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2006.05.20

映画『シザーハンズ』

 映画『リバティーン』にも書いた通り、私は最近、ありとあらゆる個性的な役柄をこなす俳優ジョニー・デップの魅力にすっかりとりつかれてしまい、彼の主演作のDVDを片っ端からレンタルして観ている。

 今日、ここでご紹介させていただくのは、一九九〇年に公開された『シザーハンズ』という映画である。少々古いこの映画は、シザーハンズ、すなわち、ハサミの手を持つ男エドワードの切ない恋物語である。しかし、青春時代の恋といえども、すぐに終わってしまうような淡い恋物語ではなく、何十年経ってもお互いの中から消えることのない愛の物語である。

 エドワードは、手がハサミになっている人造人間として、博士の手によってこの世に誕生したが、博士の亡きあと、たった一人で山の上の古びた建物に住んでいた。そこへ、ペグという化粧品セールスの女性が現れて、彼を発見する。ペグは、エドワードに人間の世界を体験してもらうため、彼を自宅に住まわせるようになる。

 ハサミの手を持つエドワードは、その容姿とは裏腹に、子供のような純真な心を持っていた。しかし、手がハサミであるばっかりに、服を着るのも一苦労、ご飯を食べるにも一苦労してしまう。いきなり人間の世界にやって来て、人間が当たり前のようにこなしている日常の出来事が、エドワードにとっては大変難しい課題となる。人間と同じように、一生懸命ハサミの手を使おうとするエドワードの態度が、面白おかしく描かれている。

 しかし、手がハサミになっているという特性を生かして、人々の役に立つことを始める。それが人々に認められて、エドワードは町の人気者になる。しかし、ようやく店を持てるかもしれないという段階に来たとき、ある事件が起こる。その事件をきっかけに、これまでエドワードに好意的だった人たちの気持ちが一気に離れて行く。

 人々の誤解を解くことができずに、精神的に孤立してしまうエドワードだが、ただ一人、味方をしてくれる人が居た。ペグの娘、キムである。キムは最初、エドワードに対して友好的ではなかったのだが、その事件をきっかけに、エドワードに好意を寄せるようになる。一方、エドワードは、ペグにキムの写真を見せてもらったときからキムのことを気に入っていた。

 二人はやがて、心を通わせ始めるのだが、エドワードは、手がハサミになっているばっかりに、キムを抱きしめることができない。心の中ではキムを抱きしめたくてたまらないのに、キムを愛するがゆえに、彼女をハサミで傷つけたくなくて抱きしめることができないエドワードの切なさを、ジョニー・デップが好演している。心の中で想っていることとは違う行動を取らなければならないエドワードの葛藤がひしひしと伝わって来て、涙せずにはいられない。ストレートな愛情表現ができずに戸惑うエドワードに対し、まっすぐな愛情を示そうとするキム。

 そのあたりのシーンからラストまでは、思い出しただけでも胸が熱くなる。エドワードに対して好意的だったはずの人たちが一致団結して敵に回ろうとする中で、キムだけがエドワードを必死で守ろうとする。キムのかつての恋人だったジムが悪役を演じ、エドワードの純真な心をいっそう際立たせている。

 この映画を観ると、この映画を監督したティム・バートン監督を天才だと実感せずにはいられないだろう。頭の固い監督には、このような映画は決して作れない。そもそも、頭が固ければ、映画監督になどなれないかもしれないが・・・・・・。彼の作品はどれも、子供のような純真なハートを大切にしている。『ビッグフィッシュ』、『猿の惑星』、『チャーリーとチョコレート工場』、『ティム・バートンのコープスブライド』など。大人になっても子供の心を忘れないでいられる大人は素敵だ。彼の映画を観ることで、現実世界からほんのちょっと逃避できる。そして、私たちがずっと忘れたくなかったものを思い出させてくれる。

 映画『シザーハンズ』は、そういう意味でも、大変お勧めの映画である。何故、雪が降るのか。これからこの映画を観ようとされている方は、そのテーマに注目して観て欲しいと思う。

※「映画と演劇のはなし」に書いたレビュー
シザーハンズ

※いつも応援クリックしてくださっている皆さん、ありがとうございます。m(__)m ジョニー・デップとティム・バートンのコンビ作は特別いいですね。鬼才の二人の相乗効果が現れているかのようです。『シザーハンズ』はとにかくお勧めの映画です。観たい映画がなくて何か探されている方は、是非是非。(^^)

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