格好悪いサラリーマン
ホワイトデーの前日、仕事帰りに雑貨屋さんの前を通りかかると、雑貨屋さんにはあまりふさわしくなさそうな集団が店内を物色しているのが見えた。スーツを着込んだサラリーマン集団である。
私はその雑貨屋さんをしばしば利用しているが、これまでただの一度も店内でスーツ姿のサラリーマンを見掛けたことはなかった。おそらく、ホワイトデーを翌日に控え、お返しの品を探しに来ていたのだろう。しかし、数人で連れ立ってやって来て、何だか格好悪い。そもそも、スーツ姿というのが雑貨屋さんにそぐわないというのもある。何よりも格好悪いのは、彼らがポケットに手を突っ込んだまま店内を物色しているところだ。そうした態度からも、女性の好みそうな商品を多く扱っている雑貨屋さんにわざわざ出向き、ホワイトデーの品を探すことに対して、かなり消極的な姿勢であることがうかがえる。どうせ選ぶのなら、もっと楽しみながら積極的に選んで欲しいものである。むろん、彼らにとっては、手っ取り早いコンビニで済ませてしまわずに、わざわざ雑貨屋さんに出向いたというだけでも積極的な態度を示していることになるのかもしれないが。
これが、ホワイトデー前日でなく、しかも、サラリーマン一人だけでやって来て、ポケットにも手を突っ込まず、真剣な目つきで商品を選んでいるのだとしたら、大変好感が持てる。「ああ、本命へのお返しなのね」と、にこやかに微笑むことだろう。しかし、集団でやって来て、ポケットに手を突っ込んだままお返しの品を物色するのは、彼らを格好悪くするだけだ。ということはつまり、女子社員の渡す義理チョコが、サラリーマンを格好悪くしているということなるのである。
バレンタインの義理チョコには、賛否両論あることだろう。しかし、どうせ賛成するなら、チョコを選ぶのも、お返しを選ぶのも、もっと楽しく生き生きとしようではないか。
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