仲良し夫婦旋風
この度、ガンモが愛読しているゆみぞうさんのweb日記絵日記でもかいてみようかNEWが単行本化され、その出版記念サイン会が大阪の書店で行なわれると言う。ガンモは興奮しながら、サイン会の入場整理券をWebから申し込んだのだが、残念ながら抽選に漏れてしまった。それでも私は、過去の経験から、こうしたサイン会には、飛び入り参加可能である場合もあることを知っていた。それに、もしも本当にご本人にサインをしていただくことが不可能だとしても、サイン会は書店の中で行なわれるのだから、サイン会の様子を遠巻きに眺めることくらいはできるのではないかと思っていた。だから私は、鍼灸治療の予約を日曜日に変更して、ガンモと一緒に大阪に出掛けることにしたのだった。
ガンモは、その単行本が発売されてからというもの、いろいろな書店でその単行本を探し続けて来たのだが、なかなか見つけられずにいた。本屋さんで注文してしまえば取り寄せも可能なのだろうが、別のお店に行けばすぐに手に入るのではないかという気持ちがあったようだ。
さて、サイン会が行われる書店に着いたとき、ガンモはその単行本を見つけ、すぐに購入した。すると、レジ係の店員さんが、これから行われるサイン会の案内をしてくださったそうだ。サイン会の入場整理券は、まだ若干の余裕があったらしく、どうやらガンモはその枠に入ることができたようだった。やはり、私の予想していた通りだった。ガンモは、入場券の抽選に漏れてしまったので半ば諦めかけていたのだが、それでも出掛けて行こうとガンモに提案して良かったと思った。ガンモはとてもうれしそうだった。
喜び勇んでサイン会の場所となる喫茶コーナーに足を運んでみると、既にたくさんの人たちが列を作っていた。お店の人に整理券をもらい、私もガンモと一緒に並んだ。サインは、単行本一冊につき一回ということなので、単行本を買っていない私は、ガンモのおまけである。ラジオの公開録音やコンサートなど、いつも私が好きなものに付き合ってもらっているので、ガンモの好きなものに付き合えるのはうれしい。私は、ゆみぞうさんのサイトを念入りに拝見しているわけではないが、ガンモの話によれば、とても仲の良いご夫婦らしい。Web日記を拝見する限り、その関わりはソウルメイト的だ。私は、仲の良い夫婦を確認すると、同志を見つけたみたいでとてもうれしくなる。ゆみぞうさん達ご夫婦は、ご結婚された時期も私たち夫婦とほぼ同じで、ご夫婦二人だけの生活を送ってらっしゃるらしい。そういう意味でも、ゆみぞうさんは、私たちの仲間だと思ったのだ。
ゆみぞうさんのサイトは、既に三八〇〇万を超えるアクセスがある。まだまだ十二万アクセスちょっとのガンまる日記とは比べ物にならないほどのアクセス数だ。これだけの方たちが、ゆみぞうさんの漫画に魅せられ、全国、いや、全世界からアクセスしていらっしゃるのだ。それだけに、サイトの管理やコミュニケーションも大変だろうと思う。私は、サイン会の列に並びながら、いろいろなことを考えていた。ガンモに、
「『ガンまる日記』も単行本化されたら、こうしてサイン会やるのかなあ」
などと言ってみた。ガンモは、
「無理無理」
と言う。私は、
「まあ確かに。『ガンまる日記』は主張が激しいから、単行本にはならないだろうなあ」
と苦笑した。
今日のサイン会では、およそ三百人の人たちにサインしてくださると言う。サイン会は、精神労働と肉体労働が入り混じった仕事である。サインをしていただく側は個々でも、サインを書く人は一人なのだ。つまり、多対一の関係である。同じことの繰り返しのようでいて、対応する相手は一人ずつ違う。おそらく、疲労も相当激しいことだろう。
さて、ようやくサイン会が始まり、始まった直後から、ゆみぞうさんの明るい声が耳に入って来ていた。感性が豊かな人は、笑うことにためらいがないものだと、改めて思った。ゆみぞうさんにサインをしていただいている間に、ゆみぞうさんに話し掛ける人たちも居た。彼女のことを良く知らなければ、こちらから話し掛けることはできないだろう。ゆみぞうさんは、話し掛けて来た人たちに対して、快く受け答えをされていた。簡単なコミュニケーションであっても、言葉のキャッチボールが行われていることを目の当たりにした瞬間だった。
少し早めにサイン会の列に並ぶことができた私たちは、およそ一時間四十五分ほどの待ち時間でサインをしていただくことができた。サイン会の整理券には、あらかじめ、自分の名前を記入する欄があり、ゆみぞうさんはそれをご覧になった上で、「○○さん江」という形でサインを書いてくださる。私たちは、「ガンモ・まるみ」と書いておいた。ゆみぞうさんがそれをご覧になって、
「ガンモさんとまるみさんですね」
とおっしゃると、何やら会場の奥のほうから怪しげな反応があった。もしかすると、この「ガンまる日記」を読んでくださっている方も、同じ会場にいらしたのだろうか。ああ、恥かしい。(^^; 私たちの体型がばれてしまったかもしれない。
ゆみぞうさんにサインをいただいたあと、ゆみぞうさんと簡単な握手をして、サイン会の場を離れた。書いてくださったサインを見ると、
「ガンモさん江 まるみさん江 ゆみぞう(サイン) 仲良し夫婦」
と書かれていた。おおお! うれしかった! やはり、同志には同志の雰囲気が伝わっていたのだ。
整理券には、自分の名前以外にも、ゆみぞうさんへのメッセージを書き込む欄があった。ガンモが私に、
「ゆみぞうさんへのメッセージ、書いて」
と言うので、私は、ガンモが購入した単行本を読ませてもらいながら、ゆみぞうさんへのメッセージを書き込んだ。簡単に言えば、ゆみぞうさんの単行本を読まれた方たちの間で、仲良し夫婦旋風が巻き起こるといいなあということを書かせていただいた。更には、ゆみぞうさんの漫画を読まれた人たちが、仲良し夫婦に感化され、結婚への強い憧れを抱いたり、また、これまでうまく行っていなかったご夫婦も仲良くなれればいいのに、と思った私である。
サインをしていただいて、サイン会場を離れて行く人たちはみんな、一人でこっそりと喜びをかみしめているような笑みを浮かべていた。多くの方たちに支持されている絵日記が単行本になり、サイン会もまた大盛況になるということは、ゆみぞうさんは、それなりの使命を持って生まれて来られた方なのだと思う。ゆみぞうさんの絵日記に魅せられて、日本全国に仲良し夫婦旋風が巻き起こることを、私は期待して止まない。
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