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2006.02.16

喋る口あれども、聞く耳持たず

 最近、職場の特定の人に対して、マンション管理の勧誘電話が何度も何度もしつこく掛かって来ている。一体どこから個人情報入手したのか、その人の自宅の住所や電話番号まで知っていると言う。派遣社員が外線を取ることはほとんどないので、私はその電話を取ってはいないのだが、その電話を取った人は、対応に苦慮しているようだ。電話を取った人は、「○○さんをお願いします」と、ターゲットになっている人の呼び出しを頼まれるらしい。しかし、その○○さんは、既に何度も何度もその電話を受けているために、電話には出たがらない。結局、○○さんではなく、電話を受けた人が勧誘を断る羽目になってしまっているようだ。

 しかし、○○さんが電話に出たがらないことを電話の主に伝えても、受話器を置くとすぐにまた電話が掛かって来る。とにかく、そのしつこさには目を見張るばかりだ。そんなことが、一日に何度となく繰り返されている。一度掛かり始めると、電話を取った人の周りに座っている人たちも含めて聞き耳を立ててしまい、仕事どころではなくなる。

 一体、どうしてそんなにしつこくできるのだろう。そもそも私たちが、何故、この手の勧誘電話を不快に思うかと言うと、こちらの話を聞く耳を持っていないからだと思われる。相手の話を聞き始めると、まるで丸暗記したかのようなお決まりの文句で一方的に話し続ける人が多い。その時点で、コミュニケーションはもう成立しなくなってしまっているわけである。これだけしつこくできるのも、相手の話を聞くモードになっていないために、電話を掛けて来る人の中に変化が訪れないことで実現できてしまうことなのだろう。これはある意味、絶対的な関係と言える。相対的な関係ならば、少なからず、相手の影響を受けるものだ。

 この件で、少し感動したことがあるので書き留めておきたい。残業時間中に、私の席の後ろに座っている人がその電話を取った。多くの人は、もはやこの手の電話にうんざりしていて、最初から真剣に取り合わずにすぐに電話を切ってしまうのだが、彼はまず、相手の言い分を良く聞き、それに対する応答を返していた。しかも、相手を脅すわけでもなく、相手に対して怒りの感情をむき出しにもせず、ただ落ち着いて相手と会話をしていた。彼は、ターゲットになっている○○さんに電話を取り次がないつもりで一生懸命対応していたらしいのだが、相手は○○さんに代わってもらえないなら何度でも電話を掛けると言ったらしい。そして、やむなく○○さんに代わったわけだが、○○さんが断って電話を切っても、すぐにまた電話が掛かって来ていた。

 私は、彼の勇気ある行動に拍手を贈った。彼は、
「マンション経営をすることにそれほどのメリットがあるなら、あなたがすればいいじゃないですか」
と言っていたが、相手の言葉をそのまま相手に返すという対応は大変素晴らしい。相手が、何故自分で率先しないかの理由を答えれば、自分もそれと同じ理由を返せばいいわけである。良く言われているのが、卑猥ないたずら電話の対応としてもっとも効果的なのが、相手の発する卑猥な声を録音して相手に聞かせることらしい。彼らにとって、相手に向けた言葉がそのまま自分に返って来ることほど恐ろしいものはないらしいのだ。何故なら、彼らには自分が見えていないからだ。

 今後、この騒動が、どのような形で落ち着いて行くのか、まだ先は見えていない。しかし、聞く耳を持たない一方的な態度は、私自身の態度をも振り返るきっかけを与えてくれる。

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