« イノセントワールド | トップページ | 遠慮 »

2004.11.14

彼女との再会

 今日は、ガンモは仕事に出掛け、私は、先日出席した結婚式で出会ったエネルギーの高い女性と大阪で待ち合わせをして、一緒に夕ご飯を食べた。ガンモに、
「今日、友達と大阪で会ってご飯を食べて帰るから」
と言うと、
「えっ、一対一で会うの? 珍しいね。人と合うのが苦手なのに」
そう。ガンモは私の性格を良くわかっている。私が一対一で人と会うときは、心を許した人であることを。
「もしかして、男ができたんじゃないの?」
とガンモが冗談っぽく言った。その冗談があまりにもおかしかったので、私はゲラゲラと声を上げて笑った。

 彼女は関西の住人ではないのだが、たまたま関西で用があり、帰りの新幹線に乗る直前まで時間を作ってくれたのだ。パスタのお店に入り、二時間ほど話をした。

 彼女から聞かせてもらった話でとても印象的だったのは、飼い猫の話だった。彼女が飼っていた猫が、最近、家出をしてしまったのだと言う。しかし、彼女はそれほど落ち込んでいる様子でもなかった。それどころか、飼い猫の家出を応援しているようにさえ思えた。
「ずっと家の中にいて、ストレスが溜まってたから仕方がないと思うのよ。だから、外でのびのび生活したほうがいいんだろうなって思って」
と言う。いろいろ事情を聞いてみると、その猫はかつて、重い病気にかかり、ようやく回復はしたものの、身体に障害が残ってしまい、歩きながらくるくる回る癖がついてしまったのだと言う。そのとき彼女は必死に看病し、家の中にいるときも、エプロンの中に入れて介抱したのだそうだ。その状態では外を出歩かせるのは危険なため、しばらく外に出さないようにしていたところ、余程ストレスが溜まっていたのか、あるとき猫に、まぶたのあたりを強く引っ掻かれてしまったのだそうだ。不幸中の幸いで、目には傷が及ばなかったことと、現在は傷もわからない程度になっていた。彼女は、あれだけ大事にしていた飼い猫が自分を裏切るはずはない。きっとこの傷が、何か自分にとって必要な傷になって行くのだとポジティヴに考えたそうだ。

 その数日後、彼女は、好きなアーチストのサイン会に行くことになっていたが、まぶたに傷があるのもかまわず、サイン会に出席したそうだ。そのアーチストも猫を飼っていたので、サインをしていただくときに、
「飼い猫に引っ掻かれましたア」
と彼女はそのアーチストに言ったらしい。すると、それで印象付けたのか、その後のサイン会で、およそ三度に渡って、
「傷、だいぶ良くなりましたねえ」
と、好きなアーチストから声を掛けてもらえたそうだ。私はこの話に心から感動し、彼女のポジティヴパワーに拍手を送った。

|

« イノセントワールド | トップページ | 遠慮 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。