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2005.01.17

新人くんとベテランくん

 今日も身体がだるく、休みを取りたい気分だったのだが、何とか出勤した。睡眠時間をたっぷり取っているはずなのに、まぶたが自然に降りて来る。三カ月ほど前の生理のときも同じような症状だったのだが、この二ヶ月、生理がとても軽かったので、ちょっと油断していたかもしれない。しかし、夕方になると、ようやく意識がはっきりとして来た。今日は定時退社日だったので、さっさと仕事を上がり、ガンモと自宅近くの駅で待ち合わせをして夕ご飯を一緒に食べた。

 入ったのは、アルバイトと思われる店員さんが二人だけで切り盛りしているお店だった。新人くんがカウンター、ベテランくんが厨房を担当していた。新人くんは、見るからにおどおどしていて、何か失敗をするのではないかと、見ていてヒヤヒヤだった。ガンモにはお茶を出してくれたが、私にはお茶を出してくれなかった。しかし、おどおどしている新人くんに声を掛けて、彼が頭の中で描いているシーケンスを狂わせるのは申し訳ないような気がした。私が、言おうかどうしようか迷っていると、珍しくガンモが新人くんに、
「すみません、お茶ください」
と、声を掛けてくれた。新人くんは、申し訳なさそうにお茶を運んでくれた。

 ベテランくんは、厨房から店全体を見渡しながら、てきぱきと新人くんに指示を出している。新人くんは、ベテランくんに踊らされているようにも見える。お客さんの数が増えて来ると、ベテランくんの口調も次第に厳しくなる。他のお客さんたちも、新人くんとベテランくんのやりとりに、すっかり目を奪われているようだった。

 私たちは、新人くんが手際の悪いように見えていても、目が真剣な輝きを放っていることを見逃さなかった。私はガンモに言った。
「彼は、あのお店を辞めちゃうと思う?」
「いや、辞めないと思うよ。彼、一生懸命だもん」
とガンモは言った。私もまったく同じ意見だった。

 ベテランくんの無駄のない態度と、新人くんのおどおどしてはいるが真剣な目は、私たちに、仕事に対するプライドと、与えられた仕事を一生懸命こなすということを教えてくれたような気がする。今日会った新人くんもいつか、ベテランくんのようにてきぱきと働けるようになるだろう。しかし、ベテランになっても決して忘れてはいけないのは、自分が新人だったときのことである。もしも新人のときの気持ちを忘れてしまったら、新人くんに逃げ道を作ってあげられず、新人くんを追い込んでしまうことだろう。私が見る限り、ベテランくんは、自分が新人の頃の気持ちを忘れてはいなかったと思う。凸凹だけど、なかなかいいコンビだった。

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