« 血縁よりも大切なもの | トップページ | 仕事でミス »

2006.02.09

幻の四連休

 カレンダーを見ながら、
「三月の二十日に休暇を取れば、四連休になるじゃん」
とガンモが言った。それ以来、ガンモの頭の中は旅の計画でいっぱいだったらしい。

 しばらくして、
「四連休は東北に行くから」
とガンモが言った。東北地方に、三月末で廃線になってしまう路線があるので、乗り潰しておきたいと言う。私が、
「じゃあ、東北のラジウム温泉に行くのも計画に入ってる?」
と聞くと、
「残念。そこまでは時間が取れない」
などと言う。何ということだ。せっかく東北まで足を運ぶというのに。福島のやわらぎの湯とか、秋田の玉川温泉に入れるわけじゃないのか。

 「それなら行かない」
と私はすねてみた。実際、何だか気乗りがしなかったのだ。四連休といえども、広い広い東北を回るには、あまりにも短すぎる期間だったからだ。

 「九州の霧島だったら行ってもいいよ」
と私は言ってみた。霧島温泉は、硫黄が強くて身体にいいと本で読んだことがある。だから私は、密かに霧島温泉に行きたい気持ちに駆られていたのだった。ガンモは路線図を見て、霧島温泉の位置を確認したあとこう言った。
「残念です。霧島温泉のある肥薩(ひさつ)線は、もう乗り潰してます」
「ええっ?」
私は目を丸くした。確かに、二〇〇四年の夏のガタンゴトンツアーで、九州の一部の路線を、ガンモと一緒に乗り潰した。せっかく四連休にするのだから、既に乗り潰しの終わってしまった路線に再び乗車することに対し、消極的になってしまう気持ちもわからないでもない。
「じゃあわかった。東北でいいよ」
「ホント?」
東北行きに関して、ようやく私が合意したので、ガンモはとても喜んでいた。

 ところが、後日、仕事帰りにガンモに電話を掛けてみると、ガンモがしょんぼりした口調でこう言ったのだ。
「休みを取って、わざわざ四連休にしなくていいから」
「えっ? どういうこと?」
「仕事が入った。だから、まるみも四連休にしなくていいから」

 何じゃ、そりゃ。自分が仕事で休みを取れなくなったからと言って、私も四連休にしなくていいとは何ごとよ。ガンモは、自分だけ働くのがシャクらしい。こうして四連休は幻になってしまったわけだが、ガンモの申し出に関係なく、私は四連休を取ることになるかもしれない。何しろ、わざわざ出掛けて行かないにしても、やりたいことはたくさんあるのだから。

※皆さん、いつも応援クリックを本当にありがとうございます。m(__)m

|

« 血縁よりも大切なもの | トップページ | 仕事でミス »