名に付加してくれたりはしない。しかし、彼自身がその作業を行い、曲の一つ一つにタイトルを入力してくれていたおかげで、再生するときに曲名がわかるようになっていた。

 サイモン&ガーファンクルとしてデビューしたものの、アルバムの売れ行きが良くなかったポール・サイモンは、単身でイギリスに渡り、このアルバムをレコーディングしたと言う。しかし、ポール・サイモンがイギリスから帰って来ると、プロデューサにより勝手にアレンジされ、制作されたアルバム『サウンド・オブ・サイレンス』が大ブレイクしていたそうだ。

 そのような背景を知った上で、このアルバムに耳を傾けてみると、更に感慨深いものがある。まだブレイクする前のポール・サイモンだが、既に馴染みの深い曲でも、少しリズムを崩して歌っている。それらの曲がポール・サイモンのものである証拠だ。このアルバムを聴くと、サイモン&ガーファンクルのおよそ七〇パーセントはポール・サイモンであると実感する。しかし、ハーモニーは一人では実現できない。アート・ガーファンクルの存在があったからこそ、美しいハーモニーが成り立ったのである。初めてサイモン&ガーファンクルを聴いてから、次第に年齢を重ねて来た私は、ポール・サイモンが陽のパートを、アート・ガーファンクルが陰のパートを担当していたのだろうと想像する。

 ところで、同じアルバムを、レコードが擦り切れるほど何度も何度も聴き込むという行為は、現代の音楽好きの若者たちにも引き継がれているのだろうか。 媒体は、アナログのレコードからデジタルのCDに移り変わった。果たして、何度も何度も聞き込まれたCDには、聞き込んだ勲章のようなカサカサ音が刻まれ、その媒体に耳を傾ける別の人の心をも魅了するのだろうか。

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、本当にありがとうございます。m(__)m 『木の葉は緑』に反応してくださった方たちが多かったので、今日の記事を書きたくなりました。(^^) 皆さん、どうもありがとう!

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