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2006.03.26

絶対愛の感じ方

 実は、神戸ポートピアランドでミュンヘンアウトバーンというスライディングコースターに乗ったとき、こんなことがあった。ガンモと私は一つの車の中に前後に腰掛けた。ガンモが後ろで、私が前である。安全のために、発車前に安全バーを降ろすのだが、ガンモによって降ろされた安全バーは、私のお腹にほぼ接触してしまっていた。
「これでは、もしも衝撃を感じたときに、子宮がつぶれてしまうよ」
と、私はガンモに言った。ガンモは、
「ごめん。下げる位置をもっと調節できたのに」
と私に謝った。どうやら、安全バーを下に降ろし過ぎてしまったようである。一度下に降ろした安全バーは、安全のために固定され、再び上に向けて調節することができない仕組みになっていた。しかし、もう発車寸前である。私は自分のお腹を守るようにして、後ろにいるガンモにぴったりくっついたが、ガンモの座っている場所にもそれほど余裕がない。

 そうこうしているうちに、ミュンヘンアウトバーンはとうとう発車してしまった。そこから先は、勢い良くすべり落ちるような感じだった。私はこのとき、乗り物を信頼し、一体となっていた。しかし、ガンモは私の後ろで恐怖を感じていたようだった。無事にゴールまで着いたとき、ガンモは興奮した口調で恐怖を語った。

 その日の夜、お風呂の中で、ガンモがこんなことを言った。
「ミュンヘンアウトバーンに乗ったとき、実は俺、後ろで腰を浮かしてたんだよ」
私は、頭でハンマーを殴られたような衝撃を感じた。ガンモは、安全バーを下に降ろし過ぎたことへの責任を感じて、私のお腹に衝撃を与えることのないように、自分の腰を浮かせて、あそびの部分を作ってくれていたのだ。そのことを耳にした途端、私の中に、言葉では言い表せないほどの感情がこみ上げて来た。
「ガンモ! そういうの、禁止だからね!」
私はそれ以上、言葉にならなかった。これを書いている今でも、こみ上げて来る感情がある。私は、そんなガンモの絶対的な愛情に気づかずに、自分のお腹を守ることに必死で、ガンモのほうへと身体をずらしていた。ガンモは走行中、腕力だけで自分の身体を支えていたのだ。

 あのとき、ガンモにもしものことがあったら、後悔しても後悔し切れないだろう。しかし、安全バーを降ろし過ぎてしまったガンモも同じことを思っていたに違いない。私はガンモに言った。
「これからは、自分だけが我慢したりしないでよ。それで何かあったら済まないんだからね」

 絶対愛を感じるには、このような危険な方法しかあり得ないのだろうか。前世において、私はガンモの目の前で、高いところからまっさかさまに落ちて死んでいる。それだけに、こういうことには特に敏感になってしまうのだった。

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